
ツタンカーメンの青春
「ツタンカーメン王墓発見100年」「ヒエログリフ解読200年」を記念して開催されている体感型古代エジプト展が本日、最終日を迎えます。
ツタンカーメンの王墓に納められた副葬品のうち、約130点を精巧に再現した「超複製品(スーパーレプリカ)」が展示されています。
写真撮影自由だったので、撮影した写真を紹介させて頂きます――。
目次
入り口

カーターが見た光景を追体験
最初の部屋では、ハワード・カーターが封印壁に穴を開けて、蝋燭で照らしながら初めてツタンカーメン王の王墓を見た光景を追体験できます。
息を飲む光景に、スポンサーのカーナヴォン卿から「何か見えるかね?」と問われたカーターは、「はい…素晴らしいものが…」と答えるのが精一杯だったそうです。

封印壁の前には、雌ライオンの飾りのある金箔の寝台と冠を被ったツタンカーメン王の番人が展示されている。
金箔の寝台は、カーターが封印壁の穴から眺めた景色の真正面にあったもの。





ツタンカーメン王墓(玄室)
ツタンカーメンのミイラが埋葬されていた部屋(玄室)が実寸大で再現されています。















ツタンカーメンの青春










【儀式用の戦車】
ツタンカーメンの王墓に納められていた儀式用の戦車で、計6台が解体された形で納められていました。




【ツタンカーメンの部屋】
ツタンカーメンの祖父アメンヘテプ3世が造ったマルカタ宮殿の王の寝室の遺構データを元に再現された「ツタンカーメンの部屋」。
黄金の玉座は彼が幼少の頃から使っていたもので、右隣の椅子は妻アンクエスエンアメンのもの。












中央展示
【ツタンカーメンの人型棺】
ツタンカーメンの人型棺のコーナーでは、人型棺が展示されている台の上(色が変わっている所)に乗って、間近で観察することができます。

【第1の人型棺】
入れ子構造の一番外側にあたる人型棺。















【第2の人型棺】
3つの人型棺のうち、真ん中にあたる棺。











【第3の人型棺】
人型の棺のうち最も内側の棺で、この棺からツタンカーメンのミイラが発見されました。現在、これらの棺や厨子は門外不出とされています。











【黄金のマスク】
第3の人型棺に安置されたツタンカーメンのミイラの頭部に直接被せられていたマスク。
額にはエジプトを象徴するハゲワシ、コブラが装飾されており、冥界の紙オシリス神と同体であることを示す髭がつけられている。





ちなみに、厨子は表面と裏面で模様が違うので両面楽しめます。




【巨大スクリーン】
黄金のマスクの後ろに巨大スクリーンが設置され、古代エジプトのイメージ映像が壮大なBGMと共にエンドレスで流れています。

【アヌビス神像付き厨子】
墓地の守護神でミイラ作りの神でもあるアヌビス神の像は、木製で黒漆塗り。目は黒曜石とアラバスターの象眼。
厨子の屋根は開くようになっており、護符と8つの胸飾りと2つの方解石の壺が納められていました。
[参考] アヌビス神像の厨子 / 吉村作治のエジプトピア





古代エジプトの死生観とミイラ




【シャブティ】
墓に副葬された人の姿をした小さな像。死後の世界で、墓の主の召し使いになると信じられていました。






【ツタンカーメンの娘のミイラと人型棺】
ツタンカーメンの2人の娘のミイラと納められていた人型棺。金のマスクは、娘の一体に被せられていました。



【カノプス箱】
王のカノポス箱を納めるための厨子。四面に、死者の守護神であるイシス女神、ネフティス女神、ネイト女神、セルケト女神が立っています。
箱には、ファラオの内臓の守護を願うヒエログリフが刻まれています。
[参考] カノポス厨子 / 吉村作治のエジプトピア


【カノプス箱】
防腐処理が施されたツタンカーメンの内臓が入ったカノプス壺を収納していた箱。
[参考] カノポス箱 / 吉村作治のエジプトピア






古代の神聖な文字「ヒエログリフ」



展示室は暗いので、入り口にあるペンライトの光を当てて見る形になります。





古代エジプトの信仰











【アクエンアテンの彫像】



【太陽円盤の神アテンへの信仰を現す石碑】


【アメンヘテプ3世の王妃の頭部像 / アクエンアテンの王妃の胸像】

【アメン・ラー神に護られるツタンカーメン】

巨大スクリーン
会場の出口(写真中央)の外には巨大スクリーンが設置されていて、3D測量データを元に作られたピラミッド群や王家の谷の映像が流れています。
(右側の小さいスクリーンは入場前に見る映像で、その右側に展示会場への入り口があります)


ピラミッドが建っている台地のすぐ傍までナイル川から流れる運河が形成されているなど、古代エジプト時代のピラミッド周辺の景観を体験できます。




・角川武蔵野ミュージアム
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 ところざわサクラタウン
※JR武蔵野線「東所沢駅」から徒歩約10分
編集後記
展示品は(スーパー)レプリカということですが、あまりにも精巧に造られていて本物にしか見えませんでした。
ミュージアムが郊外にあるので休みの日でも混雑しておらず、展示スペースもさらっと見ると1時間くらいで見終えるくらいのちょうどいい大きさです。
なにより、レプリカということでガラスケースに覆われておらず、目前でマジマジと眺めることができるので展示品を存分に堪能できます。
エジプトまで行く時間やお金の数十分の一で古代エジプトを体感できるので、来展する価値は十分にあるのではないでしょうか――。

【不思議な方法】
ピラミッドの建造方法については未だに解明されていませんが、エジプトにはピラミッド建造について、古くから言い伝えが残っているそうです。
それは、紀元前300年頃に実在した歴史家で神官のマネトが残したとされる記録で、こんな一節があったといいます。
「不思議な方法によって、東方から訪れた高貴な人々がエジプトにピラミッドを残して去っていった」
“東方から訪れた高貴な人々”とは一体誰なのか。そして、“不思議な方法”とはどのような建造方法だったのか。謎は深まるばかりです。

【出典】「体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春」「吉村作治のエジプトピア」
「ギザの大ピラミッドと出雲大社の不思議な一致」