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デパートで迷子★そのまま大人

毎日のいろんなこと。

Gum★プロローグ

2007-08-25 04:57:48 | 連載小説
プロローグ~私を動かすもの

世の中にはたくさんの不条理なことがある。
定理に基づく理屈なんてものは私にとっては味が無くなり捨てられたガムにしかすぎない。

だから私はいつだって物事に対して疑ってかかるのだ。

それを他人は煙たく思うかも知れないが、
そんなことを考えていたら物事の真実や本質なんて掴めない。

物事の真実を掴みたい欲求だけが私を動かしている。

私が欲しいのは脚色の無い真実なのだ。

吉野順平(34) B型・牡牛座・未婚

Gum★表紙と目次

2007-08-24 04:37:32 | 連載小説
Gum




お菓子小説、待望の7弾!

・プロローグ~私を動かすもの

・1章「ミント」
1節「私という人間の略歴」
2節「歓迎会という名の無駄」
3節「自己紹介という名の矛盾」

・2章「グリーンガム」
1節「比較とういうか分析」
2節「疲労困憊」
3節「疲労の末に後悔」

・3章「ローズヒップ」
1節「後悔先に立たず」
2節「思いもよらぬ展開」
3節「魑魅妄想」

・エピローグ~ガム

「おあずけ!蕨餅!!」あとがき

2007-08-09 04:35:40 | 連載小説
「どうでしたか?」って聞くにも及ばないようなお菓子小説「おあずけ!蕨餅!!」も今日で完結。
限りなく夢で見たまんまで書きたかったのでオチが弱いのですが・・・

ちなみにHP版の「おあずけ!蕨餅!!」では、
この主人公・HOMMAXXの新曲「チェキラッチョ!チェックラッシュ!」の解説も載っています。
(解説したところでどうなんだろうとは思うのですが・・・)

おあずけ!蕨餅!!★③「ワラビモチ!!!!!

2007-08-09 04:32:28 | 連載小説
③「ワラビモチ!!!!!」

僕は帰りの電車の中でずっと考えていた。
神田さんの言っていることも確かに納得がいく。

つい何年か前まで僕みたいなスタイルのヒップホップがもてはやされていたんだ。
重めのとっくにのせるメッセージ性あるリリック。

でも、いつのまにか軽いトラックにのせる恋愛・ポジティブソングばかりが売れるようになっていったんだ。

僕なんかはそんなのヒップホップじゃないと思うんだけどなぁ。
僕って時代遅れなのかなぁ・・・・女の子にももてないし、未だに童貞だし。

もう何もかもイヤになっちゃうよ。

僕の向かいの席には高校生のカップルが座っていて、
何か楽しそうに笑いあっている。

きっとこの子達は日本の現状なんて頭の片隅にもなくて、
幸せな毎日を何の疑問もなく暮らしているんだろうな。

あ~あ、なんだかなぁ・・・・

僕は電車を降りて家の方向に向かって歩き出した。

***********************************************

「おかえり~」

いつもと同じお母さんの声。
僕は今でも実家に住んでいるんだ。

「ただいま~」

居間に入るとお母さんはいつも通りに海苔せんべいを食べながら、
お昼のワイドショーを観ていた。

「あら、たけし元気ないねぇ」

「うん、ちょっとね」

座って僕も海苔せんべいを食べる。
ボリボリという音のハーモニーが広がる。

僕は何となくお母さんに話したい気分になった。

「なんか音楽の方が上手くいかなくってさぁ」

「あれかい?たけしのやってる音楽ってヒップスホップスってやつかい?」

「・・・・・」

「母さんはお経みたいで親しみやすくって好きだけどねぇ」

「お経みたいかぁ・・・まぁそれでもいいや。ありがとう」

「そんなことはいいから冷蔵庫に蕨餅入っているから食べようよ」

「うん、そうだね」

「ところで、たけし・・・・」

「なんだい?お母さん」

「あんた、そんなに裕木奈江って人が好きなのかい?」

「え?」

「最近、あんた部屋で『裕木奈江』って繰り返してるじゃない?」

「・・・・」

「好きな女の人がいるんだったら頑張りなさいよ!」

「・・・・」

(おしまい)

おあずけ!蕨餅!!★②ハヤリ!スタリ!

