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映画など街など

きままに映画や趣味を

ひみつの花園

2025-07-30 13:15:00 | 映画

公開が1997年と古い。
西田尚美さん主演のコメディ作品。
今やバイプレイヤーとして確固たる地位を築き、色んな役をこなせる名女優である。
不思議な存在感のある魅力的な女優だ。

監督は矢口史靖。
ウォーターボーイズ、スウィングガールズ、ハッピーフライト、Wood Job、サバイバルファミリー等の作品がある。
何故か全部観ていた。




鈴木咲子(西田尚美)は、子どもの頃からお金を貯めるのが大好きで、小学生のときには預金通帳を持っていた。銀行に勤めたのも母の勧めもあるが、お札を数えられるから。

ある日、咲子は銀行強盗に巻き込まれ拉致されてしまう。強盗団は車で逃走中に富士の樹海・青木ヶ原で横転、爆破。車のトランクに閉じ込められていた咲子は爆破寸前に脱出。
激流に流れ流され、やがて池壺に落下。辛くも助かる。

無事生還した咲子はTVでも放映され、時の人となる。

半年ほどの治療、リハビリ終えて職場復帰するが怠け癖がついてしまい、お札を数えても自分のものにならないと嫌気がさしてくる。

樹海で一緒に池に落ちた黄色のトランクが忘れられない。5億円が入っているからだ。
青木ヶ原の池の場所が特定できない。 
何とか探し出し5億円を手にすることが咲子の目標になる。
咲子の作戦が始まるのだ。 

まず家族で青木ヶ原に向かう。
理解ある家族だが妹の美香は渋々。咲子は一人で勝手に樹海に入り岩から落下し、またも遭難しかける。
 
富士の樹海の探索など素人が容易に出来るものではないと悟り、TVに出ていた樹海の専門家の森田教授を訪問。

森田教授から地質学を学ぶために多摩川大学を受験。何とか補欠合格。

とにかく熱心。真面目に講義を聴きノートもしっかり。他の学生のお手本になる。
教授からは特待生に推され、卒業後も研究室に残るように勧められる。



本来なら無気力でダラダラしているのが得意な咲子だが、金の為なら物凄い集中力と行動力を発揮するのだ。

咲子は、樹海の池の稚拙なイラストマップを作成している。

高額な機材も買いそろえ測量・探査の技術も習得してゆく。目的達成のために必要なことに迷わず投資する。資金は銀行辞めるときに解約した定期預金だ。

知識だけではなく技術も磨く。
池に潜るためスキューバダイビング教室、同時にスイミングスクールで水泳を。
岸壁を登るため、ロック・クライミング。
咲子は優れた運動神経の持ち主だったんだ。

自動車運転免許もとり、車も購入。

どれも秘密のお宝を手にするための投資だ。

出費が重なり、預金が底をついてもくじけない。ランジェリー・パブで働く。逞しい。







咲子は実家に忍びで戻り、預金通帳と印鑑を拝借して、銀行員の制服に着替える。
家族が帰宅。咲子は2階の屋根から飛び降り逃走。紙袋は破れて通帳は散逸。
4WD車の後にカエルのごとく張りつき移動。

咲子は銀行員の制服姿で青木ヶ原に。
諦めずに苦労の末、池壺を発見。
透き通った池壺の底に確かに黄色のトランク見える。
見事に5億円を手に入れる。 

いつも緩い感じの咲子の顔がキラキラと輝く。 



地質学研究室の江戸川には、5億円は自分だけのひみつの場所に埋めてしまったと言う。
次なる目標を見つけているのだ。
バミューダ海域に沈んでいるというお宝探しだ。



キャスティングがいい、演技もいい。
まず西田尚美さんのキャラ、演技だろう。
モデルから女優になり初主演。綺麗で可愛い方だが、咲子の脱力した空気感は西田さんしか出せないような気がする。金に執着し、「コーヒーおごりならその分お金ちょうだい」、払えない授業料に「じゃ前借りで」。
咲子らしく笑っちゃう。

咲子の家族はリアリティがあり代役が効かないほどハマっている。
母親は角替和枝、父親は鶴田忍。
妹の美香役の田中規子がよい。妹らしい表情・表現は見事だ。田中さんは芸能界は引退しているらしいが。
鈴木家の家族は雰囲気がよいのは、明るい母親の存在があるから、角替さんの自然な演技ならではだ。鬼籍に入って残念だ。

