ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

活動計画 in ヤップ

2020-10-14 20:56:13 | ヤップ州
2020年8月ヤップ公共事業運輸局に到着したごみ収集車(契約納期は2021年1月)

古紙から作った固形燃料

ガラス瓶粉砕機からの粉砕ガラス(コスラエ)
My Activity Plan in Yap
新型コロナウイルスの為、2020年3月ヤップから日本に緊急一時帰国、ヤップに戻り活動を再開できるのをずっと待っていたが、残念ながら願いもかなわず、私の活動も2020年10月15日で終える。カウンターパート・後継者には引継書を作成したが、廃棄物処理に関するヤップでの私の活動計画を報告する。3月からは日本からのリモート活動となり、世界的経済活動制限・収縮もあり、思った程成果が出なかったのが心残り。
A. 活動計画
A-1. ごみ収集車導入:
ヤップ州都コロニア地区の一部でごみ収集サービスをしている。4トン積みフラットベッドトラックを使用しているので、収集効率・作業環境・衛生状態が非常に悪い。その改善策として、コンパクタートラックを提案した。ごみ収集サービスは、現在コロニア地区だけだが、JICAプロジェクトの一つ、J-PRISM IIの計画で、近隣6村から収集するパイロットプロジェクトがある。将来的にはヤップメイン島からの収集を計画している。その計画達成の為にもコンパクタートラックが必要と考えた。
A-2. 廃車プレス機導入:
ヤップ島は車を輸入している。資料では1994~2010年間に27,387台。そのほとんどが10年程乗られた日本の中古車。当然、島にあちこちに廃車が捨てられている。現状は、数か所に廃車がそのまま山積みにされている、あるいは各自の所有地に朽ち果てている。その為、有価物・有害物を分別し、残存廃車のプレス機を提案した。但し、パラオや台湾の関連業者と接触したが、プレス後の廃車を輸出する目途はまだ立っていない。
A-3. 古紙再生装置:
ヤップは島国で、輸出品は少ないが、生活必需品と輸入貨物が結構多い。梱包には段ボールが多く使われ、事務用紙もかなり目にする。古紙をシュレッダーで細分し、そのまま圧縮して固形燃料化する装置を提案した。ヤップでは、ガスや電気での炊事より、薪を使う家庭がはるかに多い。その燃料にも活用できると考えた。
A-4. ブルドーザー:
ヤップには準好気性の埋立場がある。「草の根」資金で建設し、2014年2月から公共事業運輸局が維持管理している。使用している重機は、エクスカベータ―1台で、更にブルドーザ―があれば、ごみの移動・圧縮に非常に有効に働く。コスラエ州では、ブルドーザーのみで埋立場の維持管理をしていた。
A-5. 覆土:
ヤップ州環境保護局が「草の根」でガラス瓶粉砕機を購入すると、私の赴任直後に聞いたので、その粉砕ガラスを埋立場の覆土に利用することを提案した。2年の任期中にはガラス瓶粉砕機がヤップに到着すると思っていたが、ここはヤップ。
B. 追加活動計画
B-1. ごみ収集車追加2台導入
B-2. ロッククラッシャー導入
B-3. 廃タイヤせん断機導入
B-4. ガギール小学校フェンス設置
C. 検討項目
C-1. ごみ焼却炉
C-2. ごみ計量器
C-3. 新埋立場
C-4. ごみ搬入データ管理
C-5. 廃油処理装置
C-6. エコバッグ製造装置
坂根篤(ノバ)


