Diabetic Cat and Alcoholic Cat

糖尿病猫みぬ(2017年6月30日没)をはじめとする、アメリカに暮らす猫たちの日常の記録です。

またまた血糖値の謎

2019-12-29 14:03:02 | その他
最近猫とは関係なく、自分のことばかりで失礼します。

古い本だけど、アメリカのアマゾンでこんな日本の本が販売されていたので、興味本位で買ってみました。
フルーツ・クリニック―果物が糖尿病を治す(外園久芳、永田照喜治著)

最後の「あとがき」を見ると、日付が1999年8月になっているけど、ここ数年ブームの糖質制限やケトジェニックダイエットでは、できるだけ避けるべきだと言われている果物が、逆にこの本では「糖尿病を治す」と言われています。
生の果物を好きなだけ食べると、糖尿病が良くなる…という、最近の糖質制限やケトジェニックとは真っ向から対立する(?)理論が、実際の糖尿病患者のデータと共に紹介されています。

そこで、最近糖質制限に少し懐疑的になっている私みぬままは、自分の体で実験してみることに。
まず、こちらが空腹時血糖。相変わらず低めです。


この後キウィを二個食べました。
因みに上記の本では「永田農法」の果物が勧められているけど、流石にアメリカでは買えないので、できるだけオーガニックの物を食べるようにします。
Googleで調べたところ、キウィ1個当たりの炭水化物量は約10g、うち2gは食物繊維なので、糖質量は8g。2個食べれば、単純計算で16gの糖質摂取ということになります。
(果物は個体差も大きいので正確な値ではないかもしれませんが)

(可愛いパッケージに入ったカリフォルニア産オーガニックキウイ)

約一時間後、130mg/dLまで上がりました。


この状態で、恐る恐るリンゴを二個食べてみました。アメリカのリンゴは日本のリンゴより小さいので、これで約150gです。Googleのデータによると、約150gのリンゴ1個分の糖質は約17g。つまり、単純計算で34gの糖質を摂ったことになります。

(甘いものがあまり好きではない私みぬままは、この酸っぱいグラニースミスがお気に入り)

そして、さらに一時間後、血糖値を測定すると…


あれ?逆に下がってる!


こんな曲線になりました。

つまり、キウィを食べたら一時間後にそれなりに上がったけど、上がった状態で更にリンゴを食べたら、その更に一時間後、逆に下がったのです。

ところで、先日のグルコース負荷試験で、インスリンの出るタイミングが遅いことが分かった私みぬまま。
ということは、もしかしたら、食前に果物を食べておいて、予めインスリンを出させておけば、血糖値のコントロールがよくなるのではないか?と思って試してみたところ…。

まず、キウィを1個、夕食30分前にいただきました。
そして、大麦ご飯(調理前約50g)とサラダを食べて1時間後。

いい感じです。

そしてさらに1時間後。同じ値です。


実は、この日食べた夕食は、以前「血糖値の謎(その2)」をアップした時と似たような内容でした。
とはいっても全く同じではないのですけど、摂取した糖質量はほぼ同じになるはずです。
比べてみると、こんな感じ。青い線がキウィを夕食30分前に食べたとき、茶色い線が食べなかったときです。


つまり、果物は食べ方によっては、糖尿病の味方になる…といえるかもしれません。

ただ、大切なことは、果物は食後のデザートとしてではなく、朝や食前の空腹時に食べること。
果物のいいところは、消化が良くすぐにエネルギーと栄養を補給できるところですが、他の食べ物を食べた後で食べると消化が遅くなるので、その良さを生かせません。
あと、血糖値が気になる人は、一気に大量に食べずに、間隔を開けて少しずつ食べた方がいいかもしれません。

因みに、実は私みぬままはこんな感じで果物を一か月以上食べてますけど、体重は逆に減りました。
だから、糖質制限等でよく言われている「果物を食べると中性脂肪が増えて太る」…というのも、少なくとも私みぬままには当てはまらなかったようです。

ままのプレ糖尿病

2019-12-27 06:35:49 | その他
先日、私みぬままは、今まで怖くて躊躇していた経口グルコース負荷試験(OGTT)+インスリン値検査をついに受けてきました。
何が怖いかというと、検査値が標準値を上回ることもさることながら、75gのグルコースを飲まされたら、どうなってしまうんだろう?という恐怖心も…。

そして、簡易測定器(Freestyle Lite)との差も検証したかったので、いつも使っているFreestyle Liteも持っていくことに。
もちろん、朝からは何も食べずに、空腹状態で試験を開始します。

