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小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(62)&CG合成

2008-10-02 01:58:30 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(62)&CG合成

その話しを元に、警察では身元を探しております。そして現在、長野県警山岳救助隊では天候が良くなり次第、救助に向かう準備を整え、待機していると言う事です」。京兵はテレビを消した。
「あの六人じゃない。天罰だよ、私達が手を下さなくても罰が当たったのよ」。
「こんな事ってあんのかな。まさかあんな所で滑落するなんてさ。道幅も十分あるし、何もロープを結び付けて歩くほど危険な所じゃないぞ。不意を憑かれたんだ。遭難する時ってそんなもんだ」。
「それで六人が落ちた所ってどんな所なの」?
「うん、下はガレ場で鋭く尖った石がゴロゴロしていてさ。落ちたらまず助からないだろうな。あんな所で落ちたなんて話しは聴いた事がないよ」。
「そう、今日はもう捜索は無理ね。もう時期真っ暗になるもの」。
「いや、あそこなら暗くても天候さえ良くなれば行けるよ。下は灘かで何にもないから、ヘリも着陸できる」。
しかし、その夜は一晩中激しい雨が降り続き、捜索は断念された。
翌朝、その朝もまだ激しく大粒の雨は振っていた。「こりゃ捜索は無理だな」。
現地の捜索隊は成す術がなかった。
激しい雨はようやく昼前には雨が上がり、今度は濃霧が辺りを包み込んでいた。
そしてガスっていた霧も晴れ、山々が目視されるようになったのは午後になってからだった。捜索隊は重装備で山へ向かった。
上空には救助に向かうヘリの爆音が山岳に鳴り響いていた。
そして二時間、午後二時に滑落した現場に辿り着いた救助隊が目にしたのは、無残な遭難者の六人の姿だった。
滑落のショックで頭部が割れ、大雨で脳が流されていたのだった。そして、或者は手足が折れ曲がり、身体は砕け、腹部は裂けて体がバラバラになり、滑落の恐ろしさをまじまじと物語っていた
誰一人として生存者はなかった。救助隊員は手足を拾い集めては六人全員の死亡を確認し、遺体を収容した。
翌日の晩、京平の元へ救助に向かった山岳救助隊隊員の山田が来た。その話を聴いた。美保は目を細めて聴き入っていた。
「それで身元はやっぱり登山者が聴いた人達だったよ。なんでも大学の同期で六人とも開業医の院長さんだってさ。
なんであんな所から落ちたのかな。ザイルが六人の命を奪ったようなもんさ。じゃあ奥さん御馳走様」。と、山田政晴は帰った。
「なんか残酷な話しね、でも死に様がその人の人生の縮図って言うけど。あんな事さえしなきゃ長生き出たのに」。
「それもそうだけど、まともな病院経営さえしてれば僕等の罠に嵌まる事もなかった。例え事故死とは言え、千五百人だからな、その女性の恨みを背負って死んだんだよ。
六人の中の宮田輝雄と言う医者を通して話を進めていたろ。あの男が上高知の話を出した時に、そこで私達を殺すんですかって聞いたんだ。覚悟していたと思うよ」。
「そう、そんな事言ったの。じゃあ身辺整理して来たのかも知れないね。最後に何か悟って死んだんなら良いけど」。
「ほら、中の湯温泉でダンボール箱を抱えて来たろ、あの声が宮田だってすぐに分かった。患者を騙してあんな卑劣な事をしていたような顔には思えなかったけど、人間って分からないもんだな」。
「京平さん・・・」。そう言うと自分を指さしている美保だった。
「エ~ッ・・・本当だ、僕達も一緒か。顔や見掛けでは判断できないって事か。こいつ~っアッハハハハ」。京平は美保を抱き締め、そっと唇を重ねた。
そして二日が過ぎた。京平と美保は食事を済ませ、テレビを付けた。午後のュースが始まっていた。画面では割谷山から転落死した遺体の司法解剖も済んだ事を伝え、遺族が遺体を引き取りに来た事を流していた。
すると、美保が突然立ち上がってテレビに走った。そして画面を食い入るように見ていた。
そして映像が切り替わって外のニュースになると京平の隣に座った。
「いまの遺族の女の子、私の同期の子よ。大学では殆ど話した事なかったけど顔は覚えている。佐野加奈江さん、まさか佐野吉晴の娘だったなんて皮肉ね」。
「そうか、美保の同期か」。
そんな話しをしていると「お二人さ~ん!」と京平と美保は母良江に呼ばれて事務所に降りた。すると静岡県警の三河警部と小森刑事が立っていた。
「どうも、お休みの所済みません。少し良いですか」?
刑事は済まなそうに頭をかいていた。京平は家の応接間に通した。
「またですか、今日はなんです?・・また大浜の事ですか」?
「いいえ、今日は割房山で転落死した東京の医師の吉原信次さんの事で来ました。実はあの吉原医師は大浜で殺害された二人の一人、堀田俊也と関係がありましてね。驚きましたよ、我々が調べていた或事件の容疑者が突然転落死ですから。それで事実確認と滑落したその時の状況を調べに来たんです。後に続いて登山していた人から聞くと事故だったようです。
それで調べていたら、当日お二人が登山に行かれていた事をお聞きしましてね。それであの人達の事で何かご存じかと思いまして、また叱られるのを覚悟でお邪魔した次第です」。
「確かに行っていました。警部は僕たちの行く所死人ありですか」。
「いいえ、そう申し上げている訳ではありません・・・」。
「あの日は前以て予定していた登山なんです。今年最後の登山をと思いましてね。妻も初めてでしたから。行動から話しますか?・・・」。
「いえ、それは結構です。何か見たとか聞いたとかありませんでしたかね」。
「それは何に着いてですか?・・・登山者はいつもの休日より少なかったですが大勢いましたから。何か見たかと聞かれても漠然として何を話していいのか分かりませんよ」。
「では到着した時間は何時ころですか」?
「九時ごろですが、勿論車でですが。止めたのは中の湯温泉の北にある駐車場です。それで直ぐに山に入りましたけど」。
「そうですか、では歩荷さんと会いませんでした。その歩荷さんと一緒に上って行ったと言う女性は知りませんか」?
「いいえ、美保は見たか」?
「刑事さん、その歩荷さんってなんですか。私は初心者もいいとこで山の事は何も知らないんです」。
刑事は薄笑いを浮かべると説明した。美保はうんうんと身を乗り出して聞いていた。NO-62-46

