都忘れとは、別名が野春菊や東菊で、野菊に似た植物であるらしい。5月から6月ころに花を咲かせ、花の色は紫青のほか、白色やピンク色という。写真を見たかぎりでは、山野でよく見かける花だ。
佐渡に流された順徳天皇がこの花を見て「いかにして契りおきけん白菊を都忘れと名付くるも憂し」と謡ったことに名前は由来するという。ただ、佐渡に咲く白菊を謡い、その花は秋に咲くらしいという話もあって、私などにはよくわからない。ただ、「都忘れ」には、かつて暮した都での暮らしを忘れてしまいたい、あるいは忘れよう、忘れることができるというような思いが込められているようだ。
そんな花、都忘れに思いを託した曲が、「都忘れ」。4枚目のアルバム「手づくりの画集」(1976年6月21日発売)に収録されている。
「青くてすっぱい林檎」「風になびく麦畑」「祭りの準備のための太鼓の音」など、登場する小道具からすると、春の終わりから初夏のあたりの季節に思われる。「青くてすっぱい林檎」ということから調べてみると長野県の「王林」や青森県の「つがる」などがあてはまりそうだが、本当のところはわからない。ただ、どうも西日本のほうではなく、長野や新潟の中部地方の北、あるいは東北地方が舞台かと思える。
主人公の女性が思いをよせる彼氏は、彼女を残して都会に行ってしまい、最近は帰郷もしなくなってしまった。故郷の町もそれなり変化していっているが、夏祭りは毎年行なわれるし、友だちはあいかわらず元気だ。しかし、彼氏だけがいない。
このシチュエーションは「木綿のハンカチーフ」を逆に見ている。「木綿のハンカチーフ」では西から東へ男は旅立ったが、「都忘れ」では(たぶん)北から南へ旅立っていると地域は違うが、男が旅立ち、女は一人残され男の帰りを待つという状況は似ている。木綿のハンカチーフでは、最後に彼女は「別れのための木綿のハンカチーフをください」と歌うが、この曲では咲いている都忘れが「あなたを忘れてしまいなさい」と語りかけ、「うん」とうなづいてしまいそうだ、だから早く帰ってきてと願っている。
歌詞の冒頭で「真っ赤なポスト」に彼氏宛の手紙を出していることがわかるが、その手紙はけっして女々しい内容ではないだろう。恋しい思いから涙も流すが、彼氏の前では気丈に振るまうそんな女性なのだろう。
作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:船山基紀
真っ赤なポストに手紙を入れて
帰りに市場で林檎かったわ
青くてすっぱいふるさとの味
言葉と一緒に送りたかった
風なびく麦畑
走り去る雲の影
なつかしい横顔に
よく似てる雲だった
祭りの準備に忙しそうな
太鼓の響きが夏を知らせる
今年はあなたも帰って来てね
昔の仲間も集まるはずよ
風なびく麦畑
走り去る雲の影
工場の青い屋根
この街も変わったわ
今年も咲いたわ都忘れが
あなたを忘れてしまいなさいと
こわいの私 うなづきそうよ
お願い返事は必ず書いて
風なびく麦畑
走り去る雲の影
流れゆく年月を
見送って泣いたのよ
「都忘れ」が、かつて暮していた都での生活を忘れてしまうという意味だとすると、同郷だった彼女と彼はかつて都会で暮していたが、なんらかの事情で彼女だけが帰郷したことになるのかもしれないが、そこまでの意味はなさそうだ。「都忘れ」には「別れ」や「しばしの憩い」という花言葉があるらしい。
「風なびく麦畑 走り去る雲の影」というフレーズを歌う太田裕美ののびやかな声はすばらしい。その前が、抑え気味に歌っている分よけいに透きとおったきれいな声に聞こえる。初夏の真っ青な空の下で、風が吹き、まだ青い麦の穂がいっせいになびいている情景が浮かぶのは、このきれいな声だからこそなのだろう。この声のおかげで「悲しみ」がベトッとしていない。「澄んだ透明な悲しみ」というものがもしあるとしたら、この曲のような世界なのだろう。
太田裕美の曲は、萩田光雄が編曲していることが多いが、この曲は船山基紀(もとき)が編曲を担当している。
佐渡に流された順徳天皇がこの花を見て「いかにして契りおきけん白菊を都忘れと名付くるも憂し」と謡ったことに名前は由来するという。ただ、佐渡に咲く白菊を謡い、その花は秋に咲くらしいという話もあって、私などにはよくわからない。ただ、「都忘れ」には、かつて暮した都での暮らしを忘れてしまいたい、あるいは忘れよう、忘れることができるというような思いが込められているようだ。
