7月4日に厚生労働省が発表した国民生活基礎調査(2022年)の調査結果によれば、18歳未満の未婚者(児童)がいる子育て世帯数は約991万と、統計がとられて以来初めて1000万の大台を割ったとされています。
これにより、全世帯に占める子育て世帯の割合も4年前の前回調査から3.4%ポイント減の18.3%と2割を切り、少子化の加速が止まらない状況がより明確になってきたと各メディアが報じています。
こうした状況に対し、政府は6月、新たな少子化対策となる「こども未来戦略方針」を決定しました。方針によれば、来年度からの3年間をかけ毎年3兆5000億円規模の予算を追加支出し、出生率の大幅回復を目指すということです。
政策の目玉となるのは、児童手当の拡充です。政府は支給に当たっての所得制限の撤廃や支給対象の高校生への拡大、多子世帯に対する支給額の増額などを図るとしていますが、そのほとんどが「子育て支援」であるため、現実の少子化対策として効果が上がるかについては疑問を投げかける識者も多いと聞きます。
そもそも、現在の少子化の要因に、若者の「未婚化」を指摘する声も大きいようです。
実際、夫婦が生涯でもうける子供の数を示す完結出生児数は、1970年代以降ほぼ横ばいから緩やかに減少しているに過ぎません。一方、未婚率は、男性、女性ともに大幅に上昇しており、(結婚が出産の前提として機能しているこの日本では)未婚化が少子化の大きな要因になっているという指摘です。
数字を確認してみると、内閣府の 『令和4年版 少子化社会対策白書』 によると、2020年、50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人の割合は男性で28.3%、女性で17.8%とされています。
1970年~1974年にかけて年間100万組超だった婚姻件数も、1978年以降から2010年までの期間に年間70万組台まで漸減し、2011年以降は年間60万組台、2018年には60万組台を割り込むまでに減少しています。こうして、婚姻数は2020年には52万5,507組と過去最低を更新。1970年代前半と比べると、実に半分程度の水準となっている状況にあるとされています。
高度経済成長期から「失われた」といわれる30年間の間に、若者はなぜ「結婚」という人生の選択を躊躇するようになったのか。理由は様々に指摘されているようですが、(堅い話は後回しにさせていただいて)今回は、6月20日の「日刊SPA!」に掲載されていたコラムニストの堺屋大地氏による、「なかなか結婚できない男女に共通する4つの勘違い」と題する一文を簡単に紹介させてもらいたいと思います。
婚活をいくら頑張っても、何故か成婚に至らないという人が男性にも女性にもいる。理由は様々あると思うが、こうした(例え恋愛がうまくいっても)結婚までたどり着けない人には、共通している「思い込み」がいくつかあると堺屋氏はこのコラムに綴っています。
その第一は、「完全に相性がバッチリな相手を見つけなければならない」という勘違い。性格や価値観の相性がバッチリでケンカや意見の対立は一切起こらない―確かにそれは理想だが、そんな異性は100人に1人もいるはずがないと氏は言います。
そんなファンタジーの世界に居たままでは婚活の成果が上がるはずもない。実際、世の中の幸せ夫婦の大半が、相性の悪い部分がありながら、そのズレを理解しながら歩み寄っているというのが氏の認識です。
第二に多い勘違いは、「ケンカや意見の対立はしないほうがいい」という誤解だと、氏は話しています。
ケンカや対立が起こらない…という状況は、どちらかが(もしくは双方が)大なり小なり我慢していることを示している。例え小さな不満でも、それを我慢し続けると「塵も積もれば山となる」わけで、大問題に発展する可能性は否めないと氏は言います。
「ケンカや意見の対立はしないほうがいい」と思い込んでいると、結果、相手への不満がたまるもの。違う人間なのだから対立が起こるのは当たり前のことととらえ、回避するのではなく問題を解決し乗り越えるための努力を惜しまないことが肝心だというのが氏の見解です。
次に氏が指摘する三つ目の勘違いは、「自分のダメなところは見せないほうがいい」という思い込みです。
パートナーに嫌われたくないと思うのは悪いことではないが、好感度が下がることを恐れて、自分の弱さやズルさといった短所をひた隠しにしている人が多い。表面的に取り繕い、かっこいい(かわいい)自分を見せてばかりいても、半年や1年も経てばそんなメッキは簡単に剥がれてしまうと氏はしています。
婚活で出会って結婚を前提にお付き合いするところまで進む人は多い。しかし、結局結婚に至る前に別れてしまうというパターンに陥る人は、そうやって「臭い物に蓋をする」ようなスタンスが原因なのかもしれないということです。
そして、氏が指摘する最後の勘違いは、「減点されないよう常に細心の注意を払うべき」という誤解だと氏はこの論考に記しています。
「こんなことを言ったらウザいと思われるかも」「こんなことをしたら嫌われちゃうかも」と、異性を前に自身の言動が減点対象にならないように注意している人は多い。確かに減点されないに越したことはないが、一方で、「減点」ばかりに目が向くと肝心の「好感度」の加点を狙えなくなってしまうのはよくあることだと氏は言います。
減点されないようと細心の注意を払っている人はリスクを背負った言動ができないので、意表を突いた「好感度爆上がり」のチャンスを逃してしまう。減点されないようにしていれば嫌われることはないけれど、それでは「(どうでも)いい人」どまり。往々にして劇的に好かれることもないというのが氏の指摘するところです。
婚活で途中まで交際が順調にいっても、結局成婚に至らない男女に共通しているのは、「目先の順調さ」ばかりに気持ちが向いてしまっているパターンが多いと氏は話しています。
婚活とは、残りの人生を連れ添うパートナーを見つけるために行っている(まさに人生をかけた)誠実な行為。逆に言えば、虚飾を排し、構えず気楽に接することで本当のパートナーがみつかるかもしれません。
完璧な結婚なんてありえないというのは、私もよくわかります。慣れないうちはなかなか思い通りにはいかなくても、そのうち「結婚してよかったなぁ」と思える瞬間が増えてくるのも、楽しみと言えば楽しみなもの。そんな経験も踏まえ、最初のうちは不和ばかりで波乱万丈だったとしても、最終的に理解し合えるパートナーが見つかればそれで十分幸せになれるのだからとこのコラムを結ぶ堺屋氏の指摘を、私も興味深く読んだところです。
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