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平野啓一郎「空白を満たしなさい」

2022年09月06日 | は行の作家


上巻
講談社文庫
2015年 11月 第1刷発行
2022年 6月 第15刷発行
339頁

下巻
Kindle
講談社文庫 2015年 11月 第1刷発行を電子書籍化
240頁

NHKの土曜ドラマを見て、よく分からなかったり消化不良だったりした箇所が多かったので原作を読んでみました
下巻は紙の書籍入手に時間がかかりそうで、とうとう電子書籍のお世話になることに…
電子書籍も悪くないですね
けれど、積極的にはなれないかな

さて、内容は

ある夜、勤務先の会議室で目醒めた土屋徹生は帰宅後、妻から「あなたは3年前に死んだはず」と告げられます
死因は“自殺”
息子が生まれ、仕事も順調だった当時、自殺する理由などなく自殺直前の記憶がない徹生は殺されたのでは、と会社の警備員で自分ともめ事が絶えなかった佐伯という男を疑います
勤務先や自殺現場を訪れたり佐伯の居所を捜したりするうちに少しずつ自殺前の記憶が戻ってくる徹生
自分が生き返ったことで妻や周囲に迷惑をかけているのでは、という悩みも深くなるばかりでした
世界中で徹生以外にも人が次々に生き返るという不可思議な事象が発生
生き返った人々は『復生者』と呼ばれ毎日のようにマスコミの話題にのぼっていました
何かと厳しい立場にある『復生者』たちが立ち上げた会に参加した徹生はそこで出会ったラディックという男性との会話を通して少しだけ気持ちに安らぎを覚えます
やがてゴッホの複数枚の自画像を見て「分人」という考え方を知る徹生
人は複数の人格を持っており対する相手によってそれを使い分けていて、なかには病んだ人格=分人がいる
病んだ分人を病んでいない分人が攻撃する、消す、それが自殺という行為に繋がるのではないか、という結論に至ります
深い思考を繰り返した末、家族の為に再び生き直したいと強く思う徹生でしたが、今度は復生者たちが突然姿を消すという事象が続きます
数分後か、明日か、数年後か、いつか自分が消える日がきても今を大切に生きようとする徹生
最終頁には大きな感動が待っていました

表紙カバーはゴッホの自画像です
読みながらようようこの絵画が使われた意味が理解できました

平野啓一郎さんの死生観が色濃く反映された作品とのこと
重かったけれど読んで良かったです
 

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