まずは、受付を済ませ、検査を待っている間に、空腹時血糖を測定。

78mg/dL。空腹時血糖の標準値は70-110mg/dLなので、理想的な値です。

検査室に呼ばれ、最初に空腹時血糖を測定。
因みに結果は数日後に出るので、この段階では値は知らされませんでした。
その直後に、グルコース75g入り飲料のペットボトルを渡されました。
舌で味わって飲むとあまりの甘さに気持ち悪くなりそうだったので、できるだけ喉に流し込み、何とか無事飲み終えると、検査官から「Good Job」と褒められました。

30分後、検査室にて血糖値測定。
直後に自己測定してみると…

125mg/dL。思ったほど上がっていない。
なんだあ、大したことないじゃん。そもそも私は糖尿病じゃなかったんじゃないの?などと呑気に考えていました。

更に30分後、1時間値の測定。
またまた直後に自己測定してみると…

213mg/dL!高いです!

30分前に「大したことないじゃん」と思ったのもつかの間、やっぱり糖尿病予備軍であることには変わりはありません。

そして、更に60分後、2時間値の測定。
自己測定してみると…

242mg/dL!あまりのすごさに血の気が引きました。

いくら食後血糖値は簡易測定器では高めに出ることがあると言えども、これは高過ぎでしょう。

本当は血糖値が下がるまであと1-2時間測定してみたかったけど、このプログラムでは2時間目までしか含まれていなかったので、これにて検査終了です。

そして、数日後、検査結果が出ました。
簡易測定器(Freestyle)と検査機関での値(Lab)を比較してみるとこんなかんじになります。


空腹時血糖はFreestyleの方が若干低く出ているのに対し、30分後では検査機関での値が大きく上回ったかと思えば、1時間後と2時間後ではFreestyleの値が検査機関での値を大きく上回りました。

グラフにしてみると…

青の実線がFreestyleの測定値、オレンジの実線が検査機関での測定値、緑の点線が、標準値の最大値、黄色の実線がインスリン値です。
グルコースを飲む前のインスリン値は2.3uIU/mLで標準値の2.6-24.9を下回っていたので、元々インスリンが少ない体質なのかな?
そして、健康な人はグルコースを飲むと同時にインスリンがすぐに出て、2時間後には血糖値が下がると同時にインスリンも下がるはずだけど、私の場合はインスリンが少しずつずっと上がり続けています。

因みに、健康な人はこんなパターンになるはず。


糖尿病になるパターンとしては、インスリンの出が悪い場合と、インスリンはしっかり出ていても抵抗性によって効かない場合があるけど、私の場合は前者のようです。
後者については中性脂肪はインスリンの抵抗性を増すので、肥満(体重が標準でも内臓脂肪の多い隠れ肥満を含む)があると、インスリンは出ていても血糖値がうまく調整できない状態になります。

因みに、これが私みぬままの体組成データ。

体脂肪率はアスリート並みということになっていますが、週に3回ヨガに行く程度でアスリートとは程遠い生活をしているので、結局は単なる「痩せ」です。
筋肉も少ないけど、骨量だけは標準を上回っていてちょっと安心(痩せ型の女性は特に骨粗鬆症のリスクが高いので)。
内臓脂肪は最低値の「1」なので、これ以上下げようがありません。

この状態だと食事だけで解決するのは難しいのかも。
筋肉鍛えなきゃダメなのかな…。

あれから二年

2019-12-21 15:20:39 | 猫たちの近況
ゾロが旅立ってから二年が経ちました。
二年前の今日、ままの腕の中で、ゾロの目から力が抜け、首がのけ反った瞬間を、未だにはっきりと思い出します。
末期の腎リンパ腫で、元気なころの体重の半分以下まで痩せ細ってしまったゾロ。
旅立ちは寂しかったけど、でも苦しみから解放され、大好きなみぬの傍に行けたことは、ゾロにとって幸せだったのかもしれません。

今は、虹の橋でみぬやフローラと仲良く暮らしているんだろうな…。






同腹の妹、ルナは弟のハルと仲良く平和に暮らしています。


これからも、虹の橋からみぬまま一家を見守っていてね。

血糖値の謎(その3)

2019-12-04 20:00:15 | その他
血糖値の自己測定値と病院での検査値の違いについて調べていたら、こんな興味深い研究をされた方がいらっしゃるのを見つけました。

患者の立場での糖尿病臨床研究
(HP管理者の納先生の許可を得てシェアしております)

特に、こちらで先生ご自身が、ブドウ糖負荷試験を行いつつ、検査室での静脈血のデータと簡易測定による指先からの採血のデータを5回にわたって比較されているのは面白い。

その6) 自己測定値と検査室測定値の異常な乖離!