ヤップの正月

2020-01-11 08:03:30 | ヤップ州

お正月のランチは「ひとり」チキン
ちなみにクリスマスの夜は「ひとり」ビーフステーキ

新年会はお雑煮、ぜんざい、…

Happy New Year
明けましておめでとうございます。早いもので、ヤップで2度目のお正月を迎えた。
1月4日(土)は、帰国中の隊員1名を除く5名でウォーキング、サンセットビーチからドミまで8km&そのあと新年会!
出発してから、娘3人はしゃべり続け、「かしまし娘」状態。おじさん2人はそのおしゃべりを聞きながら、ゆっくりしたペースで歩き続けると、「心臓破りの坂」に到着。「すごい坂だ」とさんざん脅かされていたが、みんなでしゃべりながら歩くと「心臓破りの坂」もいとも簡単に超えられた。その後、あちこち寄り道をしながら、ようやくドミに到着。歩く時間よりも、寄り道の時間の方が長かったかも?
ドミでは帰国中の隊員が送ってくれたクリスマスプレゼント兼お年玉をみんなで分けて、雑煮、善哉、蕎麦で新年会!ようやくヤップにもお正月が来た。
寄り道した一つが「ごみ埋め立て場」。民間委託してから、改善されたことが沢山あったが、今回は「看板」が立てられていた。ごみ搬入者が分かり易いように考えられている。看板の種類は「General Waste(一般ごみ)」「Green Waste(グリーンごみ)」「Construction Waste(建設廃材)」「Metal(金属)」「Rubber & Tire(タイヤ類)」「Electrical Appliances(家電製品)」。
出発点のサンセットビーチ

心臓破りの坂

帰国中の隊員からのお年玉(クリスマスプレゼント?)

埋立場の看板

坂根篤(ノバ)

ヤップの売買契約書

2019-12-14 05:18:01 | ヤップ州
ヤップ州議会場(前には日本庭園)


ヤップ州議会場横の鳥居(日本統治時代の名残)

Compactor Truck Purchase and Service Agreement
在ミクロネシア日本大使館の「草の根人間の安全保障無償資金協力」で購入が決まった、ごみ収集コンパクタートラックの売買契約手続きを、今後同様の活動をする人の為に述べておきたい。

先ずは契約書の作成。ヤップ州公共事業局のカウンターパートが当然作るべきであろうが、日本業者との契約条件を一から説明し、契約書に落とし込むのが難いのと時間節約の為、私がした。今後はカウンターパートに頼む予定。ヤップ州の他プロジェクト売買契約を基に、契約金額、支払条件、納期、引渡条件、現地トレーニング条項、等を変更。ヤップ州独特条件として、入札放棄、輸入関税の取り扱いがあり、一般条項(契約準拠法、紛争解決、等々)を修正し作成、日本業者と交渉・打合せし、8月末完成。

2019年5月20日に「草の根」申請、8月26日に大使館承認、9月25日に大使館・ヤップ州調印。調印日に本契約書を法務局に提出したので、9月中or遅くとも10月初めには契約サインが終わると思っていた。しかし、契約完了は12月10日!契約締結まで2か月以上要した経緯は:

ヤップ州側必要サインは3名、法務局長(10月14日他界)、財務局長、発注元の公共事業局長。法務局長のサインは10月2日。従来はその後すぐに財務局長のサインがもらえたが、なぜか今回は議会承認が必要と急遽なった。理由は不明。新しい法律ができたのか?従来の法律解釈が変わったのか?10月7日に法務局長に法律相談、結果該当法律は無いようだったが…。しかし予算計画室が議会承認必要と主張。議会承認の為、10月23日公聴会、法律顧問の質問「なぜ公開入札を行わないのか?」「環境破壊が起こったら誰が責任を取るのか?」…議員がそれなりに回答し、公聴会も無事終了。私の一時帰国出発日(10月27日)までには財務局長のサインがもらえると思ったが…私が日本からヤップに戻った11月27日でもまだダメ。日本から数度督促のメールを入れたのだが…。理由を聞くと、他界された法務局長に代わる新法務局長のサインを待っている、新法務局長には膨大な決算書類が溜まっているとのこと。前の法務局長に既にサインは貰っているので直ぐに財務局長のサインを貰うようプッシュ!プッシュ&プッシュでようやく11月29日夕方遅く、財務局長のサインが貰えた。公共事業局長のサインは直ぐに貰えると思ったが、11月28日付で突然辞任。12月2日付で就任した局長代行のサインを貰う。

次に起こった問題は、契約発効日。原稿は契約日を後から記入できるようブランク、納期を契約後13か月としていた。しかし、法務局長が我々と打ち合わせした10月7日を契約日、翌年の12月7日を納期と書き込んでいた。多分、はっきりした日にちを決めておきたかったのと、従来であれば数日以内に財務局長のサインが貰えていたからであろうが…。契約日、納期の変更が必要。公共事業局長の訂正サインが12月3日、即日本業者にPDFで送付。条件は事前に詰めておいたので、直ぐに日本側サインがもらえると思ったが、意外に時間がかかり、サイン済契約書がこちらに届いたのが1週間後の12月10日。

