【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会副会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「俳句大学」学長 「火神」主宰 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞受賞

〜季語で一句 ㉕〜

2021年12月05日 01時00分59秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

 

〜季語で一句 ㉕〜

 

◆『くまがわ春秋』12月号が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。 (info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759)

【季語で一句】(R3・12月号)

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

季語で一句(R3.12月号)

 

暮の秋(くれのあき)   「秋-時候」

西村揚子

  •  

ふいに吐く里言葉より秋暮るる

【永田満徳評】

何かの拍子で「里言葉」が出てきて、自分でも驚くことがある。掲句は、「里言葉」を言い直そうとしても言い直せないもどかしさを、もの淋しい季語の「秋暮るる」によって描き出しているところがいい。

【季語の説明】

「暮の秋」は秋の夕暮れではなく、秋がまさに果てようとする、秋の終わりに近い頃のこと。この頃の風にもの淋しさが感じられ、木々に落葉を促しているように感じられる。晩秋よりも、より感傷にひたる意味合いがあり、心理的に訴えてくるものがある。「暮の秋」「行く秋」「秋深し」の順に秋を惜しむ気持ちが濃くなる。

 

 

酉の市(とりのいち)   「秋-行事」

 

大津留 直

  •  

見掛けのみ値切りてゆかし熊手市

【永田満徳評】

「熊手の商談」と呼ばれる駆け引きも酉の日の名物。掲句は値切りも名物の一つだとして、ゆきずりに「見掛け」で値切ってみるのである。風物詩となった「酉の市」という祭の楽しみ方をうまく詠んでいる。

【季語の説明】

「酉の市」は、鷲神社、酉の寺、大鳥神社など鷲や鳥にちなむ寺社の年中行事として知られる。境内に露店が出て、手締めして「縁起熊手」を売る祭の賑わいは年末の風物詩である。酉の市は11月の「酉の日」に行われ、3度行われる場合は、1度目を「一の酉」、2度目を「二の酉」、3度目を「三の酉」という。

 

 

水鳥(みずとり《みづとり》) 「冬―植物」

 

中野千秋

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まづ風が暮色を帯びて浮寝鳥 

【永田満徳評】

たそがれ時に湖面に浮かぶ「浮寝鳥」は一服の絵である。掲句は夕暮れとともに、風が吹いてくる、または、風が吹いてくると、夕暮れになるという関係を「まづ風が暮色を帯び」と表現したところがいい。

【季語の説明】

鴨・鳰・百合鷗・鴛鴦など、冬に水上、または水辺で生活する鳥を総称して、「水鳥」という。指の間に水かきを持ち、水上、水中での行動に適した体形に進化しており、陸上や樹上では敏捷性に欠けるものが多い。羽毛は断熱と撥水のため、多くの空気を含むことから、防寒着や寝袋などの中綿に利用されている。


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