読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

中山可穂「ケッヘル」

2010年04月16日 | な行の作家
文庫版あとがきより
書いても書いても書き終らない、長い小説を書きたかった
読んでも読んでも読み飽きない、おもしろい小説を書きたかった
ただの恋愛小説の枠を超えた、大きな物語を書きたかった
遠く、高く、深く、広く、言葉に旅をさせ、まだ見ぬ領域に手を伸ばしてみたかった
そのために偉大なモーツアルトの力をちょっとだけ借りることにした


日本での救いの無い情事から逃れるため3年に渡りヨーロッパを放浪していた木村伽椰がカレーの海辺で出会った男、熱狂的なモーツァルティアン・遠松鍵人
日本に戻り、遠松が代表を務める旅行会社、アマデウス・コーポレーションでアルバイトをすることになった伽椰が巻き込まれる連続殺人事件
とくるとミステリーのようですがミステリー部分は都合よく話が進みすぎてもうひとつ

伽椰と遠松が出会う導入部に続き
伽椰の章と遠松の章が交互に語られます
ワクワクします
伽椰の章より、遠松の章が印象的でした
遠松の生い立ち
ピアニストだった母との生活、指揮者だった父との放浪の旅、初恋、高校生活
特に父親との旅、ケッヘル番号に導かれるように列車を乗り継いで鎌倉から西へ西へと流れていく約10年はこれだけでまた別の物語が出来そうです


中山さん得意のビアンも勿論扱われていますが、男女、同性の恋愛だけでなく親子愛、師弟愛、プラトニックも含めた壮大な愛の物語


初めての1500枚に及ぶ長編とのこと
その中に色々詰め込み過ぎて全体がぼやけているようにも思います

次はもっと文章密度を高めて3000枚くらいのものを書きたいそうです
期待したいと思います



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 谷川俊太郎「夜のミッキー・... | トップ | 日本語力向上会議「テキる人... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

な行の作家」カテゴリの最新記事