注意していないと気がつかないかもしれないが、水泳のインストラクターを木村多江が演じている。ロッククライミング指導は田中要次。伊集院光は自動車教習所の教官役。
30年も前だが皆んな若い。

椿銀行支店長に徳井優。
徳井さんはどんな作品でもいいカラーを出す方だ。
多摩川大学の森田教授に内藤武敏。
助手の江戸川に利重剛。
利重剛は今はオヤジ役のバイプレイヤーで活躍してるいるが、何処にでも居そうな男を出しゃばらず演じている。できそうでできない。

江戸川助手の元カノの伊丹弥生役に加藤貴子。なかなか面白い絡みを見せる、元カノなのに咲子に嫉妬している。
彼女も西田さんと同じ位の年齢で、デビューしてから間もないのではないだろうか。
弥生は咲子への対抗心で水泳をやり、オリンピック強化選手まで上りつめてしまう。

ちょい役だが図書館受付嬢に濱田マリ。

ストーリーはシンプルだがテンポがよい。
咲子は思いたったらまっしぐらにバンバン進む。努力が報われるところがいい。
教訓じみたことはゼロ、不思議な勇気を与えてくれる。

も一つ言えば、恋愛沙汰がないこと、また誰も死なない(強盗団の事故は別)、殺人や流血に及ぶ暴力がないこと、
悪い輩が登場しないこと。 
については一番評価したい。   


結局、咲子は5億円のトランクを見つけるが、その過程で自分の生きる道を見出したのかもしれない。お金をゲットすることが目的でも、一つ達成したらそこで満足せず次々にトライしていく生活を続けるのだろう。

この咲子というヒト、クラークケントならぬ、自然体のスーパーウーマンだ。 
自分のための行動だが、周りをポジティブにする不思議なパワーを持っている。

とにかく痛快な作品だ。

「国宝」界隈

2025-07-19 00:00:00 | 日記



「お初神社」にお参りして、怪しい路地で飲み食いし「曽根崎心中」に浸っていた。 
自己陶酔、いや今で言う聖地巡礼だった。
近松に惹かれていた頃の大阪の夜。  
 
「国宝」では、
「曽根崎心中」は二回演じられる。



最初は、
半二郎(渡辺謙)に代役を指名された喜久雄(吉沢亮)の「お初」。
妻幸子(寺島しのぶ)は実子の俊介(横浜流星)でないことを憤った。
寺島さんはTVでも言っていたが、部屋子にやらせるとは歌舞伎界ではあり得ないこと。

喜久雄は「お初」を見事に演じる。
子どもの頃からともに切磋琢磨してきた俊介は死ぬほど悔しかったに違いない。
それでも舞台の直前、
「守ってくれる血がほしい」と言う喜久雄に、俊介は「お前には芸がある」と潔い。
俊介は敵意を剥き出しにはしない、品の良さなのか余裕なのか。

しかし俊介は喜久雄の才能に打ちのめされて身を崩していく。
その後二人の人生はすれ違い、そして波乱に満ちてゆく。 





二回目の「曽根崎心中」は余りに壮絶。
俊介が喜久雄に申し出て成立した舞台。
俊介の最期の舞台か。俊介は糖尿病で脚を切断していた。
半二郎の代役を外された俊介、壊死が進んでいる片方の脚で「お初」を演じる。

縁の下で、「徳兵衛」を演じる喜久雄は喉で「お初」の足首を愛撫し心中の決意を伝える。

互いに憎しみもあるが、双生児のような義兄弟。
二人は互いに血筋や技量で嫉妬し合っていたが、心の奥底では愛と信頼で繋がっていたのだろうか。二人の魂が重なり合う。

テーマは「血」だ。 
 


 
半二郎を襲名したのは喜久雄だった。
血筋の俊介ではなかった。
それこそ寺島さんの言葉「実子を差し置いて部屋子に名前を継がせる」ということはほとんど考えられないということだ。
芸そのものの質と覚悟が問われ続けた彼の襲名は、才能が血筋を超えたことだろうか。

