諸行無常の響きあり

フィリピンの小さな焼き鳥居酒屋の親父のつぶやき

軌跡

2012年04月27日 17時21分49秒 | つぶやき




思えばここ2年間駆け足で、色んな事があった。
今の店を開店して8ヶ月、ようやく落ちついてきたところであるが、
初めにスタートした『中吉』、その次の『大吉』、経営者こそ変わったが
今尚健在である。

元来資本がないところで始めた商売、最初は鍋釜の中におかずを入れて
販売する『トゥロ・トゥロ』、その次にフィリピンのトラディショナル・フーズである
『タプシログ』、日本食の、にの字もないところからスタートした店であったが、
今では日本レストランとなってしまった(笑)

しかし飲食店とは、などと語るのはおこがましいが、お客さんの要望がそのまま反映する。
従って変化して当然のことである。逆に言えば小資本ながらにも黒字を出し続ける。
これこそフィリピンではもっとも難しい(特に外国人)と今は考えさせられる。

日本から資本を持ち込んで意気揚々と商売をスタートする。成る程立派な店が出来て
立派な従業員も集まるが、店というのは肝心の中身が伴わない限り存続は難しい。
その点小さな小店からのスタートと言うのは、手探りながら徐々に規模を拡大していける。

仕入れをして、仕込みをして、お客さんに出す。物事は単純なようだが、これが毎日
続けられるかどうかである。人件費が安いこの国では、ややもしたらスタッフに任せきり、
外部から様子だけうかがうという商売も可能だが、それだと肝心の内容が判らくなる。

いつも店に居り、そのイメージをお客さんに定着させる。その段階でお客さんは安心するし
ある意味、営業内容も安定してくる。今現在フィリピンの日本食は安定期に入っている。
何処のモールに行っても何がしかの日本食を出す店がある程になっている。

商売人である華僑たちが経営するFC店もあるし、日本在住経験を生かして、自分自身で
店を出すフィリピン人経営者もいる。味や盛り付け云々という話になると切りがないが、
我々日本人からするとオリジナルとは到底かけ離れた物が出されている場合もある。

しかしそれでも連日安価な日本食を求めて、お客さんが殺到している店もある。
要は商売として成り立つか成り立たないかが一番肝心な部分でもある。
TVコマーシャル迄流している某大手FC店と日本のオリジナルの料理で勝負する
日本レストラン、どちらが集客数を上げているかといえば間違い無く前者の方であろう。

ここ最近では国籍を問わないアジア料理店などの出店も目覚しい。タイ料理やベトナム料理、
シンガポール料理やマレーシア料理、その辺りのいいとこ取りをしたメニューを売り物にする
店でさえある。

中華料理は昔から全世界で食べられ続けているが、フィリピンも例外では無く外食産業の
中でもかなりのシェアを誇っているだろう。大手のFC展開の中華料理屋にしても
庶民の間ではあれが中華料理の代名詞になっているという風潮になっている気がする。

日本料理とて同じ事で、各ショッピングモールにあるFC店、これが日本料理の代名詞に
なっているという感は否めない。我々の日本人同士の会話の中で、あれはオリジナルではない。
全くかけ離れた味だし見たくれだという話がよく出るが、それはあくまでも日本人サイドの話である。

地元のフィリピン人達からの立場で言えばとにかく安く食べられる日本食であれば
それでいいのかもしれない。今の日本とて和食だけ食べている訳ではないだろうし、
フレンチやイタリアンなどももちろん食事の中でかなりの割合を占めるだろう。

ま、という訳でこれからそういう飲食店経営を考えている人達は日本人だから日本料理という
観念は捨てて、もう少し幅の広い視点で物事を決めてもいいのかもしれない。
私の後を引き継いだ人達も、何とか頑張って欲しい。

私が決めたメニューでそのまま継続するのもいいが、とにかく売れるものを売って行けばいいのである。
何故ならそれがここでの小商売で生き残る秘訣のような気がするからである。