古典スタイルと勘違い

この数年感じていた事ですが、もしかしたら日本の方々は病態生理の理解と診断に必要な臨床推論を勘違いされているのでは？と言う私の疑問があります。

医療者として患者の病状を理解するのは必須です。でなければただ検温をして肺音を聞いて投薬しているだけで、その行為を行うだけなら看護師でなくてもできるからです。看護師はその意味を考え次の行動をするから看護師なのです。

異常値を示している血液検査結果や心電図の変化が目の前にいる患者の病状とどう繋がっているか理解していることで、今医師に緊急の連絡を入れなければならないのか、明日まで待てるのか、他のコメディカルを呼ぶべきかなどの判断ができますよね。呼吸器を始め、いろいろな医療機器をつけている患者の体動やケアにもその知識は活かせるはずです。薬理学も投薬をする前になぜこの薬が必要で何のために使われているのか、副作用は何か知っている上で投与するはずです。

しかしこれらは診断と治療に必要な臨床推論とは異なります。以前にも書きましたがこの技術は日本でも絶対的医行為と呼ばれ、現在は医師にしか許されない行為です。海外のナースプラクティショナー(NP)は看護師でもそれができる職種として作られました。私が働くカナダでは資格試験があり、看護師とは違う免許が発行されます。NP以外の看護師はやってはいけない技術が診断と治療なのです。もちろん以前書いたようにカナダの看護師は観察も報告もとても高度です。私も看護師時代医師に対してOOの治療はどうですか？と医師に催促していたぐらいです。しかしこれは限られた分野の限られた知識であって、NPになってから、病態生理の知識が高いことと臨床推論を含む診断と治療は大きく違うと気づいたわけです。

なので看護師にも臨床推論を！の声を日本から聞くと？？？？？となるわけです。

最近カナダから日本へ帰国した友人から　日本の看護師さんて聴診器も持っていない？！検査結果の意味もわかっていない、心電図の変化も気づかない！と驚きの声を聞きます。そのせいですか？先のようなスローガンっぽい言葉が出てくるのは？

ならば「看護師が病態生理を理解できるように教育をしよう！」ではないでしょうか？

確かに100年前は医療も発達していませんでした。100年前は死んでたような人が生きることができる時代です。医療の高度化が進んだ中で、看護師教育だけが古典スタイルを保持し(シーツ交換のコーナーの三角が上手くできるかどうか？とか包帯法の巻き方とか？)あとは現場へ丸投げっておかしくありませんか？

あああ、二つの問題を描いちゃった。兎も角、私の理解が間違っていたら教えてください。