何年かぶりに歌舞伎に戻った俊介は、空白がありながらも歓迎される。これは血筋のなせる技だ。


邦楽を齧っている身として、歌舞伎など芸事の世界は血統、血筋がものをいうことは常識。







喜久雄に流れているのは狭客の血。 
彼は父・権五郎の血を片時も忘れていなかったように思える。  

冒頭の永瀬正敏が演じる狭客、権五郎が素晴らしい、美しすぎる。
の舞う夜だった。喜久雄は父が抗争で倒れるシーンを瞬きもせず見つめていた。
喜久雄の「鷺娘」の舞に繋がっている。




永瀬の映像は重要だ。  
序盤から僕らを引き込むからだ。


見所は沢山ある。



喜久雄の少年時代を演ずる黒川想矢。
ゾクゾクしてしまった。




人間国宝の万菊の「鷺娘」。
化け物じみた技量、田中泯ならではの舞踊だ。

喜久雄と俊介をとり巻く女性たちの個性と生き方だ。









喜久雄の幼馴染の春江(高畑充希)、強かな生き方をする。
彰子(森七菜)は、歌舞伎役者の娘ながらも 自らの意思で行動する強い女性を演じる。
いち早く喜久雄の才能を見出したのは、芸妓藤駒(三上愛)だ。



劇場に足を運ぶ前は、歌舞伎役者を演じさせるなんて随分酷なことをする監督だと思っていた。

吉沢、横浜両氏とも1年半は修業したというが、1年半で歌舞伎をものにできるほど、生優しいわけではない。
二人とも血の滲むような努力をしたことが伺える。
同時に、監督自身の思いれは半端でないことが映像を通じて伝わってくる。
原作の吉田さんの心意気まで伝わってくる。

まだまだ邦画界は大丈夫だ。

歌舞伎ファンが増えるかもしれない。 
歌舞伎より演目がきちんと見られるのは皮肉だ。アップシーンがあり音響がいい映画ならではだ。
歌舞伎は、正直、滑舌が悪い役者もいて時々聞き取れないことがある。


もしかしたら長唄も注目を浴びるだろうか。長唄が衰退していくことを以前から危惧している。
長唄とは何ですか?」  
「国宝」のおかげで説明しやすくなった。

余談だが家族の理解者はひとり。
稽古で声を出し始めると膝の上に乗ってくる茶トラだけ。




「国宝」は周りの人が殆ど観ているようだ。
3時間近い作品によくぞ足を運ぶものだ。
参院選の投票率を上回るかもしれない。


平原綾香さん

2025-06-17 13:25:00 | 日記
gooブログも無くなるというのでお掃除をしていたら、6年前のメモが見つかった。放置されていた。
平原綾香さんのミュージカルのメモだった。
たぶんgooへの転居前のヤプログ時代だったのかもしれない。


平原さんのコンサートには、今年は、5月にサントリーホール、4月に国際フォーラムに出かけた。ファンクラブに入っていないものの、実質追っかけみたいになっている。


国際フォーラムはジュピター基金のコンサートだからか、真面目な客が多いのか?とか平原さん自身が言っていた。毎年のことだけれど。客は年齢層が比較的高いからか割合静かだった。平原さん、最初喉の調子ちょっと悪いのかと思ったが、すぐにそんなことを払拭してくれ満足度高いステージだった。

サントリーホールは国技館の相撲以上に盛り上がった。掛け声男のタイミングがいい、また声の通るいいバリトン。ホールの音響がよいから?
クラシックしかやらないホールだと思っていたから、平原さんはオペラ歌手と同等か?

サントリーホールは相当久しぶりだ。クラシックはオペラシティや文化会館が多いから。赤坂六本木は何年ぶりかだ。都会に出ると何だかウキウキする。




終始気になったのが衣装だ。最初からバックの演奏者が全員ミリタリールック。昔のグループサウンズの可愛いミリタリーではなくほぼ軍服にしか見えなかった。平原さんはフラッパー姿だったものの、3回の衣装替えでラストの方で自身もブーツに軍服、帽子姿で現れた。とても気になった。
というより正直嫌悪感を覚えた。
何故軍服なの?
実は昨年も一度あったから2回目だ。

