日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

秋の北陸信越縦断ツアー 2014 -魚仙-

2014-10-13 19:54:00 | 居酒屋
暴風が吹き荒れていた親不知から一転、長岡市街に風はなく、小雨が落ちているだけです。傘を差さずに線路際を歩き、お待ちかねの「魚仙」にやってきました。
台風も近付く三連休の最終日に店など開けて、お客が来るのかと半信半疑で暖簾をくぐると、果たして先客は小上がりの二組のみ。L字の角を斜めに切ったカウンターの左側では、女将と手伝いの娘さんが障子の張り替えをしています。休日夜の閑散とした店内も、たまには悪くないでしょう。着席位置は必然的に決まり、斜めの角の右側に腰を下ろしました。

常々申している通り、同じ店に何度も通うと、注文する品とその順序が固定化されてくるという現象が起こります。この店で席に着くやいなや奨められるのが、地酒を五種組み合わせた利き酒セットですが、一見でもない限り、そのようなものには目もくれません。番付を模した品書きから酒を一つ選ぶのがここでの常です。
お通しには日本海側らしくガスエビの唐揚げが出てきました。これをつついて一杯目をあおりつつ品書きを眺めると、左上には本日のお造りが、七行三列の枡目を埋めるように、都合二十種並んでいます。当然ながら一つや二つに絞れるはずもなく、前回に続いて盛り合わせを注文すると、舟形の器に九点もの刺身が豪勢に盛られてきました。それもただ数を揃えただけではありません。見るからに立派な鰤を主役に、今が旬の秋刀魚を加えたり、地鯛は皮付きのまま湯引きにして出すなど、ネタのよさはもちろんのこと、季節感を織り込みつつ一仕事加えられているところに実力が感じられます。これで1500円とはお値打ち品です。この刺身に続いては、教祖も絶賛する当店名物の油揚げを注文。外側の香ばしさと内側の溶けるような食感は、一昨日自分で焼いた油揚げとは、当然ながら全くの別物で、これぞ職人芸と脱帽するしかありません。
これらに加え、教祖が「キングオブなめろう」と激賞する鰤のなめろうと、さらに一品注文できれば完璧というところ、あいにく時間的にはあと一品という頃合いになってきました。刺身の鰤が実に立派だっただけに、この鰤で作ったなめろうを選びたいのはやまやまながら、その一方で本日の一押しという「源三郎」なる聞き慣れない魚も気になります。この時期の数日しか水揚げされないメバルの仲間で、煮ても焼いても食えないが、唐揚げだけはうまいというのが店主の弁です。しばし逡巡しつつも、ここは店主のすすめに従い源三郎を選択。丸々一尾を使った、一人客には十分すぎる大きさの唐揚げを肴に、同じく店主に見繕ってもらった景虎の純米原酒としぼりたてを飲み干したところで、帰りの列車の時間がやってきました。

酒を三合飲み干し、腹も十分満ちたため、過不足なく飲み食いしたという点ではこれでよかったのでしょう。とはいえ、この店で心ゆくまで飲み食いするには、正味二時間必要だと再確認したのも事実です。今後も北陸詣でが続く中、この店に再び立ち寄る機会も出てくるでしょう。そのときこそ、今回逃したなめろうを是非味わいたいものだと思います。

魚仙
長岡市殿町1-3-4
0258-34-6126
1700PM-2300PM(日曜定休)

萬寿鏡・景虎二合
お通し
お刺身おまかせ盛り合わせ
特選油揚げ
源三郎唐揚げ

コメント    この記事についてブログを書く
« 秋の北陸信越縦断ツアー 2014... | トップ | 秋の北陸信越縦断ツアー 2014... »

コメントを投稿