エンターテイメント、誰でも一度は憧れる。

PCグラフィック、写真合成、小説の下書き。

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(7)CG

2008-07-12 14:38:40 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(7)CG

そして冷たい北風が吹く日も少なくなり、雨が降る日が多くなっていた。そして二月も終わり、三月に入ると毎日の様に誇り交じりの突風が吹き荒れた。事務員から、これは中国から吹いてくる黄砂で季節風だと知らされた。
そして暖かい南風が吹いて本格的な春を迎えた。
そして近くにある小学校や中学では卒業式が行われ、着飾った母親が会社の前を歩いていた。
そんな良く晴れた或日の夕方、一人の女性が支社に入って来た。
「済みません、近藤支社長さんはいらっしゃいますか」?
私は奥の部屋で見本のプラスチック製品を並べていた。
事務員が部屋に来て私を見て笑っていた。
「支社長、奇麗な彼女がご面会ですよ。隅におけませんね」。
「そんなのいないよ、取引会社の人だろ」。
オフィースに戻るとスラットした細身の女性が立っていた。私を見るなり「その節はお世話になりました。私です立花美保です」。深々と頭を下げた。

一瞬誰だか分からなかった。「・・・ああ、新幹線の。どうもお久しぶりです。業々来てくれたんですか?・・・」。
「はい、コートとお金、助かりました。私あれから病院で診て貰ったら軽い肋膜炎にかかっている事が分かりまして。それでづっと入院していて昨日やっと退院出来たんです。お礼が遅くなってしまって申し訳ありませんでした」。
「そうでしたか、でも治って良かったですね。もう仕事も終わりですから。もし暇でしたら夕食でもどうですか?・・・」。
「はい、有り難うございます。御一緒させて戴きます」。
こうして皆んなが帰って来るのを待って六時には仕事を切り上げて街へ出た。
病み上がりのせいか、彼女は少し青白い顔をしていた。私は元気でも着けて貰おうとステーキハウスに入った。
隅の席に案内され、ワインで快気祝いの乾杯をして食事をした。彼女の笑顔は仕事の疲れを忘れさせてくれる程、美しく優しい笑顔だった。
私みたいな男と釣り合いが取れないと思いながら、ひと時の楽しい時間を過した。すると、何か心配事でもあるかの様に、彼女の顔が陰った。
「近藤さんって良い人ですね。私の事嫌いですか」?
私は突然聞かれ、一瞬戸惑いながら顔を見ていた。
「いえ、好きですよ。一体どうしたんです急に。私みたいなバツ一の男に」。
「近藤さん、近藤さんの家で私の話を聞いてくれませんか」?
「え、ええ。それは良いですが、散らかっていますよ」。
「私が掃除してあげます」。
私は相当な事情があると思ってそれ以上聞くのは止めた。そしてレストランを出た。そしてタクシーを止めて乗り込んだ。
「近藤さん、お願いがあります。駅のコインロッカーに荷物が少しあるんです。寄って頂けますか?・・・」

「ええ、良いですよ。運転手さん、駅に向かってから敷地へ行ってください」「分かりました、駅南でいいですか」
「はい、お願いします」。
間も無く駅に着くとタクシーを降りると彼女は小走りに駆けて行った。そして間もなく小さな旅行バックを下げて戻って来た。
彼女はハアハア息を弾ませて乗り込んだ。「済みません、お願いします」そして私の胸に体を預けた、彼女の手が私の腕をしっかり握り締めていた
何かある、もしかして既婚者なのか、夫が暴力的とか・・・そのな事が頭をよぎった。無言で胸に縋る彼女の肩に手を乗せた。
アパートに入るか否や。「済みません、私嘘を言っていました。御免なさい」と床に両手を着いて詫びた。「いいよ、何か事情があると思っていたから」
「うん、私本当は京都の出身なんです」。
「えっ、そう。でもその話しは後で聞く事にして、先にお茶でも入れるよ。好きなだけ此々にいたらいいから、自分はこっちで寝るから」。
私は毎日淡々とした仕事に刺激が欲しかった。興味本位ではあったが彼女の話を聞いて見ようと思いながら台所に立った。
「近藤さん、私がします。私にやらせて下さい」。
そう言うと私の手からケトルを取ると水を汲んでレンジにかけた。私は真後ろに立って彼女のうなじを見ていた。
すると、クルッと振り向くと抱き着いたのだった。
「私近藤さんが好きです。新幹線で遭った時からいままでづっと会いたくて会いたくてたまらなかった」。
私は急な出来事に戸惑い、どうして良いのか分からず、ただ彼女を抱き締めていた。すると、ピ~ッとケトルが鳴り出した。
NO-7-14



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まいど (タイムライン)
2008-07-12 16:50:44
どうもpuriさん。
CG楽しんで頂いて嬉しいです。
ハードボイルドがお好みなんですね。じゃあこれはいいかも知れません。
先生なんて恥ずかしい、タイムでいいですよ。

秋女の件、パンさんから電話ありました。大きな写真があれば助かりますけどね。
パンさんも頑張っていますよ。
返信する
こんにちは^^ (puri)
2008-07-12 15:23:28
いつも画像の方へ目が行き、保存させていただいて自分のPCの壁紙に、色々使わせていただいています

私も実は読書も趣味なんです。ただ本屋(遠い)行って・・時間がないとなかなか読めない。
文庫本は最近、途中で眠くなる・・(+_+)

桐野夏生さんの作品が好きですね。ハード系が好みです

で・・今回、先生の小説しっかりすべて拝読させていただきました!
年代的にも背景が頭に浮かび・・楽しく拝読させていただきました・・

次回、小説の続きも画像もまた楽しみにしています

次はパンドラさんの小説にお邪魔しようかなっと・・
返信する

コメントを投稿