夕暮菜日記

私的日記、教育、社会、音楽、等々について

老齢加算廃止は違法という判決

2010年06月15日 04時47分52秒 | 社会
子どもとお年寄を大切にしない国は滅びる、と私は考えている。
すべての子どもに十二分な(十分ではなく)教育を与え、長生きしたくなる、長生きすると得をするような社会を、政府は目指すべき、というのが私の考えだ。
ところが小泉売国政権は、アメリカ殺人部隊には多額の思いやりを示す一方、お年寄りに支給されていた老齢加算を廃止した。
(小泉純一郎って、ホント鬼畜だね!)
それに対し、北九州市に住むお年寄りが市に減額処分の取り消しを求める裁判を起こしていた。
人生の終盤に、自分の故郷を訴えなければならない方々のお気持ちを思うと、悲しくなる。
同時に、この訴訟が、次の世代を思いやってのものであることは明白であって、原告の勇気と行動力に感謝と敬意を表したい。
で、昨日その判決があった。

以下、判決を報じる毎日jp(2010_06_14)より転載。

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活保護:老齢加算廃止は違法 福岡高裁
 北九州市に住む74~92歳の男女39人が、生活保護の老齢加算の減額や廃止処分について「憲法が保障する生存権を侵害する」として、市に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が14日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は「国は十分に検討せずに老齢加算廃止を決めており、生活保護法に反し違法」と認定。原告側の請求を棄却した1審・福岡地裁判決を取り消し、39人全員の減額・廃止処分を取り消した。
 同種訴訟は福岡や東京など8地裁に提訴され、1審は▽福岡▽東京▽京都▽広島の4地裁で、2審は東京高裁でいずれも原告側の訴えが退けられていた。原告の請求が認められたのは初めて。
 古賀裁判長は、国による減額・廃止の決定について、厚生労働省の専門委員会で指摘された高齢者の社会生活に必要な費用や激変緩和措置が「十分検討されていない」と指摘。保護基準の改定を「社会通念に照らし著しく妥当性を欠き、裁量権の逸脱または乱用に当たる」と指弾した。憲法判断には触れなかった。
 39人は国の事務を委任された北九州市から減額や廃止の処分を受け06~07年に提訴。1審で原告側は、老齢加算について「支給でかろうじて命をつなぐことができた」と主張。食費や入浴回数を減らさざるを得ない窮状を訴えた。一方、市側は「パチンコをしている人もいる」などと処分の適法性を主張していた。
 09年6月の1審・福岡地裁判決は「憲法が保障する生活水準を下回っているとは言えない」として原告側の訴えを退けた。【岸達也】
 ◇長妻厚労相「慎重に助言」
 14日の福岡高裁判決について、長妻昭厚生労働相は「この裁判は地裁でも、(東京)高裁でも自治体側が勝訴しており、今回初めてこうした判決となった。地裁、高裁と判断がばらけているので、議論して慎重に(被告である北九州市に対する)助言を検討したい」としている。
 【ことば】老齢加算 加齢に伴い消化の良い食事や冠婚葬祭費がかさむようになるとの特別な配慮から、生活保護を受けている70歳以上に、60年から上乗せして支給されていた。最高で月に約1万8000円が支給され、対象者は05年度で約30万人。しかし、「小泉改革」で03年末に廃止が決定。04年度から段階的な減額が始まり、06年3月末に全廃された。
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被告である北九州市側の、『パチンコをしている人もいる』という減額の適法性についての主張が興味深い。
年寄全員がパチンコをしているとは思えないし、支給した後、そのお金をどのように使うかは、各自の自由であって、たかが公僕が口を出すべきではないのである。
いったい、何様のつもりなのだろうか?
さすがは、生活保護を打ち切ったり、申請を門前払いして、多くの者を餓死に至らしめている北九州市だ。
ちなみに小泉政権下では、北九州市は厚労省から生活保護のモデルケースと言われていた。
(第一さ、長生きした年寄にさ、パチンコくらいさせてやれよ。。。。ムダなダムを造る金はあるんだからさ。)

しかし、今回の古賀寛裁判長の判決は立派だった。
上の報道にはないが、判決は、加算の廃止が、厚労省専門委員のとりまとめのわずか4日後であり、決定が拙速であったことも指摘し、『考慮すべき事項を十分考慮しておらず、裁量権の逸脱または濫用として、(生活保護法56条にいう)正当な理由のない不利益変更にあたる』としている。

さてさて、この判決を、私の大好きな産經新聞も報じている。
産經新聞、突っ込みやすくて、ホント好きよ。
以下、産経ニュース(2010_06_15)より転載。

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「生活保護費で足りるはず」老齢加算判断、他訴訟に影響も
2010.6.15 00:20
 老齢加算廃止が生活保護法に違反するとの初判断を下した14日の福岡高裁判決は、各地で係争中の同種訴訟にも影響を及ぼす可能性が出てきた。
 老齢加算は、高齢になると消化吸収のよい食品のための食費や暖房費、孤独を防ぐための交際費、墓参り代など支出が膨らむとの特別な配慮から、70歳以上の生活保護受給者を対象に、昭和35年にスタートした。平成15年度の加算基準では、住む地域により月額1万5430円~1万7930円が、7万7210円の生活保護費に上乗せして支給されていた。
 しかし、15年に厚生労働省の専門家による委員会が70歳以上と60代の消費支出額を調査した結果、70歳以上の方が支出が少なかったことが判明。厚労省が16~18年度にかけて段階的に加算を廃止した経緯がある。15年度の対象者は29万人。
 裁判は国の方針に反対する高齢者が制度廃止は「違法」として全国8地裁に提訴したが、東京、京都、広島、福岡の4地裁で原告側の敗訴判決が出ている。5月27日の東京高裁判決も「社会情勢の変化や財政状況から、廃止はやむを得ない選択だった」と原告側の訴えを退けたが、14日の福岡高裁判決は生活保護法56条が禁ずる「正当な理由のない保護基準の不利益変更」に当たると判断した。
 厚労省幹部は「専門家委の調査では生活保護を受けていない70歳以上の人でも支出は約6万5千円だった。生活保護費だけでその額を上回るのに…」と困惑した様子だった。
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加算廃止決定が『考慮すべき事項を十分考慮して』いないことなど、まったく触れず、厚労省幹部とやらの言い分を、そのまま垂れ流している。
『70歳以上の人でも支出は約6万5千円だった』だって?
苦労してきたお年寄りに、税金で、ほんのちょっとの贅沢くらい、させようという気はないのかね?
厚労省の『専門家』というのは、きっとイジメの専門家なのだろう。
年寄イジメの肩を持つ産経に、『愛国心』を口にする資格はない。

北九州市は、年寄イジメを止め、上告すべきでない。


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