メグブログ(美咲歌芽句)

Jeane+荒涼天使
 (ex.Mr.Kite)

マリーゴールド

2007-06-17 00:58:44 | 日記
午後から車で3分ほどのところにある物産館に野菜を買いに行く。
ここはいわば地元の市場のような所で、地元で採れたての野菜や果物、花、そして鹿児島名物の黒豚や黒牛の肉など、いわゆる地産地消を掲げた「道の駅」だ。私は野菜はいつもここで買うことにしている。何しろ新鮮で安い。今日は春菊とサンチュと生しいたけと地元特産の白菜を使った和風キムチを買う。藤原新也が「市場があれば国家は不要」と書いたが、まったく同感だ。

帰りに外にある花のコーナーを見回ると、黄色と深紅のツートーンカラーのマリーゴールドの花が目に止まり、思わず7株買う。オレンジ色や黄色だけのものもあるが私はこの2色の色合いを持つマリーゴールドを見ると、いつも買わずにはいられない。マリーゴールドは私にとっては“インドの花”。ブーゲンビリアもそうだがこの花を見ると私はインドを思い出す。インドにはこの花が溢れていた。あらゆるヒンズーの神々・・・ガネーシャやクリシュナやシバ神の像には必ずマリーゴールドの花輪が掛けてあったし、インドの白い牛や羊の首にも、またサドゥ(聖者)の首にもその花輪はあった。インドではマリーゴールドは生活の中になくてはならない花だった。
ガンジス河のほとりで焼かれる死人たちもまた、マリーゴールドの花で飾られていた。そして死人たちが焼き尽くされると、その骨や灰と一緒にたくさんのマリーゴールドがガンジスの水面に流れていった。聖なる花・・・マリーゴールド。

私はインドで2カ月ほど一人のサドゥと一緒に旅をしたことがあった。彼とはゴアで出会ったのだったが、互いに片言の英語で話したところによると、彼は私を見た時「この人を守って面倒を見なさい」という啓示を受けたから、私と一緒に旅をすると言う。私はちょっと驚いたけれど彼の目はとてもきれいで澄んでいたので、私は「OK」と言いそれから旅の道連れになったのだった。
彼はクリシュナ神を信仰している敬虔なサドゥで彼と旅をした間中、何くれとなく私の世話を焼き、食事もすべて作ってくれた。そして私が安宿に泊まったり、アンジュナ・ビーチに椰子の葉でふいた小屋を建てて住んだ時も、まるで番犬のように部屋の入り口で粗末な毛布にくるまって寝ていた。

そして彼が毎日欠かさずにやったことがあった。それは毎朝どこからかマリーゴールドの花輪を手に入れては、私の首に掛けてくれたのである。そして私が日本に帰ると決めた朝、そのことを彼に告げると、彼は「これで私の修行の一つが終わった。これからまた次の修行を見つける」と言って
微笑んだ。そしていつものようによれよれのずだ袋の中からマリーゴールドの花輪を出して、私の首に掛けてくれた。その花の色は彼の一枚しかない腰巻きの色と同じだった。
彼は今どうしているだろうか。
こうして今夜、また私の机の上にはマリーゴールドの花がある。
















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1 コメント

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Unknown ()
2007-06-18 19:14:31
とても うつくしい話だね
彼とメグの
それぞれの旅に
祝福がありますように
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