図書館屋の雑記帳

自分のこと、図書館のこと、図書館関係団体のこと、本や雑誌など図書館の資料について気の向くまま書いていきたいと思います。

『世界最高のジャズ』

2006-09-12 | JAZZ

 ジャズの紹介本は多数出版されている。
さまざまなコンセプトで、あるいは多彩なアプローチでジャズを語り、紹介している。
では最近出版された『世界最高のジャズ』の特徴はなんだろう。
読みながら考えた。
そうか…
 これは著者の、本を通じた演奏なのだ。
他人がどう評価しようと、他人が感動しようがしまいが、
自分の身体が最高と言っているものが最高なのだ!
言い換えれば、
自分の身体に染みたものを活字を使って演奏しているのだ。
だから表現が大げさでも、ひとり感動に浸っていても、
著者はジャズを紹介しているのではなく、そのジャズに感動した自分を表現してるのだ、と思うとそれなりに納得できる。

 著者の原田和典氏は奥付によると、
「一九七〇年北海道生まれ。音楽評論家。長らく老舗ジャズ専門誌「ジャズ批評」の編集に携わり、二〇〇〇年から五年間は編集長を務める。著書に『コルトレーンを聴け!』(ロコモーションパブリッシング)、『元祖コテコテ・デラックス』(ジャズ批評社)、共著に『JAZZ“名盤”入門!』(宝島社新書)、『さわりで覚えるジャズの名曲25選1~3』(中経出版)などがある。現在、ミュージックフィールドのHPで『原田和典のJAZZ徒然草』を連載中。」
ウェブサイト http://www.musicfield.jp/harada_kazunori/
だそうである。

 この本では次のような構成で、 
第1章 ジャズはいきなり革命だった
第2章 ジャズの心臓―アドリブに人生を賭けた“即興の鬼”たち
第3章 強烈な支配力と構成力―オルガナイザーたちとそのグループ
第4章 美は乱調にあり―“一聴猛毒”の冒険者たち
第5章 熱いブイヤベースのごとく―世界音楽としてのジャズ
第6章 音一発の説得力―ジャズの蟻地獄に引きずり込む愛すべきプレイヤーたち
第7章 挑戦しつづけるジャズ1970’s~2000’s 

 ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、チャーリー・パーカー、バド・パウエル、クリフォード・ブラウン、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガス、アート・ブレイキー、オーネット・コールマン、エリック・ドルフィー、セシル・テイラー、アルバート・アイラー、ディジー・ガレスピー、ウェス・モンゴメリー、ローランド・カーク、ジャッキー・マクリーン、リー・モーガン、ウェイン・ショーターを熱く語る。
 そして最後に自ら同時代的に聴いたジャズを「第7章 挑戦しつづけるジャズ 1970's~2000's」として最近のジャズ界を俯瞰する。
 原田氏は言う。
 「本書のタイトルである『世界最高のジャズ』とは、ジャズの特質を最大限に発揮した 演奏である。そう僕は断言したい。
 ・アドリブの鋭い切れ味(即興的に飛び出すフレーズのカッコよさ)
 ・そのミュージシャン独自のリズム感(ノリ)
 ・アドリブ楽器とリズム楽器の一触即発の呼応
 ・音色そのものが持つ、有無を言わさぬ説得力
――僕にとって、これらこそジャズの特質だ。他のジャンルでは替えがきかない。」
 
 それにしてもジャズを語るとき原田氏にしろ寺島氏にしろとても温度が高くなる。煙が出ているかと思うほどである。私図書館屋は冷静な名盤案内やオーラルヒストリー的なジャズ史の本が好きである。だが、時にはこんな温度に浸ってみたい時があるのも事実である。
 もちろんジャズの紹介本としての機能も十分に果たしてる。 

 

世界最高のジャズ 世界最高のジャズ
原田 和典

光文社 2006-08-12
売り上げランキング : 86612
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ステラのえほんさがし』 | トップ | 宮城行 »
最新の画像もっと見る

JAZZ」カテゴリの最新記事