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きままに映画や趣味を

サガン

2016-05-31 20:30:03 | 映画
一度観たような気がした。
サガンのデビューの青春期から晩年、亡くなる迄の生涯を描いた2008年の作品。すぐに、 このサガンはピアフではないか!と思わせる。偶然サガン役のシルヴィ テステューが、ピアフにも出ていた。シルヴィがピアフを演じていたわけではないが、何故かピアフと重なる。生きざまが似てるからだろうか。

サガンの衝撃のデビュー、18歳、高校の夏休みに書いた小説がご存知大ブレイク。家族も応援している。ピアフと決定的に違うのはサガンは中流の良き家庭で幸福に育ち、家族も円満なこと、育ちはいいのだ。
サガンは才能横溢、創作意欲が高まっていくが、彼女に筋悪連中がまとわりつく。喰いものにする。何処の国でもあるのだ。マネージャーがいれば違うだろうに。
金がなくなれば彼らは綺麗に去ってしまう。サガンはその仲間との時間で、ギャンブル、アルコール、コカインを覚える。薬物が矢張り命とりになるのはピアフと同じだ。麻薬は交通事故時の治療のモルヒネが契機といわれているが。

ところで、前に観たなと思ったのは確かだが、それはジーン セバーグのセシルだった。今回の映画とまるで違う。創った時代も。セバーグは美人だし。シルヴィのサガンも勿論ショートカットだが、セバーグにかなうはずがない。
セバーグは40歳で亡くなっていたのには今更驚き、黒人解放運動.公民権運動にも組していたことも知らなかった。

サガンもピアフも自由気儘な放埓な生き方
だが、両者とも創作には熱心で、仕事もよくする。サガンがピアフに見え、ピアフがサガンに見えて、重なりあう。愛に飢え貪欲なまでに追求する芸術家、自滅的に身体を苛めていくさま。きめ細やかで傷つきやすい感性も重なりあう。

麻薬で四万フランの罰金の判決。サガンは毅然と言い放つ。
「人は他人の自由を冒さない限り自由だ。私は自分の好きなように死ぬ権利がある」
声には出さない賛同者はいると思うのだが。


ミッテラン大統領も見舞うエピソードも入ってるが、聞けば、フランスのプライドをかけて創った作品だという。確かに隙のない充実したレベルの高い出来である。

サガンの才能は素晴らしいことをいま改めて知る。熱心な読者ではないが「夏に抱かれて」を読んだ気がする。


伝記映画はいい。
イブ サンローラン、エデット ピアフ、フランソワーズ サガン、一時代を築いた才能豊かな表現者…3人とも同時代を生きた…を映像で観ることができる。

セバーグの「勝手にしゃがれ」をいままた観たくなった。






64 ロクヨン

2016-05-30 21:36:25 | 映画
64 ロクヨン前半を観た。
何年か前NHKドラマでピエール瀧が演っていた。前後して原作を読んでいるから、かなり詳細に頭に入っている。面白い。

疲れ気味で寝ちゃうかと思ったが、ちゃんと観たのだ。ただ後半に入り腕時計を見てしまった。

佐藤浩市が主演だ。エンドロールに烏丸せつ子とか、山崎ハコとか珍しい名が出てきたので、何の役演ってたか思い起こしたが山崎は不明だった。あとからバーのママと分かった。

夏川結衣、綾野剛、奥田瑛二、椎名桔平、三浦友和、永瀬正敏、瑛太とか役者は揃ってる、各々主演をやれる役者だから安心感がある。
赤井英和の呂律が怪しい、鶴田真由の劣化などが伺えた。

綾野剛は映画、TVで様々な役演ってが、いつ観てもハマる良い役者だな。夏川結衣も同様。
佐藤浩市は少し演技過剰な感じがする。ピエールよりははるかにイイが。

警察内部の対立、県警と警察庁との関係、記者クラブはリアリティある。あんな感じなんだよね。


早いけど、今年の主演男優賞は佐藤、助演女優賞は夏川、助演男優賞は複数いる。これは後半観てからだ。確実な気がする。


昔の黒澤映画 「天国と地獄」を連想してしまった。

前半観たから後半も観なければならない、商売が上手い。空いてから行こう。




ゴッホ 天才の絵筆 その後 雑感

2016-05-21 21:12:53 | 映画
自分が、努力嫌いな奴だとつくづく思う。
仕事のせいにしてはいかんのだろう。
「ゴッホ ?天才の絵筆」を観てから暫く経つが、ゴッホの生き様と真逆なことが、何故か痛みと化してチクチクとふとした調子に責めたてる。

ゴッホが天才であることに異論を挟む余地ないと思うが、人並み超える努力の積み重ねが天才ならしめた。
芸術に限らずスポーツ界にも天才と呼ばれる人は少なくなく、タイガー ウッズとてイチローとて努力あっての天才なのだ。