これから全国ツアーを開始するのに、この衣装でいくのか?
みんなバラバラの自由な服装にして欲しいのに。
演奏も歌も選曲も全然問題ないのだから。
誰の発想か?今でも頭に残っている。
ファッションでも軍服はやめて欲しい。
松任谷正隆さんがプロデュースに加わってからみたいな気がする。
勿論、ステージの演奏は最高だし、サービス精神旺盛の平原さんはとても素敵だ。

それが5月の話…です。

6年前の日生劇場。


最終公演だった。
ダブルキャストになってるので二回行くことになってしまった。
1月に濱田めぐみ=市村正親、
2月は平原綾香=石丸幹二。

26日はラスト公演だったので、公演終了後の舞台の挨拶、アンコール挨拶が大盛り上がりだった。拍手!

ミャージカルもいい。
舞台芸術はやっぱり魅力だ。

マラアカラスではないが濱田も平原もよかった。


実はここ数年平原綾香の隠れファンになっており、ステージは何度も行っている。ミュージカルはメリーポピンズ、ラブネバーダイ。
コンサートは国際フォーラムやオーチャード、大田区のホールアプリコ。

何故かソプラノ系が今なごむようだ。
睡魔が襲ってくるのは心地よいからだ。


それはそれで終わってから
一人カラオケボックスに行く。

「越後獅子」の自主稽古だ。
お浚い会の課題曲なのだ。 

月に何度かアルコール一杯100円の日がある。受付時はいらないと言いつつも、後から山崎のロックをダブルでオーダーした。山崎は美味い。

前回のお浚い会の「外記猿」時からいい稽古場を見つけたと思っている。山籠もりみたいなものだ。
もちろんマイクにもマシンにも手を触れてない。不思議な客かな?
暫くはカラオケ通いが続く。
稽古だから楽しくはない。




一秒先の彼

2025-05-22 17:45:00 | 映画



不可思議な映画だ。なんだこれは?と思った方もいるだろうが、こころ和む作品だ。

父親が失踪したため大学進学を諦め郵便局勤務をしているハジメ(岡田将生)。イケメンだが何についても1秒速い。外勤をやらせるとバイクを飛ばし過ぎるので内勤にさせられている。  
ハジメの窓口を狙って、毎日一枚だけ切符を購めにくる女の子がいる。
レイカ(清原果那)だ。いつもニコンのカメラをぶら下げている。 

果たしてどう展開するのか?



ハジメは、ストリートミュージシャン桜子(福室莉音)の歌声に惹かれて恋に落ちる。
必死にアプローチして花火大会デートの約束をとりつける。
彼女は病気の兄弟の費用に困っているという。約束の日にハジメは桜子に40万円渡そうと思ってバスにのるのだが。
 
ところがどういうこと?ハジメは目覚めるとデートの日の翌日になっている。月曜日なのだ。
昨日という一日がなくなった。
花火会場に向かうと後片付けをやっている。ハジメの日曜日は消えてしまったのだ。交番に行き遺失物届をする。 

なんだこの映画は?と正直思う。 
 
コメディでありファンタジーでもあるから
いいのか。
話しが進むにつれ少しずつ事情が分かってくる。成る程そういうことかと、納得する。 

時間軸を仕掛けにしていた作品は少なくない。「時をかける少女」を思いだした。あれは尾道。本作品は京都。
時間の扱いかたは映画や小説では極めて重要で、人物描写や内容をスリリングにするのに効果的。時間軸をどう意識するかは作り手の問題だろうが、楽しく苦しい作業だろうなと思う。

1秒速く多忙なせっかちな方は前半、後半に分けて観てもいいかもしれない。
倍速ではダメだ。

前半はシンガーの桜子。
可愛い顔して人を騙す役をやっているが、歌はとてもいい。



後半を観れば、
毎日郵便局にカメラをぶら下げて切符を買いにくる女の子の事情が分かってくる。
前半だけでは訳わからない。

後からしみじみ思うのだが、
つまりは純愛映画だったのか。
 


 
レイカは、子どもの頃の約束を自分で果たすのだ。
天橋立でハジメの写真を撮るレイカ。 



時間が止まって、京都の人々の動きが止まっている。
時間を止めたのは
ハジメ父親(加藤雅也)仕業だったのか?


