走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

受動から能動へ

2021年01月08日 | 仕事
最近始めた事。「OOについて知りたいですか?」と説明前に患者に聞くようにした。最近終了したコースで学んだ事。

プライマリーケアをするものにとって病状の説明や成り行きについて説明することは頻回にある。ベストな医療情報を提供するのが私たちの役目。で、その情報を聞いて治療や生活習慣をどうするか決定するのは患者の役目。

患者が医療を嫌う理由の一つに「知りたくない事、聞きたくない事を聞かされて怖いから」と言うのがあります。私は自分の体の事だから知りたい、と思いますが万人が同じように思っているとはならないのです。医療者がよく使うのが「OOしないとXXになる」。これは事実であっても聞きようによっては脅しにしか聞こえないのです。最悪の結果を伝えればそれを避けようとする、と普通は思いますが、そうなるとは限りません。百害ある事を知っていても辞められないタバコや飲酒が良い例です。そうなると脅し的説明は脅しや説教にしかならず、それを嫌って医療機関に行く事を拒否する図式が生まれるのです。

人が読みたい本を選ぶように、患者にとって医療情報も選ぶ権利があるのです。

しかし知らない事を知らないのが人間。知らない事に気づいてもらう事も大切です。だからOOについて聞きたいですか?とすると患者はそれを選んだことになり受動的態度から能動的な態度に変わるのです。もちろんはっきり「聞きたくない!」と言う時もあります。それはそれで良いのです。時がくればもう一度患者の許可をもらえるように聞けば良いのですから。

私の患者層は医療機関を嫌う人が多い。このようなちょっとした事で私と付き合ってくれるかどうかが変わるのです。大切なスキルです。


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