外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2018年6月24日のトルコ大統領選

2018-06-24 17:14:13 | 中東ニュース

 

本日6月24日(日)、トルコでは大統領選・総選挙が実施される。

っていうか、もうとっくに投票始まってる・・・もっと前に選挙について書きたかったのに(でも書こうと思いついたのは2、3日前っていうトロさ)、どうしてこんなに時が経つのは早いのか。私がどんくさくて無気力なだけ? 書くといっても、普段さほどトルコニュースをチェックしているわけではないので(アラブニュースで手一杯で)、極めて個人的な素人の感想しか書けないが・・・まあ個人のブログだしいいよね(^-^)

 

今回は憲法改正で大統領の権限が極端に強化された後の初の大統領選ということで注目が集まっているが、私が特に注目しているのは6人の候補者の中のうち現職エルドアン(64、以下敬称略)の対抗馬、最大野党・共和人民党(CHP)のムハッレム・インジェ候補(54)だ。

 

インジェを初めてTRT(トルコ国営テレビ)で見たとき、「な、何この人…CHPったら、こんな隠し球を持ってたの~?」と驚愕した。非常に強気な姿勢でエルドアンの悪口を堂々と言いまくり、滑舌がよくて力強い。そんな印象だった。CHP党首のクルチュダロール氏はインテリでジェントルマンなので、どんな手を使ってでも権力を掌握しようと突き進むエルドアンに太刀打ちできない感じなのだが、インジェならいけるかも!と思わせるものがある。彼の演説をよく聞いたら、言ってることはエルドアンの悪口に加えて経済・教育改革等での大風呂敷を広げる感じの大衆迎合的な内容で、野党批判ばかりやっているエルドアンと大差はないのだが、言い換えればエルドアン並のカリスマがあるということになるだろう。インジェの22日のイズミルでの選挙集会では、およそ250万人が集まったと言われている。これはトルコの政治集会としては、歴史に残る規模だとトルコメディアが書いていた。ツイッターでも、エルドアンのほうが圧倒的にフォロワーが多いが(エルドアン1300万余、インジェ440万余)、インジェのほうが一つ一つのツイートへの「いいね!」の数が多い。世俗主義・中道左派のCHPを支持する世俗派、左派、学生、インテリ層等がツイッターを多用するというのもあるかもしれないが。ちなみにCHPは世俗主義だが、インジェはムスリムの家庭に育ち、母親と妹はヒジャーブをしているので、反エルドアンだがこれまでCHPに投票しなかったムスリムの票が今回はそちらに流れる可能性がある。また、彼はトラックの運転手の息子で、庶民出身であることを前面に打ち出しており、その効果も狙えるかもしれない。とにかく、今回の大統領選ではインジェの得票数がどこまで伸びるかに注目したい。

インジェほどではないが、中道右派「いい政党」(IYI)(究極のネーミング)の女性党首メラル・アクシェネル候補も人気が高いようだ。この政党は、エルドアン率いる与党公正発展党(AKP)と連立を組む極右の「民族主義者行動党」(MHP)から分離した一派からなる。勉強不足で最近まで知らなかったが、当初IYIは結成したばかりで国会での議席がなく、選挙に参加する資格がなかったのに、CHPが議員15人を「貸して」、資格を獲得させてしまったらしい。で、この2党は当然連立を組んでいる。AKP・MHPを支持していた右派の票がこちらにいくらか流れるわけで、しかもアクシェネル候補は女性なので、女性票も期待できる。個人的には、この人はいかにも右派って感じで好感が全然持てないが。今日の投票でエルドアンが過半数を取れず、7月8日に決選投票が行われることになったら、アクシェネルの票の多くはインジェに流れる気がする。

クルドの国民民主主義党(HDP)からは、デミルタシュ前共同党首が獄中から立候補している。反エルドアンのクルド人で彼に投票する人は少なくないと思うが(在日クルド人の多くがそう)、得票数は大して伸びないと思う。所詮獄中からの出馬で、選挙運動もろくにできず、メディアへの露出も最低限だったし。決選投票では、デミルタシュの票がけっこうインジェに流れるんじゃないかな~

そういうわけで、個人的には、エルドアンの強権体制を終わらせる力がありそうなインジェを応援したいのだが、そういうわけにもいかない事情がある。というのは、インジェは「シリア難民をシリアに帰還させる」と宣言しているのだ。アクシェネルもそう。デミルタシュもそれに近いことを言っていた。エルドアンがどんどんシリア難民を受け入れて、その人数が300万人をとうに超え、不況が続く近年、トルコでの彼らに対する風当たりはしだいに強まっているのだ。「シリア人は政府にお金をもらって、タダで医療を受けて、自分たちの仕事を奪った上で、休暇にはシリアに帰国したりしている。帰れるんなら帰ればいい」と思い込んでいるトルコ人・クルド人は多い。エルドアンもこれを考慮して難民受け入れを停止し、できるだけシリア国内で避難民支援を行うとともに、北部の軍事作戦で制圧した地域(アフリーン、ジャラーブルス、バーブなど)に希望するシリア難民を帰還させる方向に進めているが…エルドアンが国籍を与えたシリア人約3万人が今回の選挙で投票するそうだが、彼らはエルドアンに入れざるを得ないだろう。

あと、エルドアンがもしも落選した場合、トルコとカタールやイラン、サウジ・UAEとの関係はどうなって行くのか心配だ。っていうか、反エルドアンのサウジ・UAEあたりが野党連合にコンタクトして、既に支援を申し出たりしてそう・・・カタールとアルジャジーラを応援したい私としては、色々心配だ。

選挙運動疲れか、野党連合に押されてるせいか、ここ数日エルドアンが憔悴して見えるけど、倒れるんじゃないのか・・・でもエルドアンだから大丈夫か(?) なお、前回の国民投票の時と同様、今回も選挙の公正さが懸念されるが、そもそも非常事態宣言が解除されてない中での選挙って、ありなんかいって気もする。

大統領選と同時に議会選も行われる。選挙結果の予測記事では、エルドアンがかろうじて大統領に当選するが、議会ではAKP・MHPが過半数を取れず政治的に不安定になることを懸念する向きがみられたが、どうなんだろう…

そういうわけで、今回のトルコの選挙、結果が非常に気になる…投票が締め切られたらすぐ開票が始まるので(時差は6時間)、朝まで寝られないかも~ドキドキ(◎-◎;)

 

(参考記事)

日本語

https://fx-rashinban.com/k00011-FX%8f%ee%95%f1/a4572-%83G%83~%83%93+%83%86%83%8b%83%7d%83Y%82%b3%82%f1%82%c6%83g%83%8b%83R%91%e5%93%9d%97%cc%91I+%92%bc%91O%98_%93_%90%ae%97%9d%81I

 

英語

https://neoskosmos.com/en/117540/your-guide-to-sundays-turkish-elections-and-what-they-mean-for-greece/

 

トルコ語

https://www.bbc.com/turkce/haberler-turkiye-44557263?ocid=socialflow_facebook

 

https://www.bbc.com/turkce/haberler-turkiye-44543399?ocid=socialflow_facebook

 

 

(終わり)

 

 

 

 

 

 

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