わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

英国で老いる日本人=町田幸彦

2008-03-17 | Weblog

 時折、英国で余生を送る日本人の方々にお会いすることがある。留学や仕事で英国に来て、そのまま生活の基盤がこの国にできた人たちだ。そして老いの現実も異郷でやってくる。

 1979年からロンドンで暮らす映画プロデューサー、吉崎道代さん(58)は昨年、在英高齢日本人支援組織を発足させた。団体名は、JCE(Japan Care for the Elderly)。現在、地元の老人ホームにいるか1人暮らしのお年寄りの日本人に和食弁当を持って訪れたり、1カ月ごとに日本語で気楽に話し合える小集会を開いている。

 「英国生活が長くても、英語を忘れていく人がいる。地元施設の中でなじもうとしてもままならない場合がある」。吉崎さんは、英国生活を続けながら健康問題だけでなく孤独感にさいなまれる日本人を癒やす場をつくろうとしている。JCE委員会のメンバー7人が中心になって日本人学生らボランティアの協力の輪を広げてきた。将来の目標は寄付金を集め、在英日本人のケアホーム(介護施設)を設立することだ。

 在英日本人は6万人に達した(在英日本大使館調べ)。そのうち約1万人が50歳以上とみられる。この地で英国籍を取得して暮らし続ける人もいる。

 かつては海外生活を夢見て渡航した若者たちが老齢を迎えるようになった。彼らに日本人の気分のままでくつろげる「終(つい)のすみか」があってもいい。

 JCEの問い合わせ先は、japancarefortheelderly@googlemail.com(欧州総局)




毎日新聞 2008年3月17日 東京朝刊


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