2007-08-08 02:51:07 | 連載小説
②「ハヤリ!スタリ!」

僕とディレクターの神田さんの問答は続いている。

「やっぱり・・・・どうしてもだめですか?」

僕は相変わらず泣きそうだ。

「いやいや、ホンマちゃん、そんなオレを困らせないでよぉ~。
 ぶっちゃけさぁ・・・・いやなんでもないや」

「神田さん!何でも言って下さい」

「あのぉ、あれだよ・・・・今流行の二人組いるじゃん?」

「ん?、誰ですか?」

「あれ、一人は背の高い外人でもう一人はいかにもチャラい感じの奴でさぁ。
 それで紅白とか出たりめざましテレビのテーマソングとか歌ってた・・・・」

「デフテックですか?」

「そう!デブチック!!」

「いやいや、デフテックです」

「そのデブチックみたいに・・・・何て言えばいいのかなぁ・・・・
 『ビーサン履いて海に行こうみたいな』軽い感じが最近の流行じゃない?
 そこにメッセージなんて今は必要としてないのよ」

「まぁ・・・・だいたいはそうだと思います」

「だからホンマちゃんの暗いトラックにのせて世の中への不満や熱いメッセージってのは
 あんまり最近は流行らないわけなのよ・・・・」

「はぁ・・・・」

「いやいや、もちろんオレは好きだけどねッ」

「はぁ・・・・ありがとうございます・・・・」

「今の曲の最後の『勇気を持て!』ってとこも好きよ!
 明日もがんばろうって勇気づけられるよ!」

「すいません、そこは『裕木奈江!勇気萎え!』っていう歌詞です・・・・」

「まぁ、ホンマちゃんもデブチックみたいな軽い感じの曲でイメチェンしてみなよ!」

<なんだかなぁ・・・・>

「考えてみます」

僕はテレビ局を後にした。
そして、テレビ局のトイレで僕は声を殺して泣いた。

(つづく)

おあずけ!蕨餅!!★①チェキラッチョ!チェックラッシュ!

2007-08-07 06:09:26 | 連載小説
①「チェキラッチョ!チェックラッシュ!」

僕の名前はHOMMAXX(ホンマックス)、
もちろんニックネームで本名は本間たけし。

僕はヒップホップというジャンルの音楽をやっていて、
つい何年か前のヒップホップブームのときには結構人気者だったんだ。

メジャーレーベルからの誘いも幾つか来たし、
たくさんラジオ・テレビや雑誌にも出た。

それでもメジャーと契約しなかったのは、
自分のペースで自分のヒップホップを作りたかったからなんだ。

だから僕は今でもコンビニのバイトを続けている。

今、そんな僕は深夜の歌番組「カウントダウン50」の収録を行っている。

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HEY,YO 燦々たる時代、簡単斬る世代、感嘆売る偉大、どうにかなっちまってるゼ!

売春、買春、ラッシュで哀愁感じてても
話題、アイドンワナダイ、寝台じゃ追いつかねぇ 裕木奈江!勇気萎え!

HEY,YO 狂った世界、潤んだ視界、よどんだ政界、どうにかなっちまってるゼ!

売春、買春、ラッシュで哀愁感じてても
話題、アイドンワナダイ、寝台じゃ追いつかねぇ 裕木奈江!勇気萎え!!


***********************************************

「は~い、カット!オッケーオッケー!!」

僕はあっけにとられてディレクターの神田さんを見た。
神田さんは満足そうに手を叩いている。

オケが神田さんの合図で消された。

「す、すいません・・・・」

「いやぁ~ホンマちゃん、今日も最高のラップだねぇ~」
神田さんは今日も素足に革靴で、まるで石田純一をお手本にしているような格好をしている。
きっと石田純一くらいモテモテなんだろうなぁ・・・

