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映画・家へ帰ろう

2019年01月12日 | 映画(海外)

 

原題 EL ULTIMO TRAJE
2017年 アルゼンチン、スペイン
【伏見ミリオン座】 

 

アルゼンチン、ブエノスアイレスに暮らす仕立て屋のアブラハム(ミゲル・アンヘラ・ソラ)
たくさんの孫に囲まれて写真撮影に臨む姿は幸せそうです
ところが、娘たちの判断で、彼は50年暮らした家を処分され翌朝老人ホームに入ることになっているのでした
さらに若い頃から悪くしていた右足は切断しかない、とまで言われます
荷物の整理をしてた使用人の女性に「このスーツはどうしますか」と聞かれたアブラハムの表情にほんの僅かな変化が…
その夜、例のスーツと荷物を一つだけ持ってこっそり家を抜け出したアブラハムの行先はポーランド
目的は、70年前に別れた友人に自分が仕立てたスーツを渡すことでした

実はアブラハムはポーランド生まれのユダヤ人でナチスドイツによるホロコーストの生き残り
友人というのは、仕立て屋だったアブラハムの父親の使用人の息子で、死ぬ思いで家に戻ってきた彼を助け匿ってくれたのでした
友人一家はアブラハムらが収容所に送られてから、彼の生家で暮らしていました
友人の父親は迷惑だと追い返そうとしますが、友人は自分がお世話になった恩人の息子を見捨てることは出来ないと父親を殴ってでも匿ってくれたのです

 

現在に至って、両親や妹を奪ったナチスドイツを許せないアブラハム
尖りまくった老人の旅はトラブルの連続です
しかし、スペイン、マドリードまでの機内で隣り合わせた若者・レオナルド(マルティン・ピロヤンスキー)、マドリードで宿泊した宿の女主人・ゴンザレス(アンヘラ・モリーナ)、パリからワルシャワまでの列車に乗り合わせたドイツ人の文化人類学者・イングリッド(ユリア・ベアホルト)、列車内で倒れたアブラハムが入院した先の看護師ゴーシャ(オルガ・ポラズ)らの助けを借りながら何とか自分が生れ育った家に辿り着くことが出来ました
友は今でもそこで暮らしているのでしょうか、生きているのでしょうか

 

アブラハムがイングリッドに語る
父親、伯父が撃たれて亡くなった日のこと
妹が10歳以下ということで他の幼い子供たちと一緒にトラックに積み込まれてどこかへ運び去られた日のこと
「聞いた話じゃないんだ、自分の目で見たんだ」にはグッときました
その言葉に答えるイングリッドの言葉にも胸を打たれました

 

 

パブロ・ソラロス監督(脚本も)の祖父がやはりポーランド生まれのユダヤ人で家では『ポーランド』という言葉は禁句だったそうです
そんなある日、カフェで聞こえてきた、ナチスドイツの迫害を生き延びた一人の老人が故郷に暮らす友人を訪ねる旅の話を聞いて、自分が今生きていられるのは、祖父や多くの人々が戦争を生き抜いてきたお蔭で、その話を映画にして御礼をしなければならないと考えたとのこと
地に足のついた作品です 

 

ラストは一気に緊張がほぐれて、泣けて泣けて仕方ありませんでした
周囲からもすすり泣きが聞こえてきて涙が止められませんでした

 

 


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