絵画はまずデッサンが基本。それが分かるまで描いたのか?ゴルフはボールを打たなくても素振り練習くらいやったのか?何でもそうだが基本を疎かにしては何もなしえない。

かつてカルチャースクールで油絵の真似ごとをやったが、数年すると仕事で行けなくなり、半端で終わったキャンバスが部屋の隅で埃まみれになっている。

ゴルフとて同じ。 近頃、練習もしないでラウンドに行き、見事に辱しめにあいうちひしがれてしまう。オレ何年ゴルフやってるの?老いとか劣化とか。いや違う違う、努力してないじゃん。

ゴッホを出すまでもなく市井にもお手本がいた。

過日、シングルと思しき団塊世代のオジさんと、小生と同世代の女史、75.6歳と思しき爺さんとラウンドした。ハーフが終わり、昼食のとき団塊オジさんは「私は弁当ですから」とドライバー、アイアン2本、パターを手にして練習場に消えた。わあっ昼も練習か。小生が呟く 「志が違うんだ」?女史は「ビールなんか飲んでる場合じゃない」と言う。「シングルを維持するには必要なことなんだ」
爺さんは、美味しそうに黒ビールを飲みながら笑っている。この爺さんもシングルOBなんだ。

食後インに入り、爺さんと団塊オジさんの会話が聞こえてくる。?
「ドライバーの飛距離は何歳からおちますか?」
「70歳過ぎてからだね」

凄い!オレはまだ洟たれ小僧だ。
思えば、3.4年前、ドームでミック ジャガーは若い時分と変わらずスリムな体躯でステージを走り回っていた。ミックはあの時70歳か。

ひとはなにがしかの人物になりたいと思うものだ。ソール ?べロウの小説の中にあった一文だ。30数年前に読んだ作品だが、テーマに無関係な一文が何故いまだ頭の中にあるのだろうか。
確かに、なにがしかの人間になりたい、と若いときには思うものだが、なにがしかとは何かを探しているうちに、残酷に時計が刻まれる。探すことも忘れがちになる。
?
ある日、弾けるようになった、描けるようなった、打てるようになった。階段を2.3段飛び越えるよう上手くなった。それはたゆまない努力の成果であって、掘る努力なしで温泉や石油が湧いてくることはない。あり得ない。

だから気まぐれや飽きっぽい人間はハナからダメなのだ。ましてや努力しない、少なくとも継続しない者がなにがしかの人物などと思うのは傲慢なことだ。

小生などは努力する時間が惜しいという屁理屈でやめたのが少なくない。というより、昔から努力することが嫌いなのだ、簡単に言うと怠けモノなのだ。ウスウス分かっていたんだけれど、自分で認めるまで時間がかかりすぎだ。分かってどうこうする気持ちがあるわけではないが、自覚していた方がいいだろう。

「継続は力なり」という言葉を聞いたのは確か小中学生の頃。当時実感できなかった。この年になり分かってくる。唐の詩人の如しだ。





ゴッホ 天才の絵筆

2016-05-08 01:02:24 | 映画
ゴッホ 天才の絵筆。




まさしく伝記映画。ゴッホを知らない人はまずいない。映画も数本あるが、ゴッホが疾走して亡くなる迄の9年を40分弱、コンパクトに描いたドキュメンタリーだ。2009年公開。

ナレーションはゴッホ自身が語る形になっており、登場人物はゴッホの絵画作品の風景を撮る映画作家ピーターと、ゴッホ美術館のゴッホ研究者のエレンだけ。中心はゴッホの作品。


弟テオに当ててた手紙は900通と膨大で、ゴッホは毎日の様に書いていたという。文庫本になっている書簡集を手にしたのは随分昔のことで、当時拾い読みして、いま書棚のどこかにあるはずだ。

晩年は1日3作品も描き、亡くなる2か月で80点以上だという。燃え尽きるような勢いで描いたというよう、死を予知していたか、予定していたのかと思ってしまう。拳銃による自殺は衝動?何故拳銃など持っていたのか?いずれにせよ取り憑かれたように描いたのだ。

1年程のサンレミ療養院でも、制作マシーンと化し、オーヴェールでもセラピーの一環で描くことをガシュ医師に勧められ、レンガ職人のように打ち込んだという。

初期の頃ミレーの絵をお手本にしていたらしい。暗い絵から色彩の研究も怠らず、ひたすら描いた。パリで補色の理論の研究などから自分の道を見つける。独自の色彩に至る経緯、欠かせないゴーギャンとの関係も当然語られる。

弟のテオはゴッホの半年後に亡くなった。ゴッホは37歳だから4歳違いのテオは33か34で亡くなったということだ。テオの人生はテオのものだが、兄ゴッホの作品の唯一の理解者で、全面的に兄の生活をみていたのだから。兄を語る時はテオは欠かせない。

作品は、自画像、麦刈るひと、オリーブの木、ひまわり、アルルの星降る夜、街、タンギー爺さん、オーヴェールのガシュ医師の肖像40数品十点見ることができる。
ゴッホの生涯を40分にまとめて、分かり易く伝えてくれる。

上映された2009年、サントリーミュージアムのIMAXシアターで観られたら感激だったに違いない。大型スクリーンで最高の画質だったらしい。

30年も前、ゴッホ美術館で直接見た作品も少なくなかったが、今、小さなスクリーンでもお勧め作品だ。