映画など街など

きままに映画や趣味を

沖縄スパイ戦史

2019-02-20 17:45:10 | 映画

東中野のポレポレ。何年ぶりか。
ドキュメンタリー映画を観に行くのは久々だ。
素晴らしい作品だ。
三上監督、大矢監督には頭が下がる。
とても怖い史実だが知られていない。丁寧な取材を積み重ねて仕上げた作品である。ふだんはカットされる残酷な画像も敢えて入れている。
「悪の凡庸さ」は日常に潜んでいるのだろう。
作品は違うが「ハンナアーレント」と同じテーマを感じる。

久々に芸術、アミューズを離れ
社会派映画をしっかり観た。
しかし人間、考える力、感じる心、そして言葉を失ったら、終わりだな。


ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー

2019-02-15 17:15:25 | 映画
今週はドタキャン連続だ。火曜は師匠が風邪でお稽古中止、水、木曜は飲み会延期。先週末は家人がインフル。三連休の予定が狂いフラストレーション溜まってたんだよな。おいどんのような慢性疼痛病みがインフル、風邪を蹴散らしてるのに。ったくだよ。

どうしようか?よっしゃ映画だ。日比谷か新宿か?「ナチス第三の男」か「ライ麦サリンジャー」か?会社終わる迄どっちどっちと悩む。日比谷なら東京駅ガード下の長崎チャンポンだな、新宿なら桂花ラーメンか。とにかく、ちゃちゃっと飯食ってから劇場だ。

てなわけで「ライ麦 反逆児」にした。ミニシアターで8席しか残っていなかった。がサービスデイで千円で観られた。
サリンジャーの半生涯を描いた作品で、ライ麦の青年の映画ではない。母は才能を早めに見出し応援、実業家の父親は家業を継ぐことを望み猛反対。父親は父親で成功者だが、ある夜、父親自身はピアニストになりたかったのだと息子に告白するシーンがある。

コロンビア大学で創作を学ぶ。教授に鍛え上げられ、ウィット教授が主宰している「STORY 」誌でデビュー。25ドル。初めての原稿料。この雑誌はカポーティ、メイラー等を世に出したらしい。


42年、世界大戦の勃発。陸軍に志願。ノルマンディー上陸にも加わり、激しい戦場で仲間の死、自らも神経衰弱で入院。生涯癒えない傷を負う。PTSDなんだろうと思う。
戦場でもペンと紙を離さなかったのだが、除隊後、書けない、手の震えがやまない。

49年ようやく長編を仕上げる。ウィットの助言が活きる。それがライ麦畑だ。ホールデンコール。大成功を収めるのだ。

しかしその後よく知られているよう、ニューハンプシャーにて隠遁生活。出版は一切断ちながらもひたすら書くのだ。書くことが生きることだから。91歳まで生きたのだから快適だったのだろう。


感覚的に分かると言ったら軽薄、傲慢か。
成功したらサリンジャーになるか三島由紀夫になるか川端康成になるか、そんな気がする。

「ライ麦」はおれの生まれる前の作品。大昔買い、後から買い直し、訳者が違う2、3冊何処かにあるはずだが、きちんとは読み通していない。アメリカのユダヤ系作家、ソールベローは好んで読んだしメイラーもしかり。フィリップロスとかも思い出す。おれたちがハマるかは訳者に左右される様な気がしてくるのだ。英語で読む力をつけるべきだったんだな。


今回の映画はとても刺激になった。忘れていた種々の思い。おれにも宿していたホールデンコールが息を吹き返しそうだ。


ケヴィンスペイシーも良いが、ニコラスホルトはとても素敵だ。