これによると、空腹時は自己測定の方が低く出るのに対し、食後にはこれが逆転して、自己測定値が高くなり(大きい時では40mg/dL近くの差が出ることも!)、そして食後時間が経ってまた下がってくると、再び自己測定値が低くなる傾向がみられるとのこと。

ということは、食後に簡易測定器で測定した値が140mg/dLを超えていたからと言って、
「やっぱり食後高血糖だわ~」と嘆くのはまだ早いということですね。

つまり、食後に糖が動脈に入ると血糖値が上昇し、それがインスリンの作用で静脈から筋肉に取り込まれる段階で血糖値が少しずつ下降していくのに対し(このため動脈の血糖値は静脈の血糖値より高い)、
食後時間が経って血糖値が下がると、逆に拮抗ホルモンによって糖が筋肉から動脈に取り込まれ、静脈に入るまでに血糖値が上昇していくということらしい(つまり静脈の血糖値の方が動脈の血糖値より高くなる)。

本当に食後高血糖かどうかは、ちゃんとした検査施設で測定してみるべきであり、簡易測定はあくまで目安と考えた方がよさそうです。


更には、こちらで17人のボランティアの方々で、ブドウ糖負荷試験中のインスリンおよび拮抗ホルモン(グルカゴン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、アドレナリン、コルチゾールなど、血糖値を上げるホルモン)の動きを検証されています。

その7) 健康成人17名におけるインスリン拮抗ホルモンの動き

ブドウ糖負荷の前では拮抗ホルモンが優位なのに対し、負荷開始後、血糖値上昇と共にインスリン濃度も上昇すると拮抗ホルモン濃度は下がり、そして時間が経ってインスリン濃度が下がると再び拮抗ホルモンが優位になる傾向が見られます。
血糖上昇に貢献しているホルモンはグルカゴンだけではなく、成長ホルモンだったり、甲状腺ホルモンだったり、どれが大幅に上昇するかは人によって様々な様子。
特に食後数時間後に訪れる血糖値の降下が大きくなると、低血糖発作を防ぐべく、これらの拮抗ホルモン濃度が急上昇し、下がり過ぎないように調整しているようです。

ブドウ糖負荷試験は、前日の夕食以降絶食して、朝食抜きの空腹状態で測定するので、その分試験開始前には特に拮抗ホルモン濃度も高くなっているのかもしれません。
この状態でいきなり糖質を摂取すると、特に糖尿病や予備軍の人なら、血糖値が急上昇してしまいますね。
もし糖尿病が「グルカゴン(およびその他のインスリン拮抗ホルモン)の反乱」であるとするなら、拮抗ホルモンをできるだけ抑えよう、血糖値を乱降下させない工夫も必要なのかもしれません(素人の私みぬままには、具体的にどうすればいいというアドバイスはできませんが)。


ところで、こんな研究も発表されています。
High Endogenous Salivary Amylase Activity Is Associated with Improved Glycemic Homeostasis following Starch Ingestion in Adults(内因性唾液アミラーゼ活性の高さが成人においてデンプン質摂取後の血糖恒常性の改善と関連している)
Abigail L. Mandel, Paul A. S. Breslin
The Journal of Nutrition, Volume 142, Issue 5, May 2012, Pages 853–858

この研究では、唾液中のアミラーゼ(炭水化物分解酵素)濃度が高い人と低い人との二つの群に分け、コーンスターチ液を飲んだ後の血糖値を測定していますが、
アミラーゼ濃度の高い群で、よりよく血糖値が抑制できていたという結論になっています。
唾液中のアミラーゼ濃度は自分の意志で簡単に変えることはできないけど、たとえアミラーゼ濃度が高くなくても、食べ物を口の中でよく噛んで唾液と混ぜ合わせることが血糖値のコントロールにも役立つということでしょうか(あくまで憶測だけど)?

因みに、以前、ヨガの先生から「ミカン瞑想」なるものを習いました。
ゆっくり味わって食べる練習としてお勧めです。
(ミカンが苦手な人は、他の小さな果物一かけや、チョコレート、ミントなどでもできます)

ミカン瞑想
まず、ミカンの皮を剥き、一房だけ口の中に入れます。この段階ではまだ噛まないでください。
ミカンの房の表面が舌、口蓋、歯に触れる感覚、房の形、温度を感じてください。
次に、ミカンの房をゆっくり噛んで、汁が口の中に広がる感覚を味わいましょう。
汁の味は、甘いですか?酸っぱいですか?
舌のどの部分が味を感じていますか?
時間が経つにつれて味はどう変化しましたか?
口の中でミカンの温度はどう変化しましたか?
房が壊れた後の果肉の感覚を舌や口蓋で感じましょう。
そして、ゆっくり噛みながら少しずつ飲み込み、ミカンが口の奥から喉に入っていく感覚を味わいましょう。


実は、私みぬまま、かなり早食いでした。
これからは、意識してゆっくり食べることを心がけます。