わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

世界へ笑いを=松井宏員

2008-03-17 | Weblog

 大阪の落語家らが6月末からブラジルを訪問する。移民100年に合わせて、日系人を慰労するためだ。NPO法人「国境なき芸能団」がボランティアで企画した。代表は落語家の笑福亭鶴笑さん(47)。ロンドンなどに計8年滞在し、アパルトヘイト撤廃後の南アフリカのエイズの子どもたちや、トルコ大地震の被災者らを笑いで励ましてきた経験から、「笑いに国境はない」と一昨年設立した。

 鶴笑さんには、ブラジル訪問のもう一つの目的がある。世界で60人に1人といわれるストリートチルドレン。飢餓や戦争、性的被害におびえる子どもたちに思いをはせようと、「ストリートチルドレンカレンダー」が日本で作られている。世界の子どもたちが希望を託して描いた絵を収めており、今年のカレンダーにはブラジルの11歳の少女シウバちゃんの絵が入っている。選者としてこの絵を選んだ鶴笑さんは、物ごいをしないで済むよう、彼女に何か芸を教えたいのだ。

 ワールドワイドな活動を展開する芸能団の事務局は、大阪・十三の古ぼけた民家にある。社会派の創作落語を全国に出前する「笑工房(しょうこうぼう)」の事務所で、社長の小林康二さん(68)が鶴笑さんに賛同し、事務局長を務めるからだ。

 4~6月、ブラジルの渡航費に充てるため、天満天神繁昌亭で笑工房の「旬作落語会」が開かれる。憲法漫談に学級崩壊や振り込め詐欺防止落語など、ここでしか聴けない旬の落語が目白押し。ぜひお運びを。街の片隅で生まれた文化を育てていくのは市民なのです。問い合わせは笑工房(06・6308・1780)へ。(社会部)



毎日新聞 2008年3月9日 大阪朝刊


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