走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

人を信じてはならない診断と治療の世界

2020年01月29日 | 仕事

人を信じる。この根拠はどこから来るのでしょうか?長年知っているから? 良い印象を受けるから?直感?保証人になるとかお金を貸す以外では、収入や職歴、クレジット歴を調べるなど深入りすることなく人を信じ、裏切られれば自分の愚かさを嘆けば良いでしょう。

診断治療の世界では人を信じると好ましくない結果をもたらす事があります。ここの「人」とは対象者である患者です。

例えば、妊娠可能な年代の女性であれば、妊娠の有無の確認は検査によって証明する。どんなに本人がその可能性はないと言っても信じるな、という事です。

薬物依存がない、違法薬物は使用していないと患者が話しても肝機能検査やアルコール血中濃度、尿検査などでそれが証明されるまで信じるな、と学生時代から教わる事です。

なぜなら、これらの事は診断と治療する過程に影響を与えます。例えば妊娠の場合。若年層の患者が生理不順で来診しました。出血過多で、貧血も確認されています。周期もめちゃめちゃ。経口避妊薬で生理の周期を整え、出血が減らせる場合もあります。その治療を選択したとします。彼女は妊娠の可能性はないと言いました。しかし経口避妊薬を処方するに当たって、最終の生理初日を確認し妊娠検査をするのは当然です。それをせず処方薬を服用し始めて、実は彼女は妊娠していたと後で分かった時、本人が妊娠していないと言ってたから、処方した、、、では訴訟された時に勝てません。胎児に影響を与える薬を処方するのであれば妊娠の有無の確認が必須です。

証明できるものがある時はよいのです。そうでない時が一番厄介なのです。続く。


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