【ワシントン=柿内公輔】米連邦準備制度理事会(FRB)が量的金融緩和の縮小を見送ったのは、景気回復が緩やかで、なお金融緩和による下支えが必要と判断したためだ。
ただ、緩和縮小を見込んだ市場には混乱が広がり、金融政策を正常化する「出口」も再び遠のいた格好となった。
連邦公開市場委員会(FOMC)で反対票を投じたのは、10人のメンバー中、カンザスシティー連銀
ネイル 大阪のジョージ総裁1人。
市場が思っていた以上に、FRB内の景気への見方が慎重であることをうかがわせる。
バーナンキ議長も記者会見で、「『用心』のため」緩和縮小を先送りしたと強調。
失業率は、見かけは下落基調だが、求職を断念した人が増えるなど雇用の実態は力強さを欠いている。
ただ、FRBも量的緩和第3弾を導入した1年前から経済は改善したと認め、緩和縮小を織り込んでいた市場は「驚き」(米メディア)を隠せない。
議長は住宅ローン金利の上昇もリスクに挙げたが、それも緩和縮小を見込んだ動きだ。
回復が続けば年内に緩和縮小を行うとしていた議長は、資産購入のペースは「決められた軌道にない」とした。
ウォール街は縮小の先送りを歓迎するが、FRBの金融緩和縮小をめぐる逡巡が市場に疑心暗鬼を生まない保証はない。
関連ニュース
・
「米FRBが量的緩和の縮小見送り 年内実施は改めて表明」:イザ!
・
「米FOMC、量的緩和を討議 市場関心は縮小規模」:イザ!
・
「米FOMC、量的緩和を討議 市場関心は縮小規模」:イザ!