前回の予告通り、今回はイラン暦カレンダーの話。
今年の春の旅行でイランのイスファハンを訪れた際、観光の中心地イマーム広場を取り巻く回廊に入っている郵便局で記念切手を何枚か購入し、対応してくれた局長さんにイラン暦カレンダーはありますかと尋ねたら、未使用の卓上カレンダーを取り出して、にこにこしながら無料でくれたのだ。
この郵便局
その後テヘランの路上で小型カレンダーをいくつか買ったが、それらは全てお土産にあげてしまったので、私の手元に残ったのは、イスファハンの郵便局でもらったカレンダーのみ。現在これを卓上に飾り、日記を書く際に使用している。私は最近5か国語で日記を書いていて、日付は西暦・イスラム暦・イラン暦の3種類を記入しているのだ(暇人の道楽)。
イスファハンの郵便局で買った記念切手も、大半は人にあげてしまったが、猫切手だけは残して、冷蔵庫の扉に飾っている。
ペルシャ猫ではなく、普通の猫のイラストなのが渋い。キャンドゥで買った踊る埴輪のマグネットに、イラン猫たちが戸惑っている気配。
ではここで、イラン暦についておおざっぱに説明しておこう。
イラン暦とは:
・イラン、およびペルシア語の一種であるダリー語を公用語とするアフガニスタンで公式に用いられる暦
・イスラム(ヒジュラ)暦と同様、預言者ムハンマドのヒジュラの年(西暦622年)を紀元とする
・イスラム暦が太陰暦であるのに対し、イラン暦は西暦と同じく太陽暦で、一年は365日(閏年は366日)
・一年の始まりはノウルーズ、つまり春分の日で、3月21日か20日
詳しく知りたい人は、こちらを参考にされるといいだろう。
なんしか、イラン暦は元年が西暦の622年で、太陽暦で、元旦は西暦の3月21日か20日ということだ。
ヨルダンやシリア、エジプトなどの私が滞在したアラブ諸国では、イスラム暦と西暦が併用されており、イスラムの宗教的行事に関してのみイスラム暦、それ以外では西暦が使われていた。つまり、旅行者がバスのチケットを購入したり、ホテルを予約したりする際に、イスラム暦の年月日を頭に入れる必要は一切ない。長期滞在していても、ラマダンや犠牲祭などの特別な期間を除けば、イスラム暦のことをあまり気にしていなかったし、「今はイスラム暦で何年だったっけ」などと考えることはなかった。
しかし、イランは違う。
イランでは、西暦の出る幕はないに等しい。日常生活のほとんどの場面でイラン暦が用いられるのだ。もちろん、イスラムの宗教的行事の際には、イスラム暦が関わってくるが、主役はあくまでイラン暦。通りすがりの観光客であっても、個人旅行者が自力でバスや飛行機などのチケットを現地で取る場合、イラン暦でやらなければならない。まあ、ネットで調べて換算すればいいだけなんだが、うっかり間違うとマズいことになるので、要注意だ。
ちなみに、これを書いている2025年8月15日は、イラン暦1404年、モルダード(第5)月、24日。イランメディアのニュースなどでも、この年月日が使われるので、「なに?いつの話?ここは誰?私はどこ?」状態になる。まあ私は今年が令和何年かも知りませんがね。元号なんて覚えらないから、西暦に統一してほしいんや…
というわけで、長い前置き(えっ前置きだったん)はようやく終わり。私が愛用している上述のイラン暦カレンダーをご紹介しよう。
表紙
1404年(۱۴۰۴)年のカレンダー
ファルヴァルディーン(第1)月
メンズホームウェアの企業の販促用カレンダーらしく、写真はどれも、男性モデル(ずっと同じ人)がカジュアルな格好で室内に立っている構図だ。おや、なかなか洒落たデザインじゃあないか、こういうシックな色合いの普段着がずっと欲しかったのじゃ(だれ)という人は、こちらのHPをご覧くださいませ。イランは米国の制裁下にあるため、国際的なカードでのオンラインショッピングは出来ませんけどね。
イランでは西暦の出る幕はないに等しいと書いたが、一応西暦もイスラム暦と共に併記してある。つまり、イラン暦の日付の数字がメインで大きく書かれ、その脇に、対応する西暦とイスラム暦の日付が小さく印刷されている。欄外に、祝日や行事についての補足説明がある。
イラン暦にはペルシア語の数字が使われる。大半はアラビア語で用いられる数字と同じだが、多少違うので私にとってはややこしい。
一週間は土曜日から始まる。右から左に読み、カレンダーの右端に土曜日が、左端に金曜日が来ている。イランでは、木曜日と金曜日が週末である。
このように、イラン暦カレンダーは、私たちが使っている西暦カレンダーと何から何まで違うので、使いにくいどころの話ではない。イスラム暦日めくりカレンダーの方が、なんぼか親しみやすいくらいだ。
とっつきにくいけれど、アラブ諸国とは異なる独自の世界があって妙に心惹かれる、それがイラン暦カレンダーであり、引いてはイランという国であると思うのだ。
こういう写真が延々と続く
中東的にひげを生やしつつも、爽やかな笑顔のスポーツマンと言う感じの好青年だが、推しでもないのに、12か月ずっと同じ人の写真を見続けるっていうのはどうなんだろう…(もしかしたら、双子とか、そっくりな兄弟とかが混ざってるのかもしれんが)
ちなみに、この卓上カレンダーは、同じ月のページが裏表2枚あり、1年分で24枚のカレンダーがあることに先日気づいた。これまでの人生で、1か月分が2枚ある卓上カレンダーは見たことがなかったので、地味に驚いた。イランって、色んな角度から意表を突いてくるんだよな~
モルダード(第5)月、西暦7月~8月の分
裏側も同じ月
つまり、好きな方を表にして使えばよくて、飽きたら裏返すこともできるようになっているのだ。
まあ、どっちでも大して変わりはないんですけどね…
(おまけのペルシア語数字表)
やっぱり5が一番かわいいな。逆さハートというか、おしりというか…
(終)