はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

人々のご意見‐中国国語教科書問題

2012-05-18 12:00:32 | その他
ネットで拾った、中国の人々の声です。

日本人的には「信じられない」教科書問題も、中国人は比較的冷静に受け止めています。
これでも20年前に比べたら随分マシなんだそうです…(絶句)。

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A:これはひどいと思う。子供にはできるだけ名作と言われる良い本を探して読ませてやりたいと思うが、学校の国語の成績が大切なのも事実。教科書がいくら悪文だとわかっていても、試験のためにはやっぱり丸暗記させるしかない。どうすればいいのか。

B:教科書なんてもともとこんなもんでしょ。自分が勉強した20年前にくらべたら、これでも随分マシになったと思うよ。この20年で社会が随分豊かになって、昔では考えられなかった海外の名作も次々翻訳出版されるようになった。ハリーポッターだってすぐ読める今の子供たちの目から見れば、時代遅れの教科書がつまらないのは仕方ないと思う。

C:教科書編纂者の反論も見たよ。小中学生の国語はピンイン、漢字、語彙を増やすことに重点を置いているので、高校生ならともかく、小中学生にそんな文化だの伝統だの高尚な文章は読ませる必要がないって。原文をそのまま載せたら膨大になるし、教育的効果を考えて削除や編集は必要なことだって。そこから原文に興味を持ってくれるかも知れないし、だって。

D:ウソや盗作が「教育的効果」っていうのもどうかな?
多くの親は教育熱心で、子供の塾や習い事にはお金を惜しまないし、テストの点数は異常に気にするけど、学校で何が教えられているかなんて興味ないんじゃないかな。結局国語でいい成績をとって、いい高校、いい大学に受かってくれることだけが大事なんだよ。

E:教科書以外にも問題は山ほどあるよ。葉開はテストの出題形式や作文指導なんかもおかしいを通り越して変態の域だと酷評してる。もうとっくに覚えている漢字を20字ずつ書かせたり、教科書の全文を5回丸写しさせるような宿題を出す教師は、自分の指導力不足を反省するべきだ。仮に教科書が改訂されたとしても、それだけで今の教育現場の問題が解決するとはとても思えない。

F:北朝鮮の教科書なんかもっとすごいらしいよ。「金正日が地図上で日本を黒く塗りつぶしたら日本が暗闇に包まれて、大災害が襲った。」とか書いてあるらしい。中国の教科書はさすがにそこまでは書けないな。

G:そもそも日本やドイツと比べるほうがおかしいんだよ。国内の貧困人口は1億人、学校に行けない子供が数百万人、文盲が1億人以上いる国で、教科書のレベルなんてまだまだ問題にすらならないんじゃないかな。この教科書で学んだ子供の何万人に一人が将来文学を志すかって話だよ。小学校では読み書きさえ教えればそれでいいってレベルの人がほとんどじゃないの。この教科書がおかしいと思う金持ちの知識層なんて、全人口の数パーセントに過ぎないだろう。

H:教科書っていうのは結局最大公約数的にしか作れないからね。この格差社会の中国で誰もが受け入れられる教科書を作ろうっていうのがそもそも無理なのかも。

I:そういえば最近、80年以上前に出版された民国時代の国語教科書が復刻されたり、台湾の国語教育についての評価も高まっているね。

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前前回ご紹介した作家、葉開さんのブログ
http://blog.163.com/liaozenghu@126/

葉開さんの著作『対抗語文:譲孩子読到世界上最好的文字』復旦大学出版社
http://product.dangdang.com/product.aspx?product_id=22477706

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6 コメント

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残念な反応が多いですね (mwn)
2012-05-18 16:44:08
納得できる意見が少ないような気がするのは私だけ?
皆の協力や批判の声があがってこそ、
変化を求める力につながるのに・・・。