私が何故こんなに急いで契約をしようとしているのか?ヤップの人達には理解できないらしい。不思議そうな顔で様子を見ている。何故こんなにプッシュされているのか?訳が分からないようだ。理由の一つは、見積もり有効期限が切れて、値上げ要求があること。今回はなんとか頼み込んで元の値段で契約できたが、前述の医療廃棄物焼却炉は米国メーカーの値上げ要求に応じている。コスラエ時代も値上げ要求は必ずといって良いほどあった。そこをなんとか頼み込むのが交渉なのだが、あまりに契約が遅いと難しい。理由の二つ目が納期。通常納期の起算日は契約締結日。契約が遅くなると納期も遅くなる。活動任期2年なのに、この調子でプロジェクトが進むと、とても納入が間に合わない。ごみ収集車の契約納期は2021年1月、私の任期は2020年10月。

坂根篤(ノバ)

ヤップの医療廃棄物焼却炉

2019-10-26 13:13:09 | ヤップ州
Medical Waste Incinerator
2019年9月27日、ヤップ州立病院で、医療廃棄物焼却炉の引き渡し式が行われた。資金は、在ミクロネシア日本大使館の「草の根人間の安全保障無償資金協力」。病院メンテナンス部オウガスティーノさんの名司会で、ドミニク・ヤップ州立病院副院長・杉山臨時代理大使のスピーチ、リボンカット、引き渡し、集合写真…和やかに進行。シンプルだけれど心のこもった、とっても良いセレモニーだった。
この焼却炉の資金は、私のヤップ赴任(2018年10月)前に「草の根」が既に決定していた。焼却炉の他にガラス瓶粉砕機も「草の根」で決定していた。私のコスラエ時代の11活動の内一つが医療廃棄物焼却炉で2014年3月に「草の根」で納入。もう一つがガラス瓶粉砕機で2014年1月にオーストラリアODAで納入。私のコスラエ時代の二つの活動をそのままコピーされたようで、少々複雑な心境。ガラス瓶粉砕機はコスラエの時と同じ米国メーカー、同じ機種とのこと。焼却炉は、コスラエは日本製を採用したが、ヤップは既設と同じ米国メーカーにしたとのこと。他州が「あのプロジェクトは良いね、我州でも導入しよう」と思われる活動をこれからもしていきたいと思う。
坂根篤(ノバ)
取り換え前の古い焼却炉


新しい焼却炉とシニア海外ボランティアの北村さん


名司会者オウガスティーノさん

リボンカット


引き渡し無事完了

坂根篤(ノバ)

ヤップの殺人事件

2019-10-19 06:31:06 | ヤップ州


ヤップに来て早1年。平和でのんびりした島だな~犯罪とは無縁の世界だと思っていた。しかし、殺人事件が起った:
2019年10月14日(月)午後7時頃、日課のジョギングから自宅に帰ってきたアメリカ人女性、ヤップ州法務局長代行のRachelle Bergeronさんが銃撃された。自宅で銃声を聞いた夫がすぐに病院に運んだが、病院で死亡が確認された。夫は犯人を見ていないとのこと。犯人はまだ逮捕されていない。ヤップ州は、ミクロネシア司法省、米国FBIの協力を得ながら捜査を続けている。
現場がJICAヤップ・ドミから200m程の距離で、近くに住む隊員とドミに居た隊員は銃声を聞いたそうだ。ミクロネシアでは、警察が許可すれば一般人でも拳銃を所持出来る(主に狩猟目的)との事。
被害者の女性は2015年からヤップ州で働いており、事件の1週間前、10月7日(月)午前中、JICAのJ-PRISM専門家・公共事業局副局長・私の3人が、彼女・業務サービス室長の2人に法律相談。そのときの印象は、若くて綺麗で頭の良い白人の女性。相談結果、J-PRISMで進めているパイロットプロジェクトに必要な法律を、彼女が早急に作ることになったのだが・・・また、ごみ収集車の売買契約のチェックと彼女の署名、契約手続きに関するヤップ州内法律の確認。あれやあこれやで約2時間がアッと過ぎたのを思い出す。
Rachelle Bergeronさんのご冥福を心よりお祈りします。
坂根篤(ノバ)