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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

LUCY ルーシー(V)

2016-05-21 08:06:05 | 映画(ら)
評価点:36点/2014年/フランス/89分

監督:リュック・ベッソン

なんだこれ、説得力がまるでない。

ルーシーは旅先で出逢った男リチャードと昼夜をともにしていた。
その男からスーツケースをホテルにいる男チャンに渡すように頼まれる。
明らかに安全でないその頼み事を断ると、スーツケースに手錠をかけられて届けるように命令されてしまう。
しぶしぶホテルのロビーに問い合わせると、いきなり男たちがリチャードを殺害する。
動転するルーシーは、そのままチャンの部屋に連れ込まれて、特製の麻薬の運び屋をさせられてしまう。
腹に埋め込まれた麻薬の袋が破裂してしまい、ルーシーは覚醒する……。

リュック・ベッソン監督の、スカーレット・ヨハンソン主演の映画。
これをどんなジャンルかと言われても私には答えられない。
映画館で見ようと思っていたが、(もちろん期待せずに)行かなくてよかった。

結論から言えば、全く見る必要の無い映画だ。
これを見るくらいなら、お気に入りの映画をもう一度見直した方がよほど有益だ。
それでも見たいというなら止めないけれど。

▼以下はネタバレあり▼

なんでしょう。
あんパンを買って食べようと思ってかぶりついたら、中から別のものが出てきた感じだ。
え? パッケージにあんパンって書いてたやん、なんでこれが入ってんの?
という驚きは味わうことができる。
ただし、その味は不味い。

人間の脳は通常10%程しか使用していない。
これを100%使用できるようになったら、どうなるか。
なるほど、非常に興味深い設定だ。
そこに至る経緯はともかくとして、100%使えたら、どうなるのだろう。

その「タラレバ」に全く説得力が無い。
この映画がおもしろくない点はその一点だ。

「言語を習得できる。」
「肉体を改造できる。」
「物を支配できる。」?
「人を支配できる。」?
「人でなくなる。」??

高尚な世界に飛びすぎてついていけない。
それが人間の脳とどのように関係しているのは理解できない。
どれだけ脳が優れていても、襲ってくる敵を空中に浮かせることとどう関係するのか。
電波を検索できる理由がわからない。
人間の知覚能力を超えて、物理的範囲を超えて、相手や物に接触できるようになる蓋然性がつかめない。

だから、後半からもうどうでもよくなる。
スリリングなところがなくなり、何が出てきても驚きません、ただし、感情移入もできませんけどね。となる。

スカーレット・ヨハンソンが出ていることもあり、「her」を思い出した。
あまりにも飛んでしまった人間は、悟りを開いて人間どころかUSBになりました、という結論はいかにも無理がある。
せめて、ジェイソン・ボーンくらいになる程度なら、おもしろかったのに。

やはり科学者がモーガン・フリーマンだけだったということも無茶だった。
もっと名前のない人を科学者にして「客観性」を出せればよかったが、彼では「ウソデスヨ」と宣言しているようなくらいフィクション臭くなる。
物語が恣意的すぎて、ドラマ性がない。

よくこれで企画が通ったな、と思ってしまった。
とにかくこれを見るくらいなら、「マッチ・ポイント」をもう一度見ているほうがよほど楽しいことだろう。


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