世界の移民政策、移住労働と日本

日本型移民政策とは何か?世界の移民政策に関するニュース、エッセイ、本の紹介など

アジアにおける海外就労・海外出稼ぎ関連の統計の入手法

2008年05月28日 | 移民に関する統計・データ
データのない研究なんてありえません。移民研究もデータ収集が鍵です。欧米のそれとちがってアジアの移民研究で問題なのは、移民データ、海外就労データがとりにくいところ。日本や香港などの国のはかなり細かいデータまで公開していますが、そうでない国も多いのです。それでもこの10年ほどでだいぶデータの質も量もだんぜんよくなってきたという実感があります。

仕事上、よくメディアから移民統計の照会があります。たとえば先週、アメリカの雑誌TIMESの記者さんから「中東で働く南アジア人労働者の数を教えてください」という問いあわせを受けました。おおよその数字は推定で出せますが実際の統計はありません。なぜなら1)出稼ぎの者の出国データ(フロー)はあっても、人口(ストック)がないこと、2)南アジアの最大国であるインドは出国データが部分的にしか出せないこと、3)中東諸国は人口の7-8割を閉めるであろう外国人労働者数が明らかになるようなデータを詳細には出したがらないのです。

政府の統計や推測のデータはどこで探すか、それを自分なりに見つけ出すには時間がかかりました。そのノウハウをちょっとブログで公開したいと思います。情報は金だから公開しない、とい選択もできるのですが、みなさんが研究にあてがう貴重な時間をデータ探しに使うのはもったいないと思うのです。この分野で研究される方、興味のある方にはもっとデータの解読・理解に時間を費やしていただきたいと切におもうのです。

1.海外出稼ぎ者の出国統計については、アジア11カ国の労働・海外雇用省間で作る政策フォーラムであるコロンボプロセスのウエブサイトの各国情報のページがまとまった情報を取りやすいとおもいます。見たい国の旗をクリックすると資料がでてきます。資料をみながら掲載されているウェブサイトなどたどれば大体の統計はとれます。この資料は各国政府によって作成されており、信頼性があります。

2.一番新鮮な出国データはやはり各労働省または海外雇用省のウエブサイト。フィリピンPOEAなどのサイトはかなり充実しています。ただ、現在海外雇用関連の省庁の再編がアジア各国で起きており(中国、スリランカなど)、実際の担当省がわかりにくいかもしれません。古い省庁のウエブサイトもまだ残っていたりして混乱します。それを調べるには、やはり上のコロンボプロセスのサイトを参照してください。

3.JIL(日本労働政策研究・研修機構)とOECDの主催で毎年行われていたWorkshop on International Migration and Labour Market シリーズのウェブサイト。2006年2007年版はこちら。このサイトからは受入国(日本、韓国、香港)などの外国人住民のデータもとれます。外国人人口の統計の公開に慎重なマレーシアやシンガポールのデータもとれて非常に便利です。ただ、2007年のワークショップタイトルからアジアが消え、アジアの出稼ぎ労働者送り出し国の専門家が招かれなくなった関係で、関連統計がでていないのが心配。もうなくなってしまうのでしょうか。

4.国連の人口部も世界の移民の統計をだしていますが、これは大まかな数字を出すには便利ですが、あまり詳しい意状況はわかりません。また移民の定義が各国によって違うことから出された数字の歴史的・社会的背景がわからない状態でこの数字を使うのはすこしためらわれます。

5.OECD各国に在住する外国人住民にかんするデータは、OECDデータベースが便利でしょう。無料と有料データがあります。

ではgood luck with your research。ほかにもよいサイトがありましたらコメントをいただければうれしいです。





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