走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

脅しの教育

2015年10月25日 | 仕事
性教育の話から、もう一つ。先日行ったカンファレンスで教育について、考えさせられたのでご紹介。

私の旦那は小さい頃車椅子に座っている脳性麻痺の人を見かけました。旦那の母親は

「ほら、あの人薬に手を出したから、あんな風になったのよ。あんな風になりたくなかったら薬に手を出しちゃダメよ」

と言われ、絶対薬には手を出さないと決めたそうです。

これは脅しの教育方法。家庭でも学校でも使われていますよね。例えば「勉強しないといい学校に入れないぞ」まさにこれも脅しですね。

で、この脅しに教育効果はあるのか?我が旦那には効いたようですが、答えはNOです。

子供は非常にポジティブ シンキングです (ネガティブ シンキングは現実を知り、夢を失った大人の証拠と言いましょうか)。ゆえ、周りから馬鹿になるぞとか、将来ダメ人間になるぞと言われても、心の中に確固とした「僕は大丈夫」と言う気持ちがあるのです(これを無くした子供はある面で不健康と言う事です)。だから悪い成り行きを話しても自分の事として受け止められる子供は少ないのです。

次に、もし旦那の心が折れている時に友人から薬物を勧められたら?車椅子の話をしたらきっと友人たちに馬鹿にされた事でしょう。友人はきっとこう言います。「俺ずっと使ってるけど、ほら普通だろ?大丈夫だよ、嫌な事なんて忘れられるからやってみろよ」と言われたら?まず、旦那は嘘をつかれた事に気付き親への信頼を失います。親子関係に影響しますよね。それに恐怖の成り行きがなくなり、薬物使用の安心感さえも生じてしまうかもしれません。前者の脅しだけならず嘘は教育に必要ない事です。後者は正しい知識の伝達が欠如しているので、こういう反応が出る可能性があります。

正しい知識の伝達は大切です。しかし最近の研究結果では、子供達は知識の伝達でさえも脅しと受け止め、それだけでは薬物使用防止にはならないと注目されています。

よって違うアングルから教育を見直しています。

続く


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