損な人、というのはどこにでも居るものです。
一生懸命やっているのに、自己アピールが不得意であるためなかなか認めてもらえない人。しっかりと仕事をしているのに、成果がわかりやすい形で出てこないので評価されにくい人。
将棋界でいえば、丸山九段はそういった『損な人』の一人、言うなれば『損な棋士』といっていいのではないかと思います。
今年の竜王戦で特に顕著でしたが、丸山九段の求心力の無さというのはその実力を鑑みればすこし異常なレベルです。渡辺竜王も竜王を獲ったばかりの頃はかなり不人気でしたが、良くも悪くも注目は集めていました。対して丸山九段に関してはほとんど黙殺に近い扱いのような気がします(ネットの全てを追えているわけではないので、もしかしたら私が見逃しているだけかもしれませんが)。
その理由の一端は、おそらく戦型選択にあるのでしょう。後手番では一手損角換わりばかり指しておられますし、同じ角換わりでも独創的な山崎七段と違って、マイナーチェンジを繰り返すスタイルである丸山九段はいかにも地味です。また、メディアで自己主張をしないので、どんな人柄なのかファンに伝わりづらいというのも大きいかもしれません。将棋というのは、棋士の経歴や言動を知ることによって面白さが倍加するものですからね。
実際、誰を応援するかというのは応援する側の勝手です。こんなことを書いている私も竜王戦では渡辺竜王を応援しましたし(渡辺ファンだもの!)、まあそんなものだろうな、という気持ちです。
ただ、丸山九段の試行錯誤を自分は少しでも正当に評価できているのだろうかと考えるとき、やっぱり丸山さんは損な棋士だなあと、しみじみ思うのです。
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