Diabetic Cat and Alcoholic Cat

糖尿病猫みぬ(2017年6月30日没)をはじめとする、アメリカに暮らす猫たちの日常の記録です。

ワクチンが腎不全の原因に?

2011-05-01 21:43:47 | 糖尿病ウンチク
猫の栄養学及び生肉食のレシピの参考にさせて頂いているDr. Lisa Piersonが、最近興味深い記事をアップされたので、ご紹介いたします。

猫は高齢になると腎不全を発症することが多いですが、一般に、腎不全には低蛋白質食を与えるべきと信じられています(尤も肉食の猫の場合、これが当てはまるかどうかははっきり言えないのですが…)。
しかし、低蛋白質食は、糖尿病には当然逆効果。
糖尿病と腎不全を併発してしまった猫の飼い主さんの中には、こうして悩んでいらっしゃる方も多いはず。

既に慢性腎不全を発症してしまった猫に対しては「今更」なのは承知ですが、実は定期健診で当たり前のように投与されるワクチンが、腎不全の原因になっている可能性があるようです。


http://www.catinfo.org/?link=vaccines


猫の多くが加齢に伴い慢性腎不全を患うようになるが、実はその原因の一つとして、ワクチンの与え過ぎが示唆されている。
実際、コロラド州立大学のコンパニオンアニマル研究センター から、FVRCP(三種混合ワクチン:猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症)と腎炎との関連性を示唆する研究が報告されている。

"The Center for Companion Animal Studies at Colorado State University has shown that cats vaccinated with FVRCP vaccines grown on Crandell-Rees Feline Kidney (CRFK) cell lines can develop antibodies to renal (kidney) proteins, and that cats hypersensitized to CRFK cell lysates can develop interstitial nephritis.

The immunodominant antigens to which antibodies are formed in these cats are α-enolase and Annexin A2, both of which are linked to autoimmunity and renal disease in humans.

Recently, we have shown that cats administered FVRCP vaccines parenterally (i.e. injectable) have higher levels of circulating antibodies to these antigens than do cats who were administered a FVRCP vaccine via intranasal administration."



つまり、日本語でできるだけわかりやすく説明すると…

三種混合ワクチンは、病原ウイルスを「培地」の中で培養することによって作られるが、その培地には、猫の腎細胞が使われる。
これらの腎細胞がワクチンと一緒に猫に注射されると、猫の免疫系はそれを異物として認識し、抗体を作る。
しかし、その抗体は、ワクチンと一緒に注射された腎細胞と、元々体内にあった腎細胞を区別できないため、その結果抗体は自己の腎細胞を攻撃してしまうことになる。


Dr. Piersonの提案は…

子猫
週齢8-9週程度で最初のワクチンを投与し、子猫としての最後のワクチンは生後16週以降にする。
生後6週からこのワクチンを開始できることになっているが、あまり若いうちに行うのは推奨できない。

猫ではないが、生後7ヶ月のコッカスパニエルが、飼い主が独断で月に一度の割合でDHLPPワクチン(ジステンパー、肝炎、レプトスピラ、インフルエンザ、パルボウイルス)を与えたところ、膜性増殖性糸球体腎炎で死んでしまった例がある
犬のDHLPPワクチンは、猫の三種混合ワクチンと組成が似ているため、猫の場合も三種混合ワクチンの与えすぎによる腎障害の可能性は否定できない。


大人猫
一般に用いられているワクチンのガイドラインでは、子猫の頃のワクチンから一年後にもう一度ワクチンを与えることが推奨されている。

子猫の頃与えられたワクチンは、以下の場合十分に効果を発揮しない可能性がある。
1)最後のワクチンが生後16週以前に与えられた場合。生後16週までは、母乳に含まれる抗体の影響でワクチンの影響が出にくくなる。
2)母乳中の抗体が生後16週を過ぎても体内に残っていた場合。
3)ワクチンを与えられたときの猫の健康状態がよくなかった場合。
4)ワクチンが何らかの理由で失活していた場合。

