世界の移民政策、移住労働と日本

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ルポ 差別と貧困の外国人労働者

2011年09月27日 | 日本の移民政策
ルポ 差別と貧困の外国人労働者 (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社



10年越しの不況や昨今の経済危機が日本で働く研修生、日系人労働者やとその家族にどのような影響をおよぼしたのか、労働者と雇用者また派遣業者などへのさまざまなインタビューを行い、検証している。

タイトル通り、「差別」という視点から外国人労働者のおかれる不安定な雇用状況とそれを「濫用」する雇用者の社会的責任を問う本だ。

実際に労働者の送り出し国で長く生活してきた私自身の感覚からすると、母国よりずっと待遇のよい外国で、平均賃金以下の仕事でも構わないという労働者は山といる。そして、そういう労働者を助けつつ、しかし搾取しつつ出稼ぎ国へ送り出す斡旋業者。そしてそれを求める雇用者。この現状を労働者への「差別」を認識するのと同様に、実際に「需給の一致」が起きているともとらえられる。

外国人労働者への差別は、さまざまな理由から、なかなか減らない。差別撤廃という視点に加えて、外国人労働者市場が構造的に抱える問題にむきあう必要があるだろう。海外就労に対する正しい情報が労働者に伝わらない、外国人労働者への最適賃金適用が徹底されていない、斡旋業が自由化されておらず有力者の資金源となっていること、などがその一例だ。これらの問題が少しでもなくなれば、差別的待遇が軽減されるのではないだろうか。


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