原題 TUESDAYS WITH MORRIE
訳・別宮貞徳
普及版
NHK出版
2004年11月 第1刷発行
2017年10月 第35刷発行
194頁
スポーツコラムニストとして活躍するミッチは、偶然テレビで学生時代の恩師の姿を見かけます
恩師=モリー先生は難病のALSに侵されていました
16年ぶりにモリー先生を訪ねたミッチ
モリー先生は動かなくなった体で人と触れ合うことを楽しみ、幸せそうでした
「何でも質問して」とモリーはいつも言う
それで、ぼくはこんなリストを作った
死・恐れ・老い・欲望・結婚・家族・社会・許し・人生の意味
死の直前、何をしたいかという問いに対しての先生の答えは
『普段通りの1日を過ごすこと』
死を目の前にして、人生で何が大切かについて明晰な考えをもっているモリー
著者は、その明晰さが欲しいといっています
モリーの父親はロシアからの移民で一家は大変貧しい暮らしを余儀なくされていました
8歳で母親に死なれ、英語のわからない父に病院から届いた死亡通知の電報を読み上げます
9歳のときには弟がポリオに罹り、自責の念にかられます
モリーの結婚後ですが、父親が強盗に襲われ逃げた後心臓発作で急死、死体安置所で対面します
人間の悲しみを骨身に染みて知るモリー
昔の教え子を相手に、自分を憐れむことなく、人生を語り、愛を教える、つまりはいかに死ぬかを語るのです
本書は単なるモリーの記録ではなく、著者の人生が重ね合わされています
大学での背伸びした生活、卒業後にはミュージシャンを目指すものの挫折、スポーツライターになってからは名声も財産も得たけれど人生に意味を見い出しかねていた彼が、旧師に再会して教えを聞くようになり、次第に目覚めていく過程には、自分も身につまされるところが多々ありました
モリーと同じような生き方、死に方はできないと思いますが、日々「愛」「こころ」「生きる」「死ぬ」などと呟くだけでも何かしら変化が起きるかもしれません
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