赤い紙袋に入っていたのは、一足早いクリスマスプレゼント、ではなくて…
七面鳥の内臓でした!
今日は、会社のお昼休みに、一週間早い感謝祭ポットラック(持ち寄りパーティ)がありました。
今回は、丁度七面鳥を担当した女性が、私が猫にご飯を手作りしていることを知っていたので、
内臓だけをみぬまま家の猫たちのために取っておいてくれました。
感謝祭といえば、七面鳥をメインに、スタッフィング(七面鳥を焼くときにお腹の中に詰める、パンとスパイスのミックス)、マッシュドポテト、サツマイモ(中がオレンジ色)のオーブン焼きなどが定番ですが、
人種の坩堝のアメリカで持ち寄りパーティをすると、インド、中華、ベトナムなど各国の料理も並ぶのが面白いところ。
今回も、七面鳥以外にも様々なエスニック料理を堪能しました。
特に、私はベジタリアンのインド人コンサルタントの女性が毎回作ってくる料理が楽しみなのです。
しかし、「Turkey Day(七面鳥の日)」ともよばれる感謝祭を目の前にして何ですが、
猫たちには肉食を徹底しつつ、自分自身は益々ベジタリアン化しているまま。
実は最近、ピーター・コックス氏の「
You Don't Need Meat(「ぼくが肉を食べないわけ」というタイトルで日本語版が出ている)」という本を読んで、更に肉を食べる気を失っています。
元々肉を食べなくなっていった理由は、ただ単に、アメリカでは肉が日本のような小分けパックにされていなくて、
一人暮らしだと、自分で小分けにして冷凍しなければならないのが面倒だったから。
これに加えて、アメリカに住んでいると、上記のようにインド出身の人と接する機会も増えるわけで、
彼らの大部分はベジタリアンですが、それでも特に健康障害を起こしている様子もなく、寧ろ健康そう。
それに、最近はアメリカ人でも、宗教や文化的背景に関わらずベジタリアンになる人も増えています。
ということで、「まあ、面倒なら、無理して肉食べなくてもいいか」程度に考えていました。
更に、八月に参加した
ヨガのリトリートで、ラクト・ベジタリアニズム(乳製品だけは食べる菜食主義)を薦められて以来、
友人や同僚と食事をするとき以外は一切肉を食べていません。
で、例のピーター・コックス氏の本ですが、実はこの本を読むに当たって覚悟が要りました。
というのは、この本を読むと肉を食べる気を失くす…ということを、アマゾン等のレビューで読んでいたのですが、
「自分が肉を食べたくなくなる分にはいいけど、猫たちにまで肉を食べさせたくなくなってしまったらどうしよう」
という懸念があったのです。
しかし、心配は無用。
というのは、この本の原題で「You Don't Need Meat(肉は要らない)」と言っているのは、
人間の祖先はそもそも草食動物だったという理論に基づいているのであり、
猫のように先祖代々肉食だった動物が肉を食べることを否定するものではないからです。
本の最初の部分では、肉食動物と草食動物の体の特徴の比較(
私も元サイトに似たような比較表を載せていますが)が掲載されていて、
人間がいかに草食寄りであるかが説明されています。
確かに、人間には猫のように鋭い牙もなく、銃や刃物を使わなければ動物を捕まえることもできず、
しかも生肉を調理しないで食べれば高確率でお腹を壊します。
それに、そもそも引き裂かれて血を流す動物を見て、本能的に「気持ち悪い」と思うこと自体、人間が肉食動物ではない証なのかも?
逆に猫がねずみや鳥を殺しながら「気持ち悪い」なんて思っていたら、生きていけません。
そして、この本では、肉食が人間にもたらした病気についても詳細に解説されています。
この部分に関して、代謝への悪影響が原因で起こる成人病等は人間のみに関連するわけですが、
しかし、問題は、
肉を食べることで、その動物が持っていた伝染病に感染する危険性。
これは、下手すると猫などの肉食動物にも関わってくるかもしれません。
もちろん、食肉業者も健康な動物のみを選んで流通させているとしても、
怖いのは、その動物が病気を持っていても症状が出ないままされて、食品として流通している可能性も否定できないこと。
流石に、この可能性を100%避けるのは難しいかもしれませんが、
できるだけその可能性を低くするために重要なのは、
その動物が植物性の食餌を与えられていたことを確認することです。
そもそも人間が一般的に食する牛・豚・鶏などは、本来草食動物のはずですが、
しかし実際のところ、コストを下げるため、生きた草ではなく、死んだ動物を乾燥させて粉末にしたものを与えられている可能性もあるのだとか。
そして、その家畜のえさになっている「死んだ動物」には、病死した動物も含まれているわけです。
もし、その死因が感染症で、それを食べた動物が食卓に…などと、考えると恐ろしい!
なるほど、それで、アメリカのスーパーの精肉コーナーに売られている肉には、「Grass fed(草で養った)」「Vegetarian(菜食)」などの断り書きが添えられているのですね。
猫の手作りご飯の材料としての肉を選ぶ際にも、その動物が何を食べていたか、しっかり確認することが大切なようです。
この他、この著書の中で興味深かったのは、蛋白質や鉄分など、今まで「肉を食べなければ不足してしまいそう」と思っていた栄養素も、
実は人間の体は植物性の食材から十分に摂取できるようにできているということ。
(注:逆に猫は植物性の食事からは必要な栄養素が摂れないため、菜食には向きません。)
因みに、この著書の中で述べられている「肉食によって増えた病気」については、
多くが疫学調査に基づいているので、
「それなら、厳密に食事以外の条件を全く同じにして、被験者を肉食群と菜食群に分けて臨床試験をしたら、本当に菜食群の方が病気にならずに長生きするの?」
という疑問は残ります。
概して菜食主義の人は健康への関心が高く、食事以外にも色々健康に気をつけていたと思われるため、
それが病気予防につながっていた可能性も否定できません。
でも、結論として、少なくとも面倒な肉を食べなくていいと知っただけでも何だか安心しました。
(しかし、自分勝手な考えかもしれませんが、
世の中全ての人が菜食主義になり、牧場も閉鎖されてしまったら、猫のご飯の材料が調達できなくなってしまうので困ります!)
ところで、インド人は大部分がベジタリアン…ということで、最近あるインド人と猫の話をしたのですが、
インドでは人間も肉を食べないため、猫にも肉を食べさせないのだそうです。
「それはまずいでしょう?猫は肉食なんだから。」
と言うと、その人曰く、
「インドでは普通猫を放し飼いにするから、外で鳥やねずみを捕まえて食べてるから大丈夫」
とのこと。
なるほど、食事に関してだけなら、猫にとっては、寧ろその方が健康的かも。
しかし、その人の飼っていた猫は、外で他所の猫と喧嘩して怪我をして返ってくることも多く、
ある日、引越しをして間もなく外に出したら、それきり帰ってこなかったそうです。
それを考えるとやはり室内飼いにするのが最も安全で、
尚且つできるだけ自然に近い健康的な食生活…というと、健康的に育てられた動物の生肉のご飯…という結論に行き着くのでしょうか。