読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

石井明「幽霊はなぜ出るか」

2023年03月08日 | 教養・学習本


平凡社
1998年6月 初版第1刷発行
242頁

序章 幽霊は存在するか
第一章 人魂篇
第二章 幽霊篇
終章 幽霊はなぜ出るか

科学的知見に基づいた内容ではありません
多くが、古い絵巻物、伝承、俗話や落語の紹介で、その時代、幽霊はどのように出現し、消えていったか、など面白い読み物になっています

幽霊とは?
怖いものみたさ、好奇心、恐怖感を味わうという快楽を求める人間が出現させたもの、とのこと


以下、長いですが本文より
「幽霊の歴史」
神話の時代や飛鳥時代の頃までは、お化けや幽霊の話といったものは存在しなかった
それは、この時代の日本人の死生観として「生者が住む国」と「死者が棲む国」とが厳密に分けて考えられていたからである
『古事記』にあるイザナキが、死んだ妻のイザナミを訪ねる黄泉の国は、出雲国と黄泉比良坂によってつながる地下世界であって、そこが死者たちの棲むところであった
したがって、そこでは霊魂と肉体を区別するといった考え方も、死者の霊魂が生者に祟るといったこともなかった
それが、奈良・平安時代に入って仏教が伝来普及し、その思想的基盤である霊魂不滅の世界観から人間の魂の存在が強く意識されるようになり、死者の魂は来世で再生する一方浄土に行けず現世に迷う魂も生ずると信じられるようになった
鎌倉・室町になると戦乱による殺戮の時代となり、亡霊として現れるのは多くは戦いに敗れた武士で、能楽が興ると亡霊は怨霊も含めて舞台の上に視覚化されるようになる
ただ、この時代の亡霊は相手を襲い恐がらせるために現れるのではなく、供養をして欲しいと願い出現するのである
江戸時代に入っていよいよ幽霊が登場
戦乱のない平和な時代になると大衆の欲望の度も膨張して不満や怨念が増幅
死者の霊魂が生者に復讐するという怪談が歓迎される素地が生まれたといえる

いくら脳科学研究が進んでも、人は、幽霊や妖怪、化け物といったものへの好奇心を持ち続けるのでしょうね
あっさり「それは幻覚」「気のせい」「思い込み」などと否定されても信じる人、信じたい人、は多いと思います
自分は、といえば、恐いのはイヤだけれど覗き見趣味的な好奇心はあります^^

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« TVドラマ(日本)・照柿 | トップ | 03/07 第二十九回 落語教育委... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

教養・学習本」カテゴリの最新記事