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乃南アサ「晩鐘」

2020年11月08日 | な行の作家


双葉文庫
2015年4月 第1刷発行
上巻 494頁
中巻 478頁
下巻 523頁


「風紋」から7年
母親を自分が通う高校の教師に殺された真裕子は大学で学んだ知識を生かそうと園芸会社に就職しますが会社の植物に対する考え方に疑問を持ったことと社内の人間関係が上手くいかないこともあって退職
父親の紹介で住宅会社に再就職し、モデルルームの案内係として働いています
母亡き後、父が再婚したことが許せない真裕子は家を出て独り暮らしをしています
あの頃、荒れに荒れていた姉は結婚し2人目を妊娠中で、当時とはすっかり人が変わってしまいました
浮気していた父、引き籠りだった姉、そんな中で家族に頼ることも出来ず独りぼっちだった母が殺されなければならなかったことに未だに強い拘りのある真裕子は今でも父と姉が許せず、その影響で他人との人間関係を構築するのが難しい状態です

同じ頃、長崎で中学生撲殺事件が起きます
取材の為に中学生の実家を訪ねた新聞記者・建部は遺族の中に見知った顔を見て驚愕
それは真裕子の母を殺した教師の元妻だったのです
建部は真裕子の母親が殺された事件当時、東京本社勤務で取材に走り回り深く事件に関わっていました
これは一体どういうことか
“因縁”というものがあるのだろうか…

長崎から東京本社に戻った建部は真裕子の母親の事件も含め、いくつかの事件の被害者の遺族・加害者の親族らのその後を取材し連載にまとめます
事件からどれほど長い時間が過ぎようが悲しみと憎しみは消えることがない、負の連鎖は続くと思い知った建部なのでした

「風紋」の内容が真裕子や建部の思い出の形でちょくちょく出てくるので、「あ~そうだった」と本作へ繋がり登場人物たちの背景がわかって合計1495頁という長さですがさほど苦労せず読み終えることができました
乃南さん、上手いです
重い内容ですが読んで良かったと思いました
もう少し短く出来たのではないかしらん、とも思うのは読者の勝手です


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