つぶやき①

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夏目漱石の「文明開化とはなんぞや」

2005年05月19日 | 心に残った記事



数日前の記事ですが、
夏目漱石の「文明開化とはなんぞや」・・・が興味深い。
是非たくさんの人に読んで欲しい。


日本語で、頭がいいとか、悪いという表現は、
たかだか昭和初期に生まれた言い方らしい。
目まぐるしい時代の変化に頭脳回転の「速さ」が要求され、
速ければいい、遅ければ悪い、というわけだ(桶谷秀昭・昭和精神史)。

それまでは「賢い」か「愚か」かだった。
賢い人は、生命や芸術、宇宙、人生の意味なんてことをあてもなく
考え続けていたものだ。
あてのない命題だから、速さなんぞまったく関係がない。

こういう土壌が少しでも残っていれば、
JR福知山線の大惨事は様相を変えていたかもしれない。
一分半の遅れを取り戻すために速く、速くと運転士を急(せ)かした
裏には、速さによって他社に負けるなという頭の回転の速い上司の
意向があったのだろう。

そこには、一分半という時間があるだけで、
数百人の乗客の人生という時間は忘れ去られている。
安全とか、環境とか、いまの日本が心底から問われているものは、
こうした比較を瞬時にできるようなムダで効率の悪い「賢さ」
なのだと実感する。

悲惨な事故のさなかに大型連休が始まった。
人間にはなぜ休みが必要なのか。これも今年は「賢さ」を回復する
時間であるように思われる。

新緑の山や森を歩き、小川のせせらぎを聞く。
どっぷりと温泉につかり、速く、速くの日常をふりかえる。
効率の束縛をはなれ、あてもなく人生の価値を考える。

かつて夏目漱石は「文明開化とはなんぞや」と問われて
「人間が怠けることを奨励することだ」と答えている。

たらいでの手洗いを怠けるために洗濯機が発明され、
歩くことを怠けるために自転車や自動車が生まれた。
効率によって支えられている生産活動の究極の目的は、
実はもっとも非効率的な「怠け」を実現するためのものであると
いう視点がおもしろい。

漱石流にいえば、休みとは労働を怠けることだ。
旧世代の私にはいまだに後ろめたさを引きずった言葉である。

だが、非効率であてのない時間は、昔の賢人のように、
深い思考と感性を育(はぐく)む母でもある。
私も二、三日は、ボケーッと賢く考えてみるか。
 


ひょっとしたら、夏目漱石は1000円札になって、
我々の身近で『怠けるな』と教えてくれているのかもしれないですね。
1000円札を手にする時も、手放す時も、
ありがたいという感謝の気持ちが持てるような気がしてきましたよ。


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★コメント (6)

・あいすの感想ありがとございます◎ ダイエット中なのですね、、
 りんごも気持ちはダイエッターですがあいすは特例なのれす、、
 がんばってください~ 日本て急ぎすぎな国だな~と改めて
 思いました。時間を無駄にしまいという現れなのかも
 しれないけど。 日本の電車はは1分で遅れになるけど、
 アメリカやイギリス、他多くの国は5,6分から遅れに
 なることからもそう思います。
2005/5/7(土)  りんご

・ほんとうにそうですね。今回の大事故で日本が時間に
 厳しすぎるという実情を知りました。
 イギリスは日本の鉄道をお手本にしていただけに、
 大ニュースとして取り上げたそうですね。
 人の命をいちばんに考えることが、大前提ですよね。
 命は取り戻せませんから。
2005/5/7(土)  未歩

・「夏目漱石は1000円札になって、我々の身近で
 『怠けるな』と教えてくれている」って、面白い表現ですねっ!
 でもきっとそのように我々に問いかけているものと思いたいです。
2005/5/11(水)  EVO

・EVOさんたくさん、たくさんコメントありがとうございます。
 感想をいただけることが何よりも大きなエネルギーになります。
 本当にありがたいことです。
 これからも、叱咤激励ヨロシクお願いします。
2005/5/11(水)  未歩

・漱石はイギリスに留学し、文明開化の将来について見抜いて
 しまったのかもしれませんね。
2005/5/16(月)  うさ太郎

・うさ太郎さん、ブログを読んで下さってありがとうございました。
 そうですか。イギリスに留学していたんですね。
 豊富な体験から文明開化を見抜いていたんだと、私も思います。
 さすが大物ですね。
2005/5/16(月)   未歩











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1 コメント

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Unknown (ヒロ斎藤)
2005-05-21 15:35:28
こんにちは。記事楽しく読ませて頂きました。私のブログでも夏目漱石を取り上げていますので、是非、覗いて見て下さい。
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