MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2582 宇宙に始まりや果てがあるとしたら

2024年05月14日 | うんちく・小ネタ

 5月に入り、太陽の表面で起きる大規模な爆発現象「太陽フレア」の発生により、世界的な規模で広範囲に「オーロラ」とみられる現象が観測されていると各メディアが報じています。

 この日本でも、北海道に加え本州でも赤い夜空の撮影報告が相次ぐなど、その確認情報は枚挙にいとまがありません。一方で、フレアから生じた電磁波によって通信障害が起きる恐れも指摘されており、情報通信研究機構などにより十分な注意が呼びかけられています。

 テレビやネットなどでも各地で確認されたオーロラの映像が日々公開されており、見られやすい場所には毎夜天文マニアが押しかけている由。こうした情報に、遠い宇宙の出来事に(柄にもなく)思いを馳せている人も多いかもしれません。

 さて、一体、私たちの生きるこの宇宙とはどういうものなのか。そのそも、この宇宙はいつどのように始まり、そしてそこには「果て」があるのか。子供の時分、誰もが一度はそんな疑問を親や先生に投げかけたりしたことがあることでしょう。

 実際20世紀初頭まで、天文学の専門家も含めほとんどの人々が宇宙は定常的なものだと考えていたとされています。「宇宙には始まりがある」とする天文学者は皆無であり、宇宙の膨張を発見したとされるエドウィン・ハッブルも、一般相対性理論を確立させたアインシュタインですら、「宇宙に始まりがあった」という考えには否定的だったということです。

 そうした考え方を覆すことになった「ビッグバン理論」は、1922年にソ連の天文学者アレクサンドル・フリードマンが膨張する宇宙のモデルを発表したことに始まります。1927年にはベルギーのジョルジュ・ルメートルが、渦巻銀河が後退しているという観測結果に基き「宇宙は原始的原子 (primeval atom) の爆発から始まった」という仮説を提唱。次いで1929年、前述のハッブルが、銀河が地球に対してあらゆる方向に遠ざかっており、その速度が地球から各銀河までの距離に比例していることを発見したことで、「宇宙は膨張している」(かもしれない)という可能性が驚きとともに認知されるようになったということです。

 Wikipediaによれば、「Big Bang」とは、(宇宙が非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になったとする)ビッグバン理論における、最初の爆発的膨張を指す言葉。それは今から138.2億年前の出来事とされ、以来宇宙はどんどん膨張を続けていると考えられています。

 確かに、我々が観測できる宇宙空間が毎日毎日膨張しているとしたら、そこにはそうした動きが始まった「場所」と「時間」と「きっかけ」があったはず。それを何かの「爆発」とみるのは、最もわかりやすい推論と言えるでしょう。

 そこで気になるのは、それではこの宇宙が始まる前のこと。そこには一体何があったのか。爆発によって今の宇宙が生まれたとしたら、「その前」の状態はどんなだったかという部分です。

 そればかりではありません。宇宙が今も膨張し続けているとすれば、それではどこに膨張しているのか。膨張するためには「その先」の空間があるはずで、宇宙の果ての向こう側は一体どんなところかというところも気になるところです。

 さて、こうした(わかったようでよくわからない)問題に関し、5月14日の総合情報サイト「DIAMOND ONLINE」が、デイヴィッド・ベイカー氏の著書『早回し全歴史 宇宙誕生から今の世界まで一気にわかる』の一部を紹介していたので、参考までに小欄に概要を残しておきたいと思います。(「ビッグバン以前には何があった?という謎への答えとは?」2024.5.14)

 「ビッグバン以前」に関する疑問への答えとしてそこに記されているのは、「ビッグバン以前には宇宙は存在しなかった」というもの。空間はビッグバン後に生まれたもので、ビッグバン以前は何かが動けるような空間はなく、何らかの変化が生じるような場もなかったと記事は言います。

 変化がなければ何も起こらず、従って時間として計られる意味あるものは何も存在しなかった。もう少し簡単に言えば、要するにビッグバン以前に(我々が把握できるような)「空間」というものはなく、変化もなく動いたり形を変えたりするものもなく、もちろんそこには「時間」もなかったということです。

 なので、もしもビッグバン以前に何かが「存在」していたとすれば、それは(我々が知る)宇宙の基本法則では理解できない異質なふるまいをする何かであるはずだと記事は説明しています。そこには、原因があって結果があるという順序も、過去・現在・未来という時の流れもない。よって、私たちの宇宙(の歴史)はビッグバンから始まったと言えるということです。

 なるほど、時間とか空間とか物質とかいった(今の世界を形作っている)「決まりごと」というか「システム」自体がビッグバンとともに始まり、今もすごい勢いでその範囲を広げているということ。なので、もしも宇宙の果てまで行きつけば、そこから先には空間や時間は存在しない(つまり、そこはまさに「宇宙の果て」)ということなのでしょう。

 「ビッグバン以前」を気にする人は多いが、ビッグバン以前には「時間」自体が存在していない。したがってビッグバン「以前」は(そもそも)存在しないと記事はしています。ビッグバンの前にも何かがあったという考えは、子どもが父親と母親を引き合わせたと考えるようなもので論理的に不可能だと話す記事の解説を、私も興味深く読んだところです。



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