走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

百害あって一利なし

2014年12月27日 | 仕事
日本のテレビ番組を見ていて不思議に思うこと。

未だにタバコを吸うシーンが放映される。

タバコは百害って一利なしという事は誰もが随分前から知っている。私がカナダへやってきた16年前はレストランの中でも喫煙席があった。しかしウエイストレスが肺がんになったのは仕事中に吸い込んだ二次喫煙が原因だと雇用者が訴え、勝訴が決まった時一気に街は変わった。

喫煙席は消え職場や公共の場の外側6m四方までは禁煙ゾーンとなった。こうなると吸えるところは自分の家以外どこにもない。タバコの宣伝も問題になった。カッコイイモデルを使い製品を売るというよりライフスタイルを売るスタイル。これを吸えばかっこいい生活ができるといったような錯覚を与える(私にしてみればタバコに限らず北米全ての宣伝がこの心理で作られていると思うが)。タバコのポスターも一気に消えた。

タバコに対する税金が上げられ、消費者を遠ざける策が取られた。タバコの箱には健康を害する注意書きがあったがそれでは足りないと、ビジュアル面でも訴えるためにタバコによる害で歯が染色された女の顔や色が変わった肺の写真などグロテスクなものがタバコのケースに義務付けられるようになった。日本のように自販で買えるわけもなく、限られたお店の鍵のかかった棚の中に保管され、年が怪しい人は身分証明書の提示は必要だ。タバコ会社がスポンサーになるイベントが市民から拒否されるようになった。それはテレビも同じでスポンサーから次々撤退。喫煙シーンを放映することも避けられるようになった。子供に悪影響を与え、市民に喫煙を奨励する番組と捉えられるからだ。

と、こういう国に住んでいるので日本のテレビ番組で喫煙シーンをを見ると驚くようになってしまった。ドラマや映画で演出のために必要で、、、という場合はまだわかるが、スターの楽屋で、プライベートの撮影でという場面で驚く。それに、一緒にいる運転手とかスタイリストの人とかカメラマンとか選択の余地なしで二次喫煙をしているのねーと汚染されていく肺を想像してかわいそうになる。

タバコの害は肺がんだけではない。
舌癌、喉頭癌、膀胱癌の発生率が喫煙者は高い。

ガン以外では、、、

慢性閉塞性肺疾患-徐々に肺がやられ命取りになります
心筋梗塞などの塞栓症の確率が上がる
高血圧症になる要因
末梢性血管障害- 神経障害で末梢の感覚がなくなり、血管も閉塞して末梢まで血が届かなくなります。こういう人が足に怪我をするとなかなか治癒しません。何ヶ月、何年も治療に通うことが必要になり、指や足を失う人も。男の人にとって一番辛いのがインポテント!末梢の神経がやられ血流が悪くなるので勃起に必要な2要素がなくなる。早い人で40ー50代ぐらいから症状が出だします。女性の性欲減退の理由の一つでもあります。
薬物依存- ニコチンはれっきとした薬物の一部で依存性があり精神に及ぼす影響がある。

ファッションの一部として始めたり仲間意識で始め依存になる人が多いのが喫煙。百害あって一利なし。禁煙することをお勧めします。 日本の医療や行政も1日も早く世界的な動きに敏感になってもらいたいものです。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。