日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

南東北B級グルメツアー(2)

2008-10-12 10:43:26 | 酒屋
会津坂下で酒を買います。これまで出会った数多くの酒屋の中でも、この店ほど「こだわり」という言葉が当てはまる店はありません。知る人ぞ知る地酒を季節に合わせてよいコンディションで提供するという名店の条件が揃っているのは当然のこととして、この店にはさらなる特徴が三つあります。
一つはオリジナル酒「央」です。酒販店や料飲店の店主の酒好きが高じて造ったオリジナル酒は数あれど、この店のオリジナル酒に対する力の入れようはその比ではありません。ご近所の曙酒造が「天明」でブレイクする前から別注で仕込んでいたというこのオリジナル酒は、年ごとに使用米や造りを変え、さらにそれが仕込んだ年で売切る酒、一年貯蔵する酒、二年貯蔵する酒…と無数のパターンに派生して冷蔵庫に並んでおり、それらの違いは下手をすれば造った本人以外誰も把握していないのではないかと思われます。
そのような芸当ができるのは、第二の特徴である「酒の保管状態に対するこだわり」の賜物です。一酒販店として瓶詰めした酒を二年、三年と冷蔵するのは、狙い通りの酒を造るために時間とコストを惜しまない姿勢の表れといえるでしょう。保管状態に万全の注意を払うのは酒販店としてある意味当然のことではありますが、ともすれば過敏といえるほどに気を遣うのがこの店のこだわりの一つです。かつて真夏に生酒を持ち帰ろうとしたところ強く反対され、氷入りのペットボトルを抱き合わせることでようやく許可されたという経験があります(笑)
酒の保管状態にそこまでこだわるのも、この店の人々の酒に対する深い愛情の表れであり、それが第三の特徴です。この手の店の常として、店主一人が酒好きで、他の家族はそれに半ば呆れている場合が多いものですが、この店は家族全員が無類の酒好きと見受けます。「万全の状態で保管した酒だからこそ、まずくなった状態で呑まれるのが忍びない」というのが、氷入りのペットボトルを持たされたときの女将の弁です。酒販店がそこまで思い入れを込めた酒ならば、呑兵衛としても万全の状態でいただきたいものです。この店の酒は生鮮品と同じです。訪問の際はクーラーボックス持参でお願いします。

五ノ井酒店
河沼郡会津坂下町市中一番甲3551
0242-83-2170

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