集英社
2018年6月 第1刷発行
418頁
9歳で父親を亡くし、東京で母と2人暮らしをしていた中学三年生の広末雨音
新しい恋人と渡米する母を嫌い、信州に暮らす叔父の元に身を寄せます
バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルと暮らす山岳カメラマンの叔父・乾道夫は付かず離れず、温かい眼差しで雨音に接します
東京とは違うおおらかな風土の中、ワルテルと信頼関係が築かれていき、転校先でできた友人や隣の別荘に時折やってくる男子高校生・正樹とも親交が深まります
ワルテルの見返りを求めない愛情に力をもらいながら成長する雨音と正樹の物語
ですが、雨音や正樹の描き方に違和感が拭えず、彼らの感情に共感できる部分が少なかったです
山の描写と、犬と人間の関りについては文句なし
いずれ必ずやってくる愛犬との別れは分っていても泣けました
馳星周さんの犬をテーマにした作品はホント泣かされます
確かに人物造形にはちょっと…でした。
でもワルテルには泣けました。
この著者の、犬に関する本はほぼ読んでいると思います。
なんたって、飼い犬の為に軽井沢に移住した位の愛犬家ですものね。