読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

西加奈子「夜が明ける」

2023年10月23日 | な行の作家


新潮社
2021年10月 発行
407頁

15歳の時、高校で「俺」は身長191㎝の「アキ」と出会います
普通の家庭に育った「俺」と、母親にネグレクトされていた吃音の「アキ」は、互いにかけがえのない存在になっていき、大学卒業後、「俺」はテレビ制作会社に就職し、「アキ」は劇団に入団
しかし、焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、少しずつ2人の心と身体は壊れていくのでした

思春期から33歳までの2人の友情と成長を描きながら、人間の哀しさや弱さ、そして生きていくことの奇跡を描きます


物語の終盤に入ってもタイトルのように夜が明けるとは思えず辛いばかり
しかし途中で止めるわけにはいかない、という気持ちで読み終えました
世の中には自分の努力だけではどうしようもないことがたくさんあり、ちょっとしたことをきっけかに全てを失い転落することもあります
貧困、虐待、ブラック企業、様々なハラスメント等々
不条理な社会で苦しんでいる人たちに、自分の弱みを見せること、助けを求めることは悪いことではない、いつか必ず夜が明ける日が来ることを信じて生きて欲しいと思いました

本書に出てくるフィンランドの俳優、アキ・マケライネンはフィンランドの映画監督アキ・カウリスマキのバーで見た男性をヒントに作った架空の人物とか
実際にカウリスマキ監督作品に出演していたのではないかと思えるほど自然でした
カウリスマキ監督作品を観ておくと「俺」と「アキ」の会話がより分かりやすくなるかもしれません



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 10/21 松任谷由実コンサート ... | トップ | おうち映画(海外)・靴ひも »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

な行の作家」カテゴリの最新記事