役者陣も揃っている。
笑瓶さんは最後の出演とのこと、切ない。
急逝した笑瓶さんは写真店の店主とラジオDJで出演。
ラジオの声は優しく心温まる。

笑瓶さんのゴルフプレーも見られない、寂しい。



京都=洛内の長屋に同居してる妹カップルの片山友希とシミケンの2人は妙に味がある。

母親役は羽野晶紀。京都の人だから一番ハマっている。演技らしくなく羽野さんの日常ぽくっていい。
バスの運転手は荒川良々、名バイプレイヤーだ。時間が止まったのを不思議に思っているがレイカの希望で「天橋立」まで長距離走行させられる。

主演の清原果那、岡田将生2人とも好演。


何故だか分からないけど、京都って保守的だが進歩的だなと思わせてしまう。

一秒が溜まって一日になった。ということなのだろうか?
時間が止まるという状態のなかで行なう行為が可笑しい。

ほんわかと温かい気持ちになり、得した気分になった。
レイカの
子どもの頃の恋を持ち続けてる永遠性が…
とともいい。




2023年公開
監督は山下敦弘
宮藤官九郎が脚本
2020年の台湾映画のリメイク





ロスト イン トランスレーション

2025-05-16 12:15:00 | 日記
劇場で某映画を観て帰宅後、口直しに観た20年も前の作品だ。

CM撮りに来日したハリウッド俳優と、カメラマンの夫に着いてきた若い女性の、日本での数日間の交流を描いた。
新宿のパークハイアット東京とホテル内のジャズバー「ニューヨーク バー」を中心に展開される。



パークハイアットと言えば、随分昔で恐縮だが、タイガーウッズが宿泊しホテルから御殿場までヘリで行ったことが話題になった。
住友VISA太平洋マスターズだ。



小生もタイガーを観に行ったし、遠いのに御殿場まで何度も行ったものだ。ある年、録画を再生したら、9番ホールのグリーン奥で缶ビールを飲みながら弁当食っている男が映っていた。今日の自分だと気づき失笑した。

職場が近かったのでパークハイアットにはランチにもよく行った。
まれに52階のニューヨーク バーにジャズを聴きに行った。美しい夜景を見た。誰と行ったのか思い出せない。



ウイスキーのCM撮影で東京に来たボブ(ビルマーレイ )、写真家の夫に着いてきた結婚間もないシャルロット( スカーレットヨハン)
2人ともそれぞれの事情で孤独感を感じており、夜も安眠できないでいる。

たまたま、パークハイアットのジャズバーで何回か顔を合わせてるうちに親しくなる。



2人は会話しているうちに、感性、品性、知性が似ているのを感じ始める。互いにシンパシーを覚える。
大学出たばかりのシャルロットと父親くらいの年のボブ。年齢差があるが、互いにランチや外出を誘い合う仲になる。

異国の地にいるからだけではない。

僕らは自身の国で生活していても、この人とは波長が合うなという思いをするのは稀だ。忙しさにかまけているのか、ある日とても孤独であることに気づく。
会話の出来るひとに出会うのはなかなか困難だ。究極は価値観だと思うが、センス、モノの感じ方などが同じだな、と思う出会いがあればとても幸福だと思う。

2人とも日本語は得意じゃなく、文化の違いにも戸惑っている。 

東京の雑踏や日本料理店、日本式挨拶、名刺交換など出てくるが、決して日本を揶揄しているわけではない。

先にボブが帰国することになり、シャルロットは寂しい。



新宿西口を歩くシャルロットの後ろ姿を見かけ、ボブはタクシーを止め雑踏のなかで彼女を探し出し抱きしめる。
彼女の耳元で何か囁く。僕らには聞こえてこない。

距離を置いた嫌味のないプラトニックな関係の2人。
ベッドで顔を向きあい、いつもは眠れない2人が安心してぐっすり寝ているシーンで全てを表現している。
このカットは見事だ。



ヨハンはとても美しく魅力的だ。
撮影当時はまだ18歳だったという。

京都も登場するが、
パークハイアット東京、ニューヨーク バー
のほか、
成願寺」「渋谷スクランブル交差点」
中目黒の飲み屋街」「代官山八幡通り」
「新宿西口」
が出てくる。

こういう品のある作品がいい。
監督、脚本はソフィアコッポラ。