わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

政権担当能力=与良正男

2009-06-18 | Weblog





 政権交代が現実味を帯びて語られ始めたからだろう。「で、民主党には政権担当能力があると思うか」と質問を受ける機会が増えた。私はこう答えるようにしている。

 「結局は、やってみないことには分からない」

 無責任に聞こえるかもしれないが、実際、未知数なのだから、それが一番誠実な答え方だと思う。ブラックボックスのような予算書などを分析し、無駄遣いをあぶり出す力は今の与党議員より数段上だと考えるが、それだけで政権を担えるわけではない。不安は多々ある。

 ただし、この議論をする際には同時に「では今の自民党に政権担当能力があるのか」と問い直すことも必要だ。

 首相が簡単に政権を投げ出して、ころころ代わる。麻生太郎首相で次の衆院選を戦うかどうか、党内では再び「麻生降ろし」が真顔で語られている。しかも、国民のためでなく自分の選挙のためだ。

 鳩山邦夫前総務相の辞任に至った西川善文日本郵政社長の進退問題は首相の決断力と統治能力の欠如をさらけ出した。消費税率をどうする、社会保障費はどうするという問題では、個々の議員が好き勝手に発言し、もはや学級崩壊のような様相である。

 それでもこれまでの実績を重んじるか。未知数だけれど「一度、政権を交代させてみよう」と考えるか。次の総選挙はそんな選択となる。もちろん、自民、民主以外の他党が増えた方がいいという人もいるだろう。

 私たち有権者は、もう「政治家にお任せ」ではいられない。責任はより重大。というより、政治の行く道を自分たちが決するのだから「こんなにワクワクする話はない」と考えることにしましょう。(論説室)




毎日新聞 2009年6月18日 0時21分(最終更新 6月18日 0時37分)


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