そうでした、中国の人って個人主義だから、
自分の利益と直結しないことには
あまり熱くなったりしないんですよね。

もしかしたら、熱くなってもすぐつぶされる、の繰り返しで
諦めているのかもしれないけれど。
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Unknown (あんず)
2012-05-20 00:07:19
お母さん3人集まれば、中国の教育問題や、教科書問題を熱心に批判するのに、日常に戻ると子どもの宿題をこなすのに精一杯、休む間もなく次々とやって来るテストで点をとらせなければ泥沼にはまっていくのを知っているから、結局は何時の間にやら言いなりになっている感じよね(我が家も含め)。母たちの口からため息とともにもれる「没方法」の言葉を幾度聞かされたことか・・・。
そうやって育っていった子どもたちが、「質より量」とか「内容より金」などという考え方に至ったらどんなに悲しいことでしょう。上のコメントにすでにそんな考え方が現れているものね。
たとえ一部の人だけでも声をあげて少しずつ変わっていくことを信じているわ。「金持ちの知識層」がうようよいる上海に頑張ってもらわなくちゃ!
それとともに、もう小学生である娘たちを持つ私としては、国が変わるのを待ってはいられないので、家庭でしっかり教育しなきゃ、と決意を新たにしてしまうわ・・・。
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Unknown (かおり)
2012-05-20 17:03:06
確かにここに長く住んでいると教科書がそういう程度の事だという事に「そりゃあありえますね」と妙に納得してしまう自分がいます。
だって大学生の読書量は少ないなんてものじゃないくらいひどすぎるし、全然知識を増やす喜びと読書がかみ合っていないし、大学の先生方の論文が盗作だらけという環境で学生が育つわけはありませんからね。
だからうちは絶対に子供達を中国の大学には行かせません。
大学での研究があまりにもおろそかにされているというか、レベルも低いと思います。。
色々な資料を当たらせても全然良い本は見つからないし、日本ならすぐに出てくる海外の翻訳本も手に入らない。本当の意味での学習、研究があまりにもおろそかにされていて。。
だから中国の大学の先生は海外に行って恥ずかしい思いをされる方が多いのではないかと思います。
ますます娘達に日本語の読書をさせる習慣の大切さを感じさせられます。。
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Unknown (はとぽっぽ)
2012-05-21 14:56:38
>msnさま

そうなんです。周囲の中国人に話しても「あ、そうなの?」という感じで。盗作だろうがウソだろうが漢字が読めたり語彙が増えればそれでいいと思ってるんでしょうか。日頃愛国、愛国と言っておきながら、自分達の国の言葉や文化をないがしろにしている行為だと思うんですが。
最近中国人自身の中国語力低下が問題になっていますが、その原因に学校での国語教育をあげる人は57%に上っているそうです。

>あんずさん

「『質より量』とか「内容より金」などという考え方に至ったら」…ああっ、まさにうちの会社がその状態で…(泣)

この問題が指摘され始めて3年ほど経ちますが、一応教科書の出版社も気にしてはいるようです。
5年生の教科書『地震の中の父と子』では最初「1989年、アメリカロサンゼルスで大地震が発生、30万人が被災し、多くの子供たちが倒壊した学校に閉じ込められた。」と書かれていたのが、「1989年にロサンゼルスで地震はなかった」と指摘され、次の版では「1994年」に書き換えられています。94年には確かにロサンゼルスで地震はあったものの、被災者は1万人足らず、しかも地震発生時刻は朝の4時だったため「多くの子供たちが倒壊した学校に閉じ込められた」のはおかしいと指摘され、その次の年には「ある年、アメリカのロサンゼルスで…」と再び書き換えを行っています(苦笑)。

……今の教科書編纂のシステムを国が根本的に変えない限り、やっぱり永久に解決しないのでは?と思います。
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Unknown (はとぽっぽ)
2012-05-21 19:24:52
>かおりさん

本、読まないですね~こっちの人。大学出の親戚や友人の家に行ってもいわゆる資格試験の本やハウツーものはあるんですが、本自体すごく少ないですね。そもそも街中に書店すらほとんどないですし。義弟の家にも子供向けの本、5冊くらいしかなかった気がします。経済的には豊かになっても、一人当たりの読書量の平均は20年前とほとんど同じだそうです。

最近は翻訳本も増えていますが、それも売れそうな本ばかりで、学術書の類はひどいものです。日本はその点明治以来の先人達が翻訳した良書がたくさんあって、その国の言葉がわからなくても気軽に海外の名著を読むことができる…本当に贅沢なことだと思います。

以前台湾の最高学府、台湾大学の図書館に行ったとき、蔵書の約半数が英語の原書だと聞いてびっくりしました。専門書の類は中国語に翻訳されていないので、学生達は専門知識を学ぼうとすれば英語で原書を読むしかないのです。もちろん日本でも英語なしに研究はできないでしょうが、中国人と日本人では最初からハンデが違うと思いました。

ユネスコのデータベースによると日本の翻訳出版物の数は世界4位(中国は30位以下)、日本国内には特定の分野に特化した専門の出版社も数百社あります。出版不況も叫ばれていますが、今でも日本語は学術研究環境において、アジアの中では最も恵まれた言語だと思います。
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Unknown (Hiroshi)
2012-05-28 23:38:19
中国の教科書の先進性に驚いたことがあります。 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1786/trackback
これも事実の1面でしょうが、紹介されたことも事実の1面かと。 

それぞれの国の出版物数から、その国の文化の活発さの程度を推し量る指標している場合が多いですが、確かにその点では日本は恵まれていますね。

随分昔の話ですが、1994年当時、人口6000万のエジプトで年間出版される本は375冊という事実を知って愕然としたことがあります。同時期日本では53,890冊が出版されていたとか。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/479/trackback
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