世界の移民政策、移住労働と日本

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1000万人受け入れ提言…自民議連案

2008年06月09日 | 日本の移民政策
移民、1000万人受け入れ提言…自民議連案(読売新聞) - goo ニュース

この記事はだいぶ前に日経でリークされていましたね。1000万人とは、どういう基準で算出されているのか気になります。

外国人の受け入れには一定の雛形があります。1)永住移民受け入れがメインの移民国家モデル(アメリカ、カナダなど)、2)短期契約のみの外国人労働者を受け入れモデル(主に中東諸国)、そしてその間をとったような3)短期滞在(おもに単純労働者)と永住(高度技術労働者)と両方を組み込んだモデル(アジア諸国)など。

個人的に集めた情報に基づくので確かではないのですが、今回の自民党移民推進案はどちらかといえば1)をモデルにしているのではと見ています。日本語を勉強し、日本の文化を尊重し、日本人のように定住してくれるような移民を求めているのではないだろうか。それは確かに日本の文化にあった受け入れモデルだと思います。他の民族と比べてもおだやかで控えめで、相手に気を使う日本人はどちらかといえば外国人のマナー違反にもうまく対処できず、だからといって抗議するでもなく、フラストレーションがたまってしまう姿が容易に想像できます。だからこそ、日本の言語、文化を尊重してくれる人を受け入れる、それは非常に理にかなったシステムであると思います。

ただ、実際にほんとうにそのような移民が来るか、そしてそのような受け入れモデルが継続するかという点で疑問が残ります。確かに日本が大好きで定住する外国人もいるでしょうが(日本留学組を含む)、それはほんとうに少数でしょう。実際に外国から来る労働者はもっとハングリーで、いくら稼いでやろうかということで頭がいっぱいな途上国からの人が大半であるとおもいます。彼らは在留資格や国籍取得のために必要であれば言葉は覚えますが、自国の文化や宗教を保持し、自らのコミュニティーを日本の中で形成していくような気もします。とくに日本に永住すると決めるのであれば、そういう形で「共生」していくことが予想されます。アメリカのようなメルティングポットに日本がなりかわることは近い将来では少なくともありえないでしょう。あくまでサラダボールなのです。

これは欧米諸国の経験から明らかですが、いったん永住権・定住資格を取れば移民は家族呼び寄せを確実にはじめます。婚約者、兄弟、両親、いろいろな人を日本に呼び寄せしてくるでしょう。これによって移民の人口が爆発的に増えていきます。家族呼び寄せは人道的な観点からなされるため、呼び寄せられる人に言語用件や資格要件があてはまりません。この措置によって小学校を卒業していないような移民が日本に大量にやってくる可能性も十分あります。

途上国は多少の程度の差があるものの、日本に比べれば遥かにアナーキーなところです。汚職が蔓延し、法律が往々にして通用しない世界です。こういう感覚が日本に持ち込まれることは治安の維持の観点からも回避しなければいけません。これは決して差別的な意味で言っているのではありません。私自身最貧国を含む途上国ですでに6年以上生活しており、その中で自らもアナーキーな文化で生きるすべを身につけなければならなかった過程をへた上でいっているのです。法律を守るという私たちには非常に基本的なことも、途上国では徹底が難しいのです。そういう「感覚」が途上国では希薄なのです。ですから厳格に法律や社会のルールを守るということ事態が外国人労働者にとっては非常にあたらしいコンセプトである可能性が大なのです。また、日本のように成文化されていない社会的ルールが多い国ではとくに問題です。

日本がどのような受け入れモデルを取り入れていくのか更に興味があるところ。ヨーロッパで現在推奨されている還流型移住(circular migration) のコンセプトも日本でも検討する余地があるともおもいます。これから更に日本の移民政策の議論が活発化しそうですね。これからの議論を注意深く見守っていきたいです。









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