secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

エクスペンダブルズ2

2012-10-30 23:09:54 | 映画(あ)
評価点:75点/2012年/アメリカ/102分

監督:サイモン・ウェスト

正義のスプラッターものとして新境地を開拓しつつある。

地球の某所、内戦地域。
反抗軍から中国の富豪を助けるために、エクスペンダブルスのメンバーはど派手に敵地に乗り込む。
そこで拷問されていたのはバーニー(シルベスター・スタローン)のトレンチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)だった。
救出したのは良かったが、新入りビリーはこの仕事に対して疑問を感じていた。
前作で島ごとぶっ潰したことを根に持っていたチャーチ(ブルース・ウィリス)は、中国の山間部で墜落した飛行機の積荷を回収する任務を命令する。
しぶしぶ向かうことにしたバーニー一味は、そこでサングという武装集団に襲われてしまう。

きた、きました、ついにきました、「エクスペンダブルズ」の続編が。
これだけの豪華メンバーをそろえたこと自体が奇跡的だと思う人は多いはず。
この映画のターゲットは10代20代ではない。
アクションといえば、この人、という時代を体感してきた世代である。
だから、僕も正直リアルタイムで知っている人ばかりではない。

キャスティングに始まり、キャスティングに終わる。
この映画はそういう映画だ。
大味であろうと、衰退が著しいと感じようと、関係ない。
もうこれは映画館で体験するべき「祭り」である。
有無を言わさず、見に行こう。
それ以外にいうべきことばは見つからない。

▼以下はネタバレあり▼

前作で「おいおい、シュワちゃん出るって一瞬だけやん!」と誰もが突っ込んだはずだ。
そんな批判を受けてか、今回はアクションたっぷりで文字通り共演している。
競演とまではならなかったので、今後の展開次第ではライバルとしてしのぎを削るシークエンスも作られるかもしれない。

アクション、出演者、残虐性、ナンセンスさ、すべてがパワーアップして続編を作る、その意気込みは中途半端ではない。
ジェット・リーはインタビューで「スライ(スタローン)の脚本にはすべて筋肉があるんだ。だから出演したくなるのさ」と語っている。
あ、ちがった、「ハートがある」だった。
どちらでもいい。
とにかく、ハートはあるが、B級映画であることは疑いない。
そのB級映画に、これだけのキャスティングがそろうこと自体が、この映画の価値である。
それはほんとうにすごい。
スタローンの今までのキャリアの素晴らしさと人となりを物語っているだろう。

シュワちゃん、ブルース、スタローンに加えて、今回は伝説の男チャック・ノリスまで加わっている。
どこを切っても有名アクション・スターであり、敵にはあのジャン・クロード・バン・ダムとくれば、アクション映画好きにはたまらない。
彼に漂っているのは、これまでのキャリアを築いてきたオーラだけではない。
哀愁がむんむん漂っているのだ。
だから、おもしろい。

今回のファンサービスも心を捕らえる。
「この銃を返さないと溶鉱炉に沈めるぞ」からはじまり、「戻ってくる」「戻りすぎだ、たまには俺にも戻らせろ」、そして「その顔、ボクシングでも始めれば?」で終幕を迎える。
これまでの映画ファンに対する、最大の感謝の「遊び」がここに含まれている。
僕たち、あるいは僕より古い世代はこの映画をみてどんな感慨にふけるのだろう。
そこには、使われすぎてぼろ雑巾になった「おじいちゃん」のマッスル・アクションスターの姿がある。
観客も同じように年をとった。
過ぎし日々を思い出しながら、ユーモアあふれる彼らの姿を笑いながら、また自分にもその笑いを向けるのだろう。

この映画はそういうメタ・フィクションになっている。
この映画を見ながら、それまで取れて続けてきたアクション映画に思いをはせる。
そして笑いの中に、不条理な脚本の中に、自分自身が歩んできた歴史を刻むのだ。

そしてこの映画は追悼の映画でもある。
ムダに、あ、いや、これまで殺されてきた悪役は五万といる。
残虐に、怒りを駆り立てながら敵をぶっ殺す姿は、もはやホラーとしか言いようがない。
「なぜ生きるべきものが死に、死ぬべきものが生き残るのだ」という台詞には、笑いをこらえても笑いが漏れてしまう。
ハートまでマッスルで多い尽くされているスライだからこそ、考えられる台詞である。

見終わって、「次回策が待ち遠しい」映画はそう多くない。
この映画は、「次はどんな役者が出てくれるのだろう」という期待が膨らむ数少ない映画だ。
次回からは映画の中の敵の犠牲者数を公表するようにしてほしい。
なにやら、ニコラス・ケイジは参加が決定しているらしい。
これは見に行かねば!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アウトレイジ(V) | トップ | アルゴ »

コメントを投稿

映画(あ)」カテゴリの最新記事