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(61)&CG合成

2008-10-02 01:56:13 | 小説・鉄槌のスナイパー(第三章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー61ー&CG・花の合成

美保は疑心暗鬼ではあった、しかし京平の真剣な眼差しを見て支度を始めた、そしてザックを背負うと京平の後に続いた。
そして一時間も歩くと陽が陰り始めた。二人は国道158号線に出ると登山道には入らず、遠回りになる国道を下った。
京平は道端にある草花を説明しながら歩いていた。そして幾つものパーティーと会うと挨拶を交わしながらゆっくりとした足取りで中の湯温泉へと下山していた。
そして温泉が見えた頃、ポツッポツッと帽子に雨が落ちてきた。乾いた道路には点々と雨が落ちて来た。
「ほんとうだ!・・・雨が降ってきた。良かったここまで来てからで」。驚いたように空を見上げた。すると、二人の頭上は真っ青な空が広がっていた。二人は小走りで歩いた。
そして中の湯温泉に着く頃には真っ黒な雲に覆われていた。ザックを後部座席に入れて乗り込んだ。
「美保。昼は途中まで下ってから食べようか」。
「うん、そんなに空いてないからそれでいいよ。もう山は雨だね。ガスが掛かって何も見えないもの」。
「うん、奴等どうしているかな。山頂付近はホワイトアウトだ。まあ、ハイカーが大勢いるから一緒にビバークしているだろうけどな」。
「なあにそのビバーグとかホワイトアウトって」?
「え、うん。ガスって視界が一~二メートル先も見えなくなる現象をホワイトアウトって言うんだ。そうなるとちゃんとした登山道でさえ分からなくなるからね。百戦錬磨のベテランでも遭難する怖い現象だよ。
ビバークとは露営、知ってる人はそこで止まってガスが晴れるのを待つけど素人は無理して登って遭難する、山は怖い生き物だからね」。
そして駐車場を出た。すると間も無く雨が降り始めた。すると次第に雨脚が早くなりワイパーを始動させた。
そして奈川渡ダム辺りに来るとサイレンの音が聞こえ、次第に近付いて来た。警察のジーブと救急車が上って来た。
「ねえ、怪我人かな、病人かな?・・・」。
「うん、どちらとも言えないな。警察のジープが行ったと言う事は登山者が滑落したか遭難の可能性が強いけどね。こんな日は足元が滑るから良くあるんだ。
せっかく来たんだから引き返すのは勿体ないなんてね。それで無理して登山を続けると大怪我するか遭難して命を落とす。山は怖いぞ」。
「うん、京平さんの適切な行動にバンザイだね」。そう言いながら小さなガッポーをしておどけて見せた。そして波田町に戻り、唐沢に着くと名物の唐沢ソバの専門店に入った。「オ~ッ紺野、来たなら声を掛けてくれよな。奥さんこんちは。なんだ山へ行って来たのか?・・・」。
それは京平の大学の同期の島田英雄の店だった。
「うん、一生懸命ソバを打っていたからさ。途中まで行ったけどこの通り、引き返したよ。それより救急車とジープ上っていったぞ」。
「ああ、遭難らしい。詳しい事はまだ分からないけどさ。それより奥さん、赤ちゃんはまだかい」?
美保は真っ赤になって京平を見た。そして首を横に振った。
「そうですか。紺野、早く作れよ。もう若くないんだぞ」。