しかし、子猫の頃与えられたワクチンが効果を維持していれば、年次のワクチンは、利益と危険性を天秤にかけて考慮すると、不要と思われる。
三種混合ワクチンの予防する病気の中で一番致命的なのは猫汎白血球減少症だが、これはワクチンを子猫の頃打っておけば、多くの場合において一生予防効果を発揮する。
他の二つの病気については、ワクチンは完全な予防効果はないが、そもそもこれらの二つの病気はかかったとしても致死率は高くない。



実は、私もみぬやフローラにはここ数年年次ワクチンを与えていません。
完全室内飼いである以上、他の猫から病気を貰う可能性も低い上、みぬには持病もあるため、必要ないワクチンはしない…ということで、担当医も納得してくださっています。

もちろん、ワクチンを全面否定するつもりではありませんが、担当医ときちんと話し合って、納得のいく決断をしていただくことが大切だと思います。


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ちーちゃん&オス君飼育者)
2011-05-03 01:24:10
 ああ~そうなんですね
猫ちゃんへのワクチン要注意ですね><
みぬちゃんとフローラちゃんワクチン与えてらっしゃらなくて流石まま様賢明ですよね^^

さて4月のNHK投稿DO画ですが^^
機内に何とペンギンさん登場♪
そして蝦夷リスさんが面白いです♪
http://www.nhk.or.jp/doga-blog/2011/04/

Unknown (みぬまま)
2011-05-03 11:01:14
>ちーちゃん&オス君飼育者様

薬は私の専門ですが、実は私自身本当に必要なとき以外薬は使わないんですよ。
もちろん、みぬにとってインスリンは生命を維持する上で必要なので、投与していますけど。

蝦夷リスさん、大きな尻尾と白いお腹が可愛いですね。
このペンギンさんが乗っているのは、最近問題になったサウスウエスト便ですね。
全席自由席で、バスみたいな感覚で乗れるところがいいところなんですけど、やはり安いサービスには思わぬ落とし穴があったようで…。
Unknown (あびまま)
2011-05-05 00:49:02
うちのぎゃおさんは、ワクチン接種後に体調が悪化してしまい口内炎に、、、。
お鼻の状態も悪いままになってしまいました。
私の管理不足でした。ぎゃおさんごめんね。。。

ワクチン議論は尽きませんが、4年前から不活化ワクチンの接種をやめ
生ワクチンを接種しています。
接種させたくはないのですが、ぎゃおさんの鼻風邪が有る為に
10歳まで、、っと接種させています。
Unknown (みぬまま)
2011-05-05 11:47:29
>あびまま様

ぎゃおさんの体調がワクチン後に変化したのは、あびままさんの管理のせいではないと思いますよ。

薬というのは、承認されるときも、処方されるときも、常に「利益が害より勝っていること」が条件になるわけですが、
その肝心な「害」が、承認されてから新たに明らかになることも多々あるんですよね。

…って、実は、これが正に私が今している仕事なんです。
改めて自分の仕事が責任重大なんだなと思うと同時に、動物用医薬品も安全性管理を徹底させて欲しいな…と思います。
Unknown (みったん)
2019-03-09 11:15:28
今頃になって貴方のブログを見ました。
私も愛猫が1歳3ヵ月の頃、3種混合の予防接種を受けた後、急性腎不全になりました。
その時は予防接種と関連しているとは考えていませんでした。
今回、友達の飼っている猫ちゃん(17歳)が予防接種後、腎機能低下により亡くなりました。
予防接種を否定するわけではないのですが、貴方のブログを読んで納得できました。
ありがとうございます。
Unknown (みぬまま)
2019-03-09 15:32:46
>みったん様

もちろん、これでワクチンと腎不全の因果関係が100%解明されたわけではないのですが、ワクチンについてはこういう危険性も示唆されていますよ…という参考程度にしていただければと思います。

私が住んでいるアメリカは狂犬病の発生が認められている国ですので、狂犬病ワクチン接種が自治体で義務付けられています。
室内飼いなので、外で他の動物と接触して狂犬病に感染することはまずありえないし、できれば接種したくないのですけど、規則なので仕方ないですね。
それ以外のワクチンは、子猫の頃に打っただけで、それ以上は打たないことにしています。

コメントを投稿