〈第三項〉論で読む近代小説  ◆田中実の文学講座◆

近代小説の読みに革命を起こす〈第三項〉論とは?
あなたの世界像が壊れます!

9月の講座のご案内

2023-09-21 12:17:15 | 日記
明後日土曜日、お彼岸の秋分の日、猛暑もこれで終わることを期待しています。

日本の近代小説の基底はリアリズムを本流にしています。
そこでの「深層」が研究対象として読み込まれてきました。
しかし、これは村上春樹の用語でいえば、「地下一階」までの領域、
「深層」ならぬ「表層」です。
この逆転はいまだ十分近代文学研究に浸透していません。
「地下一階」のさらに下層、「地下二階」はリアリズムではもう捉えられません。

かつて、蓮實重彦の高名な『小説から遠く離れて』、『表層批評宣言』が出版されましたが、
これは今も受け止められず、相変わらず、「表層」を「深層」と信じ込んで、
研究がなされています。

村上は通常の小説概念とは異なるところから、創作を始めました。
村上春樹の言い方をすると、けんかをせず、最初から目覚まし時計の分解をして、
作り直して近代小説を見せているのです。
わたくしはこれは鷗外・漱石に通底していると考えていますが、
大変理解しにくいものです。
何しろ鷗外の『舞姫』の半年後の『うたかたの記』を
「パラレル・ワールド」の小説と読んでいますから。

その前に、一人称小説『舞姫』の主人公太田豊太郎の手記それ自体を対象化して読むためには、
「余」を「余」を相対化して語る〈語り手〉、
すなわち、手記の背後に隠れている〈機能としての語り手〉を読むことが必須です。
これができないと近代小説の〈神髄〉を読むことは基本的に不可能、
リアリズムを極め、それを超えていくところ、村上春樹の文学、
「地下二階」を内包させた文学作品はそこから始まります。


今回はこれを魯迅文学『藤野先生』の問題で顕わにして、
村上春樹が魯迅文学に通底している、「地下二階」につながっていることを
世界の人々にお話ししたいと思っています。

ぜひ、土曜日お彼岸の日、ご一緒してください。
以下、朴の木の会からのご案内です。


9月23日(土)に、田中実文学講座を開きます。
今回のテーマは「魯迅の小説『藤野先生』と『故郷』について―今度の拙稿を書き終えて―」です。
はじめて方も歓迎します。大勢の皆さんのご参加をお待ちしています。

※下記時間は日本時間です。

作品 魯迅『藤野先生』
講師 田中実先生(都留文科大学名誉教授)
日時 2023年9月23日(土)13:30~15:30
参加方法 zoomによるリモート
申込締切 2023年9月22日(金)19:00 まで
参加をご希望の方は、下記申込フォームから申し込んでください。申し込まれた方には、締め切り時間後に折り返しメールでご案内します。
https://forms.office.com/r/RpPpvWXSMj
問い合わせ:dai3kou.bungaku.kyouiku@gmail.com
主催 朴木(ほおのき)の会