歯歯歯日記

歯科医院の仕事の傍ら、感動した・印象に残った出来事、歯の知識そしてワンちゃんのことなどそこはかとなく書き綴っています

歯がなくなる前に(2)

2009年07月21日 | 歯歯歯豆知識

歯を失う原因のひとつに歯周病があります。
歯周病の進行で怖いのは本人がほとんど気づかないことです。

歯垢の除去をせずに放置すると、歯茎に炎症がおこります。
ご存知のように、歯垢は細菌の塊ですから、歯肉炎を発症し、さらに石灰化して歯石ができます。こうなると堅く石のようになった歯石を、自分で除去するのは困難になります。
歯石が大きくなると共に炎症が歯槽骨の吸収に進んで行きます(歯周炎の発症)。進行すると歯周ポケットができてしまい、この深部には酸素を必要としない嫌気性菌という毒性の強い菌が棲むようになります。この菌のおかげで更なる歯槽骨の吸収が進むという悪循環に陥ってしまいます。

近年、細菌の歯周ポケットの中から細菌を採取しその DNA を増幅する PCR 法という検査ができるようになりました。
これは歯周ポケット内の細菌の種類と量を調べることができます。
特に重度の歯周病の方、また年齢が若い方の歯周ポケットからは病原性の強い細菌が見つけられることがあり、このタイプの患者さんの歯周病の原因となっていると考えられています。このような場合、強い病原菌を確実に排除することが重要です。

その他、細菌に加えてさまざまな生活習慣病的要因があります。


☆喫煙

タバコを吸っていると局所の血の巡りが悪くなります。歯肉全体にも栄養が十分にいきわたらなくなり、細胞の自己修復機能が狂いはじめます。
体はもちろん、口腔内の免疫系に影響を及ぼします。
また喫煙期間が長くなると、色も自然なピンクから黒っぽく変わってくるため、炎症がおこっているにもかかわらず気づくのが遅れがちです。
また、歯周炎をおこしてからも回復時間が大幅に長く掛かります。

☆糖尿病

糖尿病は心臓、目などいろいろな箇所に合併症を起こすことが知られています。
また細菌感染しやすくなるため歯周病も進行しやすくなります。血糖値や糖化へモグロビン値の高い方は要注意です。

☆過度のストレス

現代人とは切っても切れないストレス。過度のストレスは免疫機能の低下をもたらし、歯周病の進行を促進させることが報告されています。

☆歯ぎしり、くいしばり

現代人に、まったく食いしばりも歯軋りもないという人は、いないと言われています。睡眠時の歯ぎしりやくいしばりは歯周組織に過度の力を与え歯周病の進行を促進させることがあります。

☆その他

骨粗しょう症 ・遺伝的素因も考えられます。
両親、兄弟に歯周病のある方、具体的には両親が早くから歯を失った、また兄弟に歯周病を患ってる人がいる方は要注意です。また10代、20代なのにたびたび歯茎がはれるという方も要注意です。

歯周病は、虫歯同様自然治癒がありません。
定期的に検診を受け、プロの手で歯石、病原菌を除去していただきましょう。
入れ歯のお世話になる前に。
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