「そんな事言ったてさ、そのうち出来るよ。なあ美保」。
「うん、それよりお蕎麦美味しかったです。また京都へ送りたいからお願いします」。
「あいよ、そう言えば小山から電話あってさ。蕎麦の料理を出したいから教えてくれってさ。あいつが料理を教えてくれだなんて初めてだぞ。どう言う心境の変化なんだ」。
「そうか。来月から彼のペンション修理して少し料理を変えたいってさ。いまのままじゃ平行線で利益がないからな。それで出す料理に宿泊料金に合わせて格差を付けるように助言したんだ」。
「そうか、料理にかけては人一倍プライドの高い小山がな。じゃあ俺も協力するか。奥さん、京都の住所は前のところですね」。
「はい、宜しくお願いします。お会計は一緒に」。そして支払いを済ませ、土産を貰って店を出た。雨は本格的に振りつづいていた。
二人は走って車に乗り込むと自宅へ帰った。そして白馬に近付くと雨のカーテンを抜けたようだった。道路が濡れた路面と乾いた路面がクッキリと別れており、雨は振っていなかった。
空はカンカン照りで蒸し暑ささえ感じた二人だった。そして自宅に戻るとザックを降ろして部屋に入った。するとノックして母が入って来た。
「京平、美保さん。遭難したんじゃないかって心配したわよ。さっきニュースで割谷山で何人か足を滑らせて落ちたって言うから。でも良かった貴方たちじゃなくて」。
母良江は青ざめた顔がスッと赤みが差していた。
「そうか、やっぱり遭難か。僕等は逆から登ったからね。それに気圧計を持ってって良かったよ。焼岳で変化があったから山を降りたんだけどさ。それで中の湯に降りたら振って来た。なあ美保」。
「うん、適切な判断でした。ご心配お掛けしまして済みません」。
「いいのよ、京平は一度あの山で大怪我しているから。でも判断を誤る山男じゃないと信じるから。それよりせっかく行ったのに残念だったわね」。
「いいえお義母さん、私もう十分楽しんで来ましたから。それに濡れずに帰って来れましたから」。
「そう、じゃあゆっくりなさいね」。と言い残すと部屋を出て行った。
二人は着替えるとザックの札束をダンボール箱に移し、天袋に押し込んだ。美保は部屋を出るとお茶の支度をして戻って来た。
京平はテレビを点けると五時のニュースを見入っていた。
「今日昼過ぎ、上高知に登山に来ていた中年男性六人のパーティーが割谷山で遭難した模様です。現在山岳救助隊など、地元の消防団など待機しておりますが、天候が悪く、雨が激しく振り続いており、霧でヘリコプターも出せない状況であり、救出には出られないとの事です。
遭難したこの六人のパティーは登山計画書を提出しておらず、氏名年令はいまの所分かっておりません。
しかし、一緒に登っていた登山者の話しですと、上高知から登り、割谷山から焼岳を通って安房峠に向かい、十石小屋から白骨温泉へ降りると話していたそうです。なお、別の登山者の話ですと、遭難した六人のパーティーは、東京、横浜、京都で開業している医師のグループだと話しいたいそうです。
その六人は、登山者の男性が危険だから止めた方が良いと言う忠告も聴かず、ロープで体をつないで登山しており、滑落した現場に差し掛かった所、浮き石を踏んで一人が滑落すると、引き込まれるように次々と斜面を落ちて行き、助ける余裕がなかったと。その登山者は話しているそうです。NO-61