そんな花、都忘れに思いを託した曲が、「都忘れ」。4枚目のアルバム「手づくりの画集」(1976年6月21日発売)に収録されている。
「青くてすっぱい林檎」「風になびく麦畑」「祭りの準備のための太鼓の音」など、登場する小道具からすると、春の終わりから初夏のあたりの季節に思われる。「青くてすっぱい林檎」ということから調べてみると長野県の「王林」や青森県の「つがる」などがあてはまりそうだが、本当のところはわからない。ただ、どうも西日本のほうではなく、長野や新潟の中部地方の北、あるいは東北地方が舞台かと思える。
主人公の女性が思いをよせる彼氏は、彼女を残して都会に行ってしまい、最近は帰郷もしなくなってしまった。故郷の町もそれなり変化していっているが、夏祭りは毎年行なわれるし、友だちはあいかわらず元気だ。しかし、彼氏だけがいない。
このシチュエーションは「木綿のハンカチーフ」を逆に見ている。「木綿のハンカチーフ」では西から東へ男は旅立ったが、「都忘れ」では(たぶん)北から南へ旅立っていると地域は違うが、男が旅立ち、女は一人残され男の帰りを待つという状況は似ている。木綿のハンカチーフでは、最後に彼女は「別れのための木綿のハンカチーフをください」と歌うが、この曲では咲いている都忘れが「あなたを忘れてしまいなさい」と語りかけ、「うん」とうなづいてしまいそうだ、だから早く帰ってきてと願っている。
歌詞の冒頭で「真っ赤なポスト」に彼氏宛の手紙を出していることがわかるが、その手紙はけっして女々しい内容ではないだろう。恋しい思いから涙も流すが、彼氏の前では気丈に振るまうそんな女性なのだろう。
作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:船山基紀
真っ赤なポストに手紙を入れて
帰りに市場で林檎かったわ
青くてすっぱいふるさとの味
言葉と一緒に送りたかった
風なびく麦畑
走り去る雲の影
なつかしい横顔に
よく似てる雲だった
祭りの準備に忙しそうな
太鼓の響きが夏を知らせる
今年はあなたも帰って来てね
昔の仲間も集まるはずよ
風なびく麦畑
走り去る雲の影
工場の青い屋根
この街も変わったわ
今年も咲いたわ都忘れが
あなたを忘れてしまいなさいと
こわいの私 うなづきそうよ
お願い返事は必ず書いて
風なびく麦畑
走り去る雲の影
流れゆく年月を
見送って泣いたのよ
「都忘れ」が、かつて暮していた都での生活を忘れてしまうという意味だとすると、同郷だった彼女と彼はかつて都会で暮していたが、なんらかの事情で彼女だけが帰郷したことになるのかもしれないが、そこまでの意味はなさそうだ。「都忘れ」には「別れ」や「しばしの憩い」という花言葉があるらしい。
「風なびく麦畑 走り去る雲の影」というフレーズを歌う太田裕美ののびやかな声はすばらしい。その前が、抑え気味に歌っている分よけいに透きとおったきれいな声に聞こえる。初夏の真っ青な空の下で、風が吹き、まだ青い麦の穂がいっせいになびいている情景が浮かぶのは、このきれいな声だからこそなのだろう。この声のおかげで「悲しみ」がベトッとしていない。「澄んだ透明な悲しみ」というものがもしあるとしたら、この曲のような世界なのだろう。
太田裕美の曲は、萩田光雄が編曲していることが多いが、この曲は船山基紀(もとき)が編曲を担当している。
このようなブログを探していました。
今年6月からブログやっています。
「心が風邪をひいた…」というタイトルです。
何箇所かにコメントしたいと思います。
都忘れ…裕美ファンの間でも人気の高い曲のようですね。
ようですねっていうのは、私のまわりにアルバムまでのファンがいなかったからです。
私は長野県だと想像していました。海が感じられませんので…。
この曲と「遠い夏休み」がダブります。どちらも長野県なんですが…。
私も直感的には長野県です。昔よくツーリングに行っていたこともあって、記憶に残っている風景が似ているように思います。
ただ、断定できるわけではないので、あいまいにしておきました。
そのうちまたコメントでもお書きください。