「あ、あの、まだ1番しかやってないんですけど・・・・」

そうなのだ、1番しかやっていない。
<これからこの「チェキラッチョ!チェックラッシュ!」という曲は盛り上がるところなのに!>

「いやぁ~ホンマちゃん、言ってなかったっけ?新譜紹介のとこで流れるヤツだからこれでバッチリよ」

「はぁ~そうですか・・・・」

そんな話聞いていない気がするが、
どうもこの人に言われるとそうなのかなぁと思ってしまう。

僕はブカブカのランニングにでっかいサングラスをかけて一見強面な印象を持たれることが多いけど、
ほんとは子供の頃から気が弱いってお母さんにも言われるんだ。

小学生の頃にクラスで給食費が無くなったって騒ぎのときも、
勝手にドキドキしちゃって疑われたんだよなぁ。

おっと、今の僕ははHOMMAXXなんだから給食費は関係ないや。

「じゃあ、これから盛り上がるとこなんで、
もうちょっと歌わせて貰ってそこを放送するっていうのはどうですか?」

僕は苦手な神田さんにダメもとで頼んでみることにした。

「いやぁ~ホンマちゃん、もう十分だよ。ホンマちゃんのソウルはビシビシきちゃってるよ!
 実際問題・爆笑問題・どんだけぇ~って感じ!十分十分、パッチギ・バッチリよ!」

「でも、神田さん・・・・」
僕はなんだか強気に言えない自分が情けなくって泣きそうになってしまった。

(つづく)

あとがきにかえて

2007-06-19 06:19:39 | 連載小説
お菓子小説第6弾「真夏にプリン」どうでしたか?

長かったですよね、
自分でも毎日ブログに載せながら長いなぁと思いました。

世の中には「くだらない」とか「どうでもいい」ことってたくさんあって、
そういうものは簡単に忘れられるし捨てられてしまいます。

でも意外とそういうものが面白かったりワクワクしたり、
手に取ってみると意外とそういうことが記憶に残ることだったりします。

そういうことをテーマにしたのが、この「真夏にプリン」です。

最後まで読んでくれた方、
お疲れ様です。

そして、ありがとうございます。

伊佐坂門戸

真夏にプリン★エピローグ~僕らを迎えに

2007-06-19 06:19:11 | 連載小説
エピローグ~僕らを迎えに

僕らは寝っ転がってたくさんの星を見ている。
いつか今日の出来事も『彼女』のことも忘れていくのかも知れない。

「ホンマくん、『彼女』の様子見てきなよ」

「いいよ、寝てるだけだって。そんなに言うんだったらキノシタ行けよ」

「ほんと自分勝手だなぁ」

「どっちがだよ」

僕らは『彼女』を迎えにここまできた。
次は『彼女』が僕らを迎えにくる番だ。

でも、ここにきてから結構時間が経ったと思うのだが『彼女』は起きてこない・・・・・

「それにしても暑いなぁ」

「プリン食べたら余計に喉渇いた」

僕は目を閉じた。

帰りは狭い車に3人か・・・・・
『彼女』が助手席に座っちゃうとデートにくっついてきた気の利かない男友達みたいだ。
『彼女』には何としても後ろに座ってもらおう。

でもって帰ったら今のバンドを解散しちゃって、
『彼女』とキノシタと僕の3人でバンドを始めるのも悪くないなぁ。

僕はそんなことばかり想像していたんだ。

真夏Niプリン★6章「真夏にプリン」③

2007-06-18 06:36:51 | 連載小説
6章「真夏にプリン」

(3)「真夏にプリン」

僕らは力が抜けてそのまま下に座り込んだ。

『彼女』は起きあがってこない。

「冷蔵庫になにか飲み物入ってるか見てくるよ」
キノシタはゆっくりと立ち上がり冷蔵庫に向かった。

僕は寝っ転がって食べ物もあったら持ってきてくれとキノシタに頼んだ。

今夜も蒸し暑いなぁ・・・・・。

星がたくさん見える。

もし流れ星が見えたら「缶ビールが冷蔵庫に入っていますように」とでもお祈りしようか。

願いが通じたのか、
「あったよ、『彼女』がたくさん買ってきたみたい。
 ビールも食べ物もあったよ」

という声が聞こえて、キノシタが戻ってきた。

僕は起きあがる。

キノシタは僕に何かをゆっくりと投げた。

「何か」は放物線を描いて僕の両手に収まった。

プリンだった。
コンビニとかでよく売ってる3つセットのやつ。

「